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“BRAVIA OLED”や完全ワイヤレスNCイヤフォンなど、注目AV機器多数のソニー会見

 ソニーは、「CES 2017」においてプレスカンファレンスを開催し、4K有機ELテレビのBRAVIA「A1Eシリーズ」や、4K UHD Blu-rayプレーヤー「UBP-X800」、超短焦点の4Kレーザープロジェクタ「VPL-VZ1000ES」などを発表。平井一夫社長兼CEOが、今回特に充実しているAV機器を中心に、'17年の注目製品を紹介した。

平井一夫社長兼CEO

 映像関連では、特にHDRへの注力を強調。カメラやモニターなどの制作機器に続き、テレビなどコンシューマ製品にもHDRが広がりつつあることを、PS4 ProのHDR対応などを含めて説明。ゲームや映画といったHDRコンテンツ制作と、テレビ、プロジェクタなどコンシューマ製品の両方を“One Sony"でリードしていることを示した。

 それらの中でも注目の製品として披露されたのが、ソニーにとって初の4K有機ELテレビとなる“BRAVIA OLED”A1Eシリーズ。液晶テレビのフラッグシップであるZ9Dシリーズにも搭載された「X1 Extreme」プロセッサーを用いて、自発光パネルの有機ELの特徴を引き出し、現実世界に近いという深い黒や明るさを表現できるという特徴を「ソニーだけが実現できる」とアピールした。また、ディスプレイを振動させて画面から直接音が出る、独自の「アコースティックサーフェス」も採用。通常は画面の周辺に配置されるスピーカー部分を削ぎ落とすことで、スピーカーレス、スタンドレスのデザインを可能にしている。

有機ELテレビの「A1Eシリーズ」を披露
画面が振動して音が出るアコースティックサーフェスを採用
海外メディアを含む多くの報道陣が、側面から製品に注目

 液晶テレビ「X93Eシリーズ」も発表。独自のバックライト技術「Slim Backlight Drive+」を搭載し、コントラストを向上。X1 Extremeにより、SDR映像をHDR相当にアップコンバートするという「HDRリマスター」を搭載している。

 これら2シリーズに加え、現行の液晶テレビ「Z9D」を含めた3シリーズが、新たにHDRの「Dolby Vision」を今後サポート予定であることも発表。Dolby Visionのサポートにより「シネマグレードの4K/HDR映像を体験できる」とした。

Z9Dや、新モデルのA1E、X93EがDolby Visionに対応予定

 また、これまで試作機の展示だったUHD BDプレーヤーも、ついに製品版の「UBP-X800」を今春に米国で投入することを発表。ソニー・ピクチャーズを含む多くのUHD BD作品をソニーのプレーヤーでも楽しめるようになることを紹介した。

 サウンドバーの最上位機種「HT-ST5000」も登場。1台のサウンドバーとサブウーファでハイレゾ音源再生のほか、7.1.2chのDolby Atmosに対応するのが大きな特徴。AVアンプの新機種「STR-DN1080」もDolby Atmosに対応するほか、DTS:Xもサポートするなど、ホームシアター製品の機能強化も一気に進む形となった。

上がサウンドバーの最上位機種「HT-ST5000」、下がそのサブウーファ。中段にあるのがUHD BDプレーヤー「UBP-X800」
超短焦点レーザー光源プロジェクタ「VPL-VZ1000ES」。スクリーン面から約16cmの距離から4K/HDR映像を大画面で投写

CLEDISを披露。完全ワイヤレスのNCイヤフォンも

 国内外の多くのメディアが注目する中、平井氏が今回のプレゼンテーションで最初に紹介した製品は、LED素子を光源とする独自技術「CLEDIS(クレディス)」を用いた業務向けのディスプレイシステム。光源サイズが0.003mm2と微細なため、画面表面の黒点が占める割合を99%以上に高められ、一般的なLEDディスプレイなどと比べ高コントラスト、広視野角、広色域を特徴としている。CESのブースでは、2.7×9.7mの大画面で8K×2K映像を表示しており、「皆さんに“WOW”と思っていただける」と自信を見せた。

2.7×9.7mの大画面CLEDISで星空を表示

 パーソナルオーディオ関連では、'16年に発売したウォークマンやヘッドフォンなどのフラッグシップ「Signature Series」製品や、ノイズキャンセリング(NC)対応の最上位Bluetoothヘッドフォン「MDR-1000X」が高い評価を得たことを紹介しつつ、新たなショーケースとして、“完全ワイヤレス”のイヤフォンにNCを搭載したモデルや、ネックバンド型の新たなNC対応モデルを紹介。「NC機能を様々なスタイルで楽しめるようになる」とした。

ネックバンド型(左)、完全ワイヤレス(右)のNCイヤフォン
完全ワイヤレスモデルの装着例
NC/Bluetoothヘッドフォン最上位の「MDR-1000X」
デジタルカメラは、α99 IIや、α6500のほか、人気の大型センサー搭載コンパクトモデル「RX100 IV」などを紹介
PlayStation VRの好調もアピール

 新たなイノベーションとしては、「Life Space UXシリーズ」の超短焦点プロジェクタのプロトタイプ「新4Kプロジェクター -It's all here-」を紹介。使い方の例として、電子書籍やオーディオブックなどの表紙を本棚のように壁一面に並べる形で投写して、好きなタイトルを選んで楽しむという、プロジェクタの新たな利用スタイルを挙げた。

Life Space UXシリーズ
Seed Accelaration Program(SAP)製品

 今回のプレゼンテーションは、多くの他社が行なっているように「新たなコンセプトやライフスタイルを大きく打ち出し、それを体現する製品を披露する」パターンとは大きく違う印象を受ける。あくまでストレートにコンシューマエレクトロニクスの新製品を紹介し、有名人などのゲストも登場しない形は、ここ数年のCESやIFAなどでの同社会見に比べても、シンプルさが際立つものだった。それだけ今回の発表製品それぞれに自信を持ち、「すこしでも早くブースで見て体験してほしい」という平井氏のメッセージともとれる。

 コンシューマエレクトロニクス製品を手掛ける上でのソニーの考えとして、平井氏は「“何ができるか”だけでなく、どうやってそれを作るか、なぜそれを作るのかを大事にしている」とし、それを決定づける要素として「Kando(感動)」を多くの人にもたらすという目的を挙げる。「目指すゴールは、人々がクリエイティビティを刺激され、それぞれの限界に挑戦し、その結果、暮らしを豊かにすること」と述べ、会見を締めくくった。