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ソニーなどDolby Vision採用拡大、OPPOやLGなどUHD BDプレーヤーも対応。PCでもAtmos
2017年1月9日 00:00
ドルビーラボラトリーズは、「CES 2017」において、HDR映像技術のDolby Vision(ドルビービジョン)や、立体音響のDolby Atmos(ドルビーアトモス)の最近の広がりなどを紹介。LGの有機ELテレビが新たに有機ELでもDolby VisionとDolby Atmos両方に対応するほか、ソニーが新たな対応メーカーとして加わったことなどをアピールしている。また、UHD Blu-rayプレーヤーでも初のDolby Vision採用が決まり、OPPO DigitalやLG、Philpsの3社が今後対応することも明らかにされた。
Dolby Visionの対応メーカーやカテゴリが拡大
'17年春に登場予定という有機ELテレビ「LG SIGNATURE W7シリーズ」で新たにDolby Visionを採用。しかも、付属のスピーカーでDolby Atmosもサポートすることで、テレビ1台でHDR映像と立体音響を楽しめるようになる。同社の「SUPER UHDTV」など、液晶テレビの新モデルでも引き続きDolby Visionに対応する。
Dolby Visionを採用するテレビメーカーは、LG、TCL、Vizioに加え、新たにソニーが今回のCESに合わせて有機ELテレビ「A1E」やフラッグシップ液晶「Z9D」などでの対応を発表。ドルビーは「特に、画質に定評のあるソニーが採用を決めたことは大きい」と歓迎している。
Philips製のテレビは、6000/7000/8000シリーズが、追加設定などが不要でDolby Visionに対応。TCLは「Cシリーズ」と「Pシリーズ」がサポートする。
UHD BDがDolby Vision対応。OPPO、LG、Philipsがアップデート対応へ
Dolby Visionのコンテンツは、米国のVUDUなど配信サービスで先行して導入され、NTTぷららによる「ひかりTV」でも採用されている。
一方で、新たな動きとして、4KのUltra HD Blu-rayプレーヤーでもDolby Visionの採用が発表。OPPO Digitalが販売中の「UDP-203」と'17年に発売予定の新モデル「UDP-205」、LGの「UP970」、Philipsの「BDP7502」が最初の対応製品と発表された。上記のDolby Vision対応テレビと組み合わせることで、HDRコンテンツを楽しめる。ファームウェアアップデート対応の時期は'17年初旬を予定。
ドルビーのデモルームで、デモ用にDolby Vision対応ファームウェアを適用したOPPOのプレーヤー「UDP-203」を使って、Dolby Vision版の映画「PAN」(邦題:PAN ネバーランド、夢のはじまり)を視聴した。暗い森の中で、雲間から所々に強い光が差すシーンでは、強い光は白飛びせずに眩しさ表現しつつ、雲の細かなグラデーションを繊細に描き分けており、Dolby Visionで表現できる映像の可能性と、それを活かすUDP-203の性能を実感できた。
コンテンツ制作サイドであるハリウッドについても、ライオンズゲート、ユニバーサル・ピクチャーズ・ホームエンターテイメント、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントの3社が、UHD Blu-ray向けにDolby Visionでマスタリングされた作品のリリース計画を6日に発表。映画やドラマシリーズで、従来の配信サービスだけでなく、よりリッチなUHD BDでも採用作品を楽しめるようになり、2017年初旬に、対応のUHD BDの販売が開始される予定。
OPPOプロダクトマネージャーが見るDolby VisionとHDRの可能性
今回のCESには、OPPO Digitalのシニアプロダクトマネジャーを務めるクリストファー・ヴィック氏も訪れており、Dolby Vision対応などについて話を聞くことができた。
ヴィック氏はDolby Visionを最初に見たときの印象を「まるで現実のように緻密に描写された色や明るさの映像に、思わず目を見開きました」と語る。
同社UHD BDへの採用の経緯については、「チップセットメーカーのMediaTekから提案を受け、グッドアイディアだと思いました。MediaTekは既に4Kチップセットを開発を始めており、UHD BDでドルビービジョンに対応する要件に合わせて我々も製品を開発しました。これまでもドルビーが導入してきた技術は素晴らしく、我々は今回も早速サポートを決めました」とのこと。
ヴィック氏はHDRコンテンツについて、最新作などの画質の高さを評価しつつ、新たな可能性も感じているという。「古い映画は、当時の技術に限界がありましたが、映画制作会社がかつての名作映画を4Kスキャンし、ダイナミックレンジや色深度の高い映像で、より多くの作品を楽しめるといいですね。私の好きな『ブレードランナー』などがHDRになったらと思うとワクワクします」と期待を寄せている。
今回デモに使われたのはUDP-203だが、「究極のオーディオファイル・グレード」として発売が予告された上位モデルの「UDP-205」も気になるところ。「オーディオを重視する人向けにアップグレードされたモデルで、2017年の早い段階に投入します。ESSの新DACなどで音質を強化するので、楽しみにしてください」と述べている。
AtmosはPCにも初対応へ
Dolby Atomosに関する最新情報としては、前述したLG製テレビのスピーカーによる対応に加え、ソニーのサウンドバー「HT-ST5000」と、AVアンプ「STR-DN1080」による対応を発表。両モデルは2017年春に北米で先行発売し、順次グローバルでも販売される。
さらに、オンキヨーとパイオニアも対応を進めており、ネットワークサラウンドサウンドバーシステムのオンキヨー「SBT-A500」、パイオニア「ELITE FS-EB70」でサポートする。
Dolby AtomosはAmazonのFireタブレットなどでも採用が既に始まっている中、新たにノートPCでも採用が決定。レノボのゲーミングPC新機種「Legion Y720」が初のDolby Atomos対応PCとして米国で4月から発売され、価格は1,399.99ドルから。