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新ハイエンドプレーヤー「SP1000」素材聴き比べ、JVCケンウッド試作イヤフォン
2017年7月9日 00:00
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックが主催する「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2017夏」が、7月8日の土曜日に中野サンプラザの15階で開催。入場は無料。ポータブルアンプや、ヘッドフォン/イヤフォンの国内外メーカーが、参考展示などを含めた新製品を出展した。ここではAstell&Kern、final、JVCなどのブースをレポートする。
Astell&Kern
ブースの目玉は、Astell&Kernの新たなハイエンド・ハイレゾポータブルプレーヤーとして7月7日に発売された「A&ultima(エー・アンド・ウルティマ) SP1000」(AK-SP1000)だ。先行で発売がスタートしたステンレススチール製「AK-SP1000-SS」だけでなく、今後の発売が予定しているカッパー(銅)を使った「AK-SP1000-CP」も出展。価格は直販499,980円(税込)とハイエンドだ。
2モデルを比較試聴できるようになっており、素材の違いによる音の変化が楽しめる。さらに、どちらの音が気に入ったか? の投票も受付。投票後にジャンケンに勝つと、先着でシリコンバンドがもらえる企画も行なっていた。
さらに、6月30日に発売されたばかり、Chordの新たなポータブルヘッドフォンアンプ「Hugo 2」の試聴機も用意。独自のFPGAやフリップフロップ回路を使った「パルスアレイDAC」を組み合わせ、デジタルデータをアナログに変換するのが特徴。開発者であるロバート・ワッツの名を記した独自のデジタルフィルター「WTA(Watts Transient Aligned)フィルタ」を活用し、処理の細かさを示すタップ数は、従来機種Hugoの約2倍のとなる約49,195タップを実現した。
S'NEXT
Questyle Audio Technologyの新ハイレゾポータブルオーディオプレーヤー「QP2R」を展示している。発売時期は7月下旬~8月上旬を予定。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は159,000円前後(税込)。カラーはスペースグレイ、ゴールドを用意する。
ポータブルながら、純A級アンプを搭載しているのが特徴。特許技術「カレントモードアンプテクノロジー」により、消費電力を抑え、発熱量も少ない純A級アンプを実現、ポータブル機への搭載を可能にした。この特徴は、既発売の「QP1R」と同じだが、新モデル「QP2R」では「デザインを踏襲しつつも圧倒的なサウンドクオリティ進化」を果たしたという。
さらに、バランス出力にも対応したフルバランス設計を採用。バランス出力端子は2.5mm。光デジタル出力兼用の、3.5mmアンバランス出力も搭載。4つの独立したアンプ回路を内蔵。基板の前面と背面の最短距離にそれぞれ配置しており、信号のロスを最小限に抑えている。
DSDは11.2MHz、PCMは384kHz/32bitまでネイティブ再生が可能。DACは、旭化成エレクトロニクスの「VERITA AK4490」を搭載。「情報量の多いハイレゾ音源を精細に、また力強く再生する」という。
仏EarSonicsのBAドライバ搭載イヤフォン2製品も展示。7月7日に発売されており、価格はオープンプライスで、店頭予想価格は3ドライバの「VELVET V2」が88,000円前後、6ドライバの「S-EM6 V2」が126,000円前後。
EarSonicsは、元ミュージシャンでサウンドエンジニアでもあったフランク・ロペス氏によって2004年にフランスで誕生。開発から生産、パッケージングまで一貫してフランスの自社工場で行なうなど、高品質を追求しているのが特徴だ。
VELVET V2は3基のBAユニットを搭載。筐体の調整スイッチでクロスオーバーのバランスを「ウォーム」「タイト」「スタンダード」の3パターンで調整できる。インピーダンスも31.5~41.5Ωの範囲で変更できる。
S-EM6 V2は6基のBAを搭載しており、構成は低域×2、 中域×2、高域×2で、3ウェイクロスオーバーを内蔵。従来のフラットで分解能の高い音に「レスポンスの良い濃厚さが加わった新たなサウンド」になったという。インピーダンスは30Ω。
finalのイヤフォンでも、新製品を参考展示。既存の「Piano Forte」シリーズのケーブルを、潤工社製のシルバーコートケーブルに変更したもの。イヤフォンの内部も改良し、「Piano Forte特有の響きの美しさを残しながら、より明瞭で、音の広がりや繊細さもアップした」という。通常のケーブルは3.5mmのステレオミニ入力タイプだが、ユーザーからの要望が多ければ、2.5mm 4極のバランスケーブル仕様のモデルも製品化を検討しているという。筐体の素材は真鍮、ステンレス、クロム銅を用意する。
JVCケンウッド
以前からポタ研に試作イヤフォンを出展しているJVCケンウッドは、今回、金属筐体に進化した試作機を用意。詳細は明らかになっていないが、ドライバはウッドコーンではないという。音道のノズルも太く、筐体の素材なども含め、様々な新しい技術が投入されたイヤフォンになっているようだ。
2つのチューニングが異なるイヤフォンを用意。来場者が試聴し、印象を開発者に直接伝えられる場となっていた。
オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン
ハイレゾポータブルプレーヤーの「rubato DP-S1」と「private XDP-30R」が、7月6日にアップデート。スクロールバー機能が追加され、スクロールスピードの調整も可能になった。ブースではそれを体験できる。
それだけでなく、9月上旬に実施予定のアップデートを先行で体験可能。スクロールバーにおいて“インデックス表示”に対応するというもので、スクロールに合わせて、曲名などの頭文字を表示するほか、「一覧リスト」の表示により、目的の曲へ直接ジャンプできるようになる。会場では実際にこれを体験し、メーカーの担当者に意見を伝える人の姿も多く見られた。
さらに、イヤフォンの新製品も参考展示。ハイレゾイヤフォン「SE-CH5」をベースモデルとし、DACを内蔵、入力端子としてUSB Type-Cを備えたモデルで、USB Type-C端子を備えたスマートフォンと直接接続できる。DACは192kHz/32bitまで対応。
実際に音を聴く事もできるが、試作機で、現時点で製品化は未定だという。「来場者の反応も参考にしつつ、今後も検討していきたい」という。
デジファイ
ステレオサウンドの雑誌DigiFiが、初参加。「ラズパイオーディオの会」を招いて、ブースを展開している。
展示は、DigiFiの付録オーディオ基板と、Raspberry Piを組み合わせた実験や、Raspberry Piの小型廉価版「Zero」(Raspberry Pi Zero)と、Zero用の小型DAC基板など。
さらに、DigiFi No.15-17の付録基板とラズパイ、そして文字表示パネルを一体化できるアクリルカバーを使って組み上げた「デジファイタワー」も出展している。