ニュース
KEFからサウンドバー「XIO」登場。小型“Uni-Q MX”など12ドライバ搭載、33万円
2025年7月8日 17:00
KEFは、サウンドバー「XIO(ジオ)サウンドバー」を発売する。7月8日から予約受付を開始し、17日より発売する。価格は330,000円。カラーはシルバーグレーとスレートブラック。
既存のサブウーファーを、XIOサウンドバーとワイヤレスで接続するための周辺機器「KW2 RXレシーバー」も同日発売で、価格は25,300円。
小さなUni-Q 、「Uni-Q MXドライバー」を搭載
5.1.2ch構成のサウンドバーで、サブウーファーは付属しないワンバータイプ。Dollby Atmos、DTS:X、ソニーの360 Reality Audioにも対応する。外形寸法は1,210×164×70mm(幅×奥行き×高さ)と大型で、重量は10.5kg。55インチ以上に適したサウンドバーとして作られている。
最大の特徴は、KEFのピュアオーディオ用スピーカーにも採用されている「Uni-Q」ドライバーを小さくした、「Uni-Q MXドライバー」を6基搭載している事。配置としては、フロントの左右と中央に各1基、天面の左右と中央に各1基搭載する。
これに加え、左右の両端にサラウンド用のフルレンジドライバーを各1基、ウーファーとして「P185ベースドライバー」をフロントに2基、天面に2基の、合計4基搭載する。合計12ドライバーを搭載し、それを12台のクラスDアンプで駆動する。音をビーム状に放出するような機能は無いが、天井や左右の壁などでの、音の反射も、音作りには活用しているという。
なお、テレビラックなどへの棚置きに加え、壁掛けにも対応。棚置き時は、天面中央のUni-Q MXドライバーは使わない。
天面中央のUni-Q MXドライバーは、壁掛け時にはフロントのセンタースピーカーとして動作。逆に、棚置き時にフロントセンターを担当していたUni-Q MXドライバーは、壁掛け時には天面中央に位置するが、この際は音を出さなくなる。標準で壁取付用のキットを付属する。
Uni-Q MXドライバーは50mm径。正確なクロスオーバーとして設計されたデカップラーを採用。中央にあるツイータードームと周囲がミッドレンジ振動板が分離しており、低域では振動板が自由に動き、高域ではドーム部分が分離されている事で、精度の高い高域が再生できるという。
ウーファー用のP185ベースドライバーは、KEFがハイエンドクラスのサブウーファーの開発で培った「P-Flex」技術により、「サウンドバーの概念を覆すクリアで力強く深みのある低域を再生できる」という。縦横比の高いレーストラック型デザインで、サイズは18×5cm。10cmのLFドライバーと同等のパフォーマンスを提供できるという。
さらに、ゆとりのあるキャビネットスペースに、ツインのP185ドライバーをフォースキャンセリング構成で背中合わせに配置。機械的振動を大幅に減少させ、不要な歪みのないピュアで共振の少ない低周波レスポンスが得られる。
P185ドライバーには、特許申請中のベロシティコントロール技術「VECO」も投入。P185ドライバーの中心部にセンサーを内蔵。これにより、VECOがコーンの動きをリアルタイムで監視し、歪みと圧縮を最小限に抑えるために、負のフィードバックループを採用。
これにより、ドライバーのボイスコイルに届く信号に、音楽信号と合わせて、ドライバーの動きに偏差が生じないように補正する信号も伝送。歪みを大幅に減少し、純粋で歪みのない鮮明な音が得られるとする。
XIO専用に開発された、シネマ用のDSPアルゴリズム「Music Integrity Engine(MIE)」を搭載し、Dollby Atmos、DTS:X、360 Reality Audioを臨場感のあるサラウンド再生するほか、モノラルやステレオのソースをアップミキシングし、空間化したサラウンドで再生する事も可能。
サウンドバーにマイクを搭載し、キャリブレーション機能も搭載。設置した部屋や、周囲にオブジェクトに基づいて、音声出力を自動的に調整してくれる。
音作りは、中音域の明瞭度にこだわり、「すべてのセリフを細部まで鮮明に聞こえるよう設計」したという。EQプリセット内の専用ダイアログモードを使うと、背景ノイズを減少させながら音声周波数を強化し、音声がはっきりと聴こえるようになる。
音楽配信サービスの再生も可能。Spotify、Amazon Music、Apple Music、Qobuzなどをサポート。Spotify Connect、Tidal Connectなどにも対応。Qobuz Connectはまだ対応していないが、「鋭意対応を検討中」だという。KEF Connect、AirPlay、Google Cast、Bluetooth 5.3にも対応する。
入力端子は、HDMI 2.1 eARC、光デジタル、LAN端子を装備。サブウーファーは付属しないが、RCAのサブウーファー出力も備えている。無線LANも搭載する。
リモコンが付属するほか、トップパネルからも操作が可能。「KEF Connect」アプリから、細かな設定もできる。サウンドバーを設置した高さを入力する事も可能。EQ設定のノーマルモードとエキスパートモード では、ユーザーの好みや空間に合わせた調整が可能。プリセットには、テレビ 番組やドキュメンタリー、ニュースに最適な音声の明瞭さと聞き取りやすさに焦点を当てたダイアログモードと、深夜の視聴時における音量を下げたナイトモードを用意する。
サブウーファーとのワイヤレス接続も。ワイヤレススピーカーとの連携も検討中
別売の「KW2 RXレシーバー」を、KEFの対応するサブウーファー(KC62、KC92、KF92、KUBEなど)の専用端子に取り付けると、XIOサウンドバーと、取り付けたサウンドバーがワイヤレスで連携可能になる。
対応するサブウーファーとの接続には、専用の端子を用いるため、レシーバーへの給電はサブウーファーから行なわれる。
48kHz/24bitまでの高音質なワイヤレス伝送が可能。通信距離は最大15m(見通し距離)。レシーバーを追加する事で、複数のサブウーファーを接続する事も可能。
他社製など、対応以外のサブウーファーと接続するため、3.5mmのAUX/光デジタル兼用出力も1系統搭載する。その場合は、レシーバーに対して、USB-C経由の給電が必要。
レシーバーの外形寸法は37×31×72mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は50g。
なお、KEFはLSX IIなど、ワイヤレスのWi-Fiスピーカーもラインナップしているが、これらのワイヤレスWi-Fiスピーカーを、サウンドバーと連携させ、リアスピーカーとして使えるようにする事も検討しているとのこと。
音を聴いてみる
テレビの前に設置し、Dolby Atmosデモディスクから「Amaze」、「トップガン マーヴェリック」冒頭の発艦シーンや、ドッグファイトシーンを試聴した。
Amazeを再生すると、高級サウンドバーだけあり、前方から広大な音場が一気に広がり、体を包みこまれるような感覚になる。鳥の羽音がグルっと背後を飛ぶシーンでは、左右の移動感も明瞭で、自分の真横あたりまでシャープな音像が移動する。さすがに真後ろは少し不明瞭になるが、それでも「鳥が背後を飛んでいったな」というのはよくわかる。XIOは、音をビーム状に放出して壁などへの反射を積極的に利用したサウンドバーではないが、それでこの明瞭な移動感は見事だ。
トップガンの冒頭のデンジャー・ゾーンなど、音楽もクリアかつ躍動感のあるサウンドで、KEFらしさを感じる。発表会は、複数人の記者が参加しているので、一般的な家庭のリビングよりもボリュームはかなり大きめで再生しているのだが、それでも筐体がビビったり、筐体が鳴く付帯音で音が不明瞭になる事もなく、シャープでクリアな音が維持されている。これは筐体の剛性の高さや、ベロシティコントロール技術「VECO」、「P-Flex」技術などの効果もあるのだろう。
別売のサブウーファーを追加した状態では、戦闘機の爆音や、ミサイルの爆発音、音楽のベースなどは量感たっぷりで「これぞホームシアター」という迫力がある。
一方で、サブウーファーを使わない、XIOだけの状態でも量感のある中低域はしっかり出せており、痩せた、ハイ上がりなサウンドではない。サブウーファーを加えるとより良くはなるが、XIO単体でも、クリアさと迫力が同居したシアターサウンドは十分楽しめるだろう。
サウンドバーに内包されたHi-Fiシステム
KEFは従来から、ミッションとして「ハイ・フィデリティの民生化」を掲げ、Hi-Fiサウンドをよりシンプルに、手軽に楽しめる製品として、ワイヤレスWi-Fiスピーカーなどを展開している。
そんなKEFに対して、以前から「サウンドバーを出さないのか?」という声は、多く寄せられており、開発を進めていたとのこと。そして、KEFのエンジニアが納得できる製品として完成したのが、今回の「XIOサウンドバー」となる。
説明会に登壇したKEF Japanの福島真澄コマーシャル・ディレクターは、「ハイ・フィデリティなシネマティック・サウンドを実現するための製品として、サウンドバーも開発した。KEFのテクノロジーがみっちりと詰まったハイスペックなサウンドバーになっており、社長のグレース・ローは“サウンドバーに内包されたHi-Fiシステムだ”と表現している。ワイヤレスではない、Hi-Fiスピーカーも常にアップグレードしていくが、それとは別のラインナップとして、サウンドバーやワイヤレスWi-Fiスピーカーなども拡充していく」と語った。