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Sonus faber、名工へのオマージュ第4世代「Amati/Serafino/Guarneri Tradition」
2017年4月18日 18:24
ノアは、伊Sonus faber(ソナス・ファベール)のスピーカー「オマージュ・コレクション」の新シリーズ「オマージュ・トラディション」3機種を4月21日に発売する。ペアの価格は「Amati Tradition」(アマティ・トラディション)が360万円、「Serafino Tradition」(セラフィーノ・トラディション)が260万円、「Guarneri Tradition」(ガルネリ・トラディション)が200万円。ブックシェルフのガルネリには専用スタンドも付属する。
Sonus faberと言えば、'90年台に発売し、同社を代表するスピーカーとなった「Amati Homage」や「Guarneri Homage」がオーディオファンに馴染み深いが、そのDNAを受け継ぐオマージュシリーズの第4世代モデルが今回の「オマージュ・トラディション」となる。
このシリーズは、楽器の名工達へのオマージュ(讃辞)であり、イタリアで弦楽器の名工一族として名高いアマティ、ガルネリの名前がつけられている。そこに新たに、ニコロ・アマティに師事したサント・セラフィーノから名前をとったセラフィーノ・トラディションが追加される事となる。
Sonus faberのチーフデザイナーであるリヴィオ・ククッツァによる伝統的なリュート型のキャビネットを基にしたデザインと、サウンドデザイナーのパオロ・テッツォンによる技術を融合して作られている。
3機種に共通するのは、リュート型のキャビネットデザイン。両サイドがなめらかな曲面になっており、兄弟機「Lilium」のデザインを踏襲・融合。内部共振を制御し、不要な振動を排除する。
天板には、側板と同じ木材を採用。SFロゴをプリントした、トップガラスを配したモダンなデザインになっている。
仕上げはウェンジとレッドの2種類を用意。ウェンジはアフリカ原産の広葉樹で、強度が高く、耐久性にも優れるという木材。これを突板で使用し、カラーはコーヒー・ブラウンレザーと、ヘアライン・テクスチャを施したガンメタル・アルミニウムを組み合わせたものとなる。
レッドモデルは、ウォルナットを突板として使用。ブラック・レザー、ヘアライン・テクスチャのブラック・アルミニウムを使った、伝統の仕上げとなる。
エンクロージャの背面にはバスレフポートを用意。ダクトに適度なダンプをかけ、ポートのチューニングを施す事で低域をコントロールし、レンジ拡大を図る「Stealth Reflex」テクノロジーを進化させた「Stealth Ultraflex」を採用。背面のアルミパネルに搭載するもので、ダクトを通る空気の流れを制御し、低域の歪や空気の乱れを現象させている。
背面アルミパネルは、上下にダンプシェルを備えた「エキゾ・スケルトン・クランプ」構造を採用。
アマティは、床面からの振動伝搬を防ぎ、キャビネット全体をデカップリングするため、脚部には「Z.V.T.」(ゼロ・ヴァイブレーション・トランスミッション)も備えている。
ガルネリとセラフィーノの脚部には、金属ネジ、エラストマー樹脂、金属スパイクを3重構造で採用した「サイレント・スパイク」を採用している。
アマティ・トラディション
3.5ウェイ、4スピーカーのフロア型。ツイータは、クラシックなドームとリング・ラジエーターの特製を融合したという独自の「アロー・ポイントDAD(Damped Apex Dome)」を採用。28mmのコイルドライバも搭載する。
ミッドウーファは新設計で、ウルトラ・ダイナミック・リニアリティーの150mm口径ネオジウムマグネットを採用。ウーファは220mm径を2基搭載しており、複合材であるシンタクティック・フォームの外側を、自然素材のセルロース・パルプで処理したサンドイッチ構造の振動板を使っている。
クロスオーバーには、無共振のプログレッシブ・スロープ設計を採用。時間/空間における振幅や位相特性を最適化したという。最新世代のムンドルフ製「MCap EVO」シリーズのシルバー、ゴールド、オイル・キャパシタ、ジャンセン製コイルを使うなど、厳選したパーツを投入している。クロスオーバー周波数は80Hz、250Hz、2.5kHz。全体の再生周波数帯域は28Hz~35kHz。インピーダンスは4Ωで、感度は90dB SPL(2.83V/1m)。推奨アンプ出力は100~500W。
外形寸法は411×540×1,170mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は61kg。
セラフィーノ・トラディション
3.5ウェイ、4スピーカーのフロア型。ツイータとミッドウーファはアマティと同じ。
ウーファは180mm径を2基搭載しており、複合材であるシンタクティック・フォームの外側を、自然素材のセルロース・パルプで処理したサンドイッチ構造の振動板を使っている。
クロスオーバーの特徴もアマティと同じ。クロスオーバー周波数は80Hz、250Hz、2.5kHz。全体の再生周波数帯域は30Hz~35kHz。インピーダンスは4Ωで、感度は90dB SPL(2.83V/1m)。推奨アンプ出力は80~350W。
外形寸法は396×510×1,091mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は52kg。
ガルネリ・トラディション
2ウェイ、4スピーカーのブックシェルフ型。ツイータとミッドウーファはアマティ/ガルネリと同じ。
ウーファは新設計のウルトラ・ダイナミック・リニアリティーの150mm径で、1基搭載。
クロスオーバーの特徴はアマティ/ガルネリと同じ。クロスオーバー周波数は2.5kHz。全体の再生周波数帯域は40Hz~35kHz。インピーダンスは4Ωで、感度は87dB SPL(2.83V/1m)。推奨アンプ出力は30~250W。
外形寸法は239×400×377mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は16kg。スタンドに設置した場合は、300×400×1,135mm(同)で、重量は30kgとなる。
Sonus faberはいかにして日本で人気となったのか
Sonus faberはMcIntosh Groupのブランドであり、World of McIntoshのセールスマネージャー、Fontaine Jean-Philippe氏は、Sonus faberのこれまでを振り返り、「常に音とデザインの両面で、史上最高のオーディオを作る事に注力してきた」と説明。新シリーズについて、「ガルネリ、アマティをよりアイコニックな製品にすべく、全面的にリロードした。そして、セラフィーノという新たなモデルも加わる」と語った。
1988年から、Sonus faberの製品を取り扱っているノアの野田頴克代表取締役は、約30年前、イタリアのオーディオショウに出かけた時を振り返り、「当時のイタリアのオーディオは、日本と比べてやや遅れており、(ショウのために来たけれど)無駄骨だったかなぁと思って出口に向かって歩いていたところ、通路の壁に沿った音出しもできない展示スペースで、寄せ木で作られたスピーカーを見つけた。他のベルトコンベアで作られるようなスピーカーと違い、ショックを受けた。そこにいた男性に話を聞いたところ、まだ完成品ではないが、開発を進めたいと話していた。彼がSonus faber創業者のフランコ・セルブリン氏だった。そこからSonus faberとの繋がりがスタートした」という。
「完成したら知らせて欲しい」と頼んで野田氏は帰国。それから1年後に完成したと連絡があり、届いたスピーカーが「ELECTA AMATOR」(エレクタ・アマトール)だったという。「(イベントで見たモノより)遥かに良い出来になっていて、その美しさは衝撃的だった。エージングもしないですぐさま聴きはじめたところ、あたたかみのある、肉声の美しさにまた驚かされ、すぐさま発売に踏み切った。オーディオ業界にとって衝撃的な製品だったと言える。日本ではすぐ大人気になり、やがてアメリカ、そしてイタリアの国内市場にも販売するようになった」。
今日に至るまでは、「会社もどんどん大きくなり、経営組織も変わり、製品開発の責任者もセルブリン氏から、愛弟子のパオロ・テッツォン氏に引き継がれた。この間、クレモナ、ガルネリ、アマティ、ストラディバリ、Homageシリーズ、そしてパオロの代表作となるTHE Sonus faber、Aidaと、彼らが作った製品というのは失敗作が無かったなと思う。全てがヒットし、世界中の音楽愛好家に楽しんでいただいている。今やSonus faberは世界に欠かせないオーディオメーカーになったといえると思う」と、同ブランドへの想いを語った。