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WOWOW、2018年度にネット同時配信、2020年末に4K放送。300万加入を目指す

 WOWOWは2017-2020年までの中期経営計画を発表した。2018年度には、ネット同時配信を開始し、2020年末には4K放送を開始、子会社化したアクトビラの資産を使って、放送と配信が連動したテレビ向け新サービスも開発し、2020年度に加入数300万件を目指す。

10年後のWOWOW

 2017年度から2020年度までの中期経営計画を策定。有料放送事業を中核事業としながら、「総合エンターテインメント・メディアグループ」を目指すため、オリジナルコンテンツと、テクノロジーに投資。「徹底的なコンテンツの差別化」、「マーケティング投資による顧客創造」、「サービスのさらなる高度化」、「WOWOWグループとしての成長」の4点を軸に計画を策定。「これからの10年を戦うためのあらゆる準備を行ない、さらなる成長の布石を打つ」としている。

重点戦略。'18年度にネット同時配信

 コンテンツについては、顧客志向分析に基づきオリジナルコンテンツ開発を進めるほか、グループでの利活用を前提としたコンテンツ制作に転換。オリジナルコンテンツ拡大に加え、ネット配信やグループ内でのマルチユースを促進、放送・配信と連動したイベント創出にも取り組む。

収支計画
有料放送加入計画

 マーケティングにおいては、Web会員の拡大を目指す。退会者など現在放送契約中でない人の会員情報を管理し、興味を持ちそうな番組開始時に情報提供するなどで、解約防止や再契約などに生かす考え。Web会員の目標は「1,000万人」とした。なお、現在のWeb会員数は非公開。

 サービスの高度化としては、ネット同時配信を2018年度に開始予定。「現在展開しているWOWOWメンバーズオンデマンドは、スポーツはほとんど同時配信し、見逃しも増やしており、(番組)カバー率は約70%。これを可能な限り100%にしていく」(WOWOW 田中晃代表取締役社長)という。

WOWOW 田中晃代表取締役社長

 同時配信サービスのイメージとしては、「WOWOWメンバーズオンデマンドを拡張し、配信を含めた権利処理を行なっていく。最終的なサービスの形が、メンバーズオンデマンドか、それとも他のサービスになるのか、あるいは放送契約と別になるのかなどは、詰めているところ」と説明。会員目標などは明らかにしていないが、「WOWOWメンバーズオンデマンドも相当使われるサービスになってきており、明らかにニーズがある。利用者のニーズにこたえられるサービスにしていく」とした。

 また、4K放送は2020年末に開始予定。ただし、契約形態や価格については、「全くの未定」としている。さらに放送と配信を連動したTV向けの新サービスも検討中で、具体的には3月に子会社化したアクトビラの技術や資産を活用する方針。「IP網を使ったTV向けの新サービスを開発し、テレビでの見逃し視聴などが可能になる。テレビメーカーと連携して取り組みたい」(田中社長)とした。

 4月に子会社化したIMAGICA TVとも連携。「グループシナジー最大化の具体的な施策については現在話し合っている」とのことだが、IMAGICA TVとWOWOW有料放送の連携による会員拡大を見込んでいる。

 これらの施策により、加入目標件数は、2017年度が285万件、以後毎年5万件の純増を見込み、2020年度末に300万件加入を目指す。この数字にはIMAGICA TVやアクトビラ会員数は含まれておらず、「グループ全体の会員数発表方法については検討中」とした。

子会社化したアクトビラやIMAGICA TVなどグループシナジーを最大化

 2017年度の売上高見込みは825億円、経常利益は94億円。2018年度は4K放送やマーケティング強化等の投資で減益を見込むが、2020年度の売上高925億円、経常利益100億円を目標に掲げる。

 田中社長は、「近年、『有料放送は踊り場に来ている』と言われている、私もそう言っている。しかし、どんな産業も変化は避けられない。やるべきこととして、生活者のニーズに応え、対応すべきことを先送りせずに取り組む」と、中期経営計画の推進を強調した。

総合エンターテインメントグループを目指す

'16年度は過去最高益。'17年度はドラマWやツインピークスで勝負

 2016年度の決算も発表。売上高は前年比103.9%の782億5,300万円、営業利益は同111.7%増の101億4,100万円、純利益は同101.4%の68億円で、いずれも上場来最高を更新。加入件数も純増1.9万件の282万3,000件で、年度末過去最高かつ11期連続純増だが、想定は下回った。

 中期経営計画の初年度となる2017年度は、オリジナルコンテンツや主要ジャンルを強化。ドラマWの新作は池井戸潤原作の「アキラとあきら」、東海テレビと共同制作の「犯罪症候群 Season2」、「宮沢賢治の食卓」などを展開。トニー賞の独占中継や、全仏、ウィンブルドンテニスなど、人気ジャンルを強化し、ウィンブルドンは新たに予選も中継する。

 また、7月には「ツイン・ピークス The Return」(全18話)を国内独占放送。WOWOW放送開始時の人気番組で、社会現象にもなった「ツイン・ピークス」の続編をこの夏の目玉に据える。

夏にツインピークス