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旭化成DAC/DSD 11.2MHz対応で2万円のプレーヤー「N3」。JH Audio新イヤフォン多数

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックが主催する「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2017冬」が、2月18日の土曜日に中野サンプラザの15階/6階で開催。入場は無料。ポータブルアンプや、ヘッドフォン/イヤフォンの国内外メーカーが、初披露モデルを含めた新製品を多数出展した。ここではCayinの新ハイレゾプレーヤーや、ミックスウェーブのブースなどをレポートする。

会場の中野サンプラザ

コペックジャパン

 Cayinが、「CanJam NYC 2017」で発表したばかりの、新しいハイレゾプレーヤー「N3」のベータサンプル機を参考展示している。「はやければ3月頃の発売を目指している」というモデルで、価格は2万円程度と、リーズナブルになる予定。

Cayin「N3」のベータサンプル機

 DACチップ「AK4490EN」を1基搭載。PCMは192kHz/24bitまで、DSDは11.2MHzまでネイティブデコードできる。出力は130mW×2ch(32Ω)のステレオミニヘッドフォン出力と、同軸デジタル、さらにUSBオーディオ出力も可能。USB端子はUSB Type-Cを採用する。

USB Type-C端子を採用

 ストレージは搭載しておらず、側面に256GBまで対応するSDメモリーカードスロットを装備。さらにUSB OTGにも対応しており、音楽ファイルを保存したUSBメモリを接続して、中のファイルを再生する事もできる。

 Bluetoothにも対応し、コーデックはaptXもサポート。バッテリの持続時間は最大12時間。

側面
USBメモリを接続し、内部の音楽ファイルも再生できる

ミックスウェーブ

 注目は、16日から発売されたばかりのJH Audioの新ユニバーサルイヤフォン「PERFORMANCE SERIES」。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「ROXANNE UNIVERSAL IEM」が19万2,200円、「JH16 V2 PRO UNIVERSAL IEM」が15万6,300円、「JH13 V2 PRO UNIVERSAL IEM」が12万400円。

「ROXANNE UNIVERSAL IEM」

 ROXANNE、JH16 V2 PRO、JH13 PRO V2のカスタムIEM(インイヤーモニター)が発売済みだが、PERFORMANCE SERIESは、そのユニバーサルモデル。3Dプリンタ技術などを導入し、筐体サイズを従来より小型化する事で、装着感を高めてるのが特徴。

 「ROXANNE UNIVERSAL IEM」はバランスド・アーマチュア(BA)ユニットを低域×4、中域×4、高域×4の片側12ドライバ搭載した3ウェイ。「JH16 V2 PRO UNIVERSAL IEM」は低域×4、中域×2、高域×4の片側10ドライバ搭載。「JH13 V2 PRO UNIVERSAL IEM」は低域×2、中域×2、高域×4の片側8ドライバ構成となる。

手前の2モデルがユニバーサルの「MAVERICK II」、「MAVIS II」

 Unique Melodyのユニバーサルイヤフォンの第二世代として20日に発売するユニバーサルフィットモデル「MAVERICK II」(実売137,600円前後)、「MAVIS II」(111,000円前後)も注目を集めている。

 「MAVERICK II」は、低域用に10mm径のダイナミック型ユニット×1、バランスド・アーマチュア(BA)×1、中域にBA×1、高域にBA×2を搭載したハイブリッドの4ウェイ5ドライバ構成。

 「MAVIS II」は、低域用に7mm径のダイナミック型ユニットを2基、中域用にBA×1、高域用にBA×1を搭載した、3ウェイ4ドライバ構成。どちらもクロスオーバーポイントの最適化、フェイスプレート上のベントを2ポートにした空間表現拡張、プラチナ塗装の合金製サウンドチューブなどを新たに採用した。

qdcの「1LE」

 qdcの「1LE」は、qdcの1周年を記念した製品。18金メッキを施した豪華なケースの中に、同じく18金メッキ仕上げのハウジングを採用したイヤフォンを格納。BAシングルドライバのイヤフォンで、価格はケースとセットで41,300円程度を予定。限定モデルで、日本に入ってくる数は「50台に満たない程度」だという。

 Beat Audioからは、Lightning端子とイヤフォンを直結できるDAC内蔵ケーブルが参考展示。イヤフォン側はMMCXや、カスタムイヤフォン向けの2ピン端子などのバリエーションを用意。iPhoneとシンプルに接続して、高音質な再生が楽しめ、パワーを補うために昇圧回路も搭載している。

Beat AudioのLightning端子採用、DAC内蔵ケーブル

オンキヨー&パイオニアイノベーションズ

 ブースの注目は、2月下旬に発売するオンキヨーブランドのハイレゾ再生対応スマートフォン「GRANBEAT DP-CMX1」。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は84,800円前後。スマートフォンでは世界初となるフルバランス駆動回路とバランス出力端子搭載製品となる。

GRANBEAT DP-CMX1

 Android 6.0を搭載したSIMロックフリーのスマートフォンで、デュアルSIMスロットを装備。5型/1,080×1,920ドットのフルHD IPS液晶ディスプレイを備える。

 側面にロータリーエンコーダ式のボリュームダイヤルや再生操作用のボタンを搭載。フルバランス駆動回路を採用し、ステレオミニの出力に加え、2.5mmの4極バランス出力端子も装備。DACはESSの「ES9018C2M」、ヘッドフォンアンプは「9601K」で、セット2基をシンメトリーに配置。音質優先のため、Android基板とオーディオ専用基板は完全セパレートになっている。

 ブースでは、Android基板とオーディオ基板が分離している様子がよくわかる、内部パーツの展示も実施している。

GRANBEAT DP-CMX1の内部
筐体は無垢のアルミニウムブロック材からの削り出し
内部基板。左がAndroidの基板、右上がオーディオ基板。ノイズ対策で分離しているほか、シールドされているのも見える
このように組み込まれている

NuForce/ERATO

 バリュートレードのブースでは、NuForceブランドの新イヤフォンと、2月10日から発売している米ERATO(エラート)の左右完全分離型Bluetoothイヤフォン「MUSE5」を紹介している。

 NuForceの新イヤフォンは「HEM1」。既に「HEM8」、「HEM6」、「HEM4」、「HEM2」のラインナップが展開されているが、「HEM1」はKnowles製のフルレンジBAユニットを1基搭載したエントリーモデルで、価格は12,000円~13,000円程度を予定、春頃の発売を目指しているという。

NuForceのイヤフォンは「HEM1」

 価格を抑えながら、ケーブルの着脱も可能。端子は2ピンだが、カスタムイヤフォンで採用されている2ピンではなく、独自の端子となる。

ケーブルの着脱も可能だが、独自の端子となる

 ERATOの「MUSE5」は、左右のイヤフォンがケーブルで接続されていない、完全分離型のBluetoothイヤフォン。サウンド空間の距離感を再構築するという「ERATOSURROUND」技術を搭載しているのが特徴。オリジナルDSPと、ドライバや筐体内のチャンバーの調整などで音像定位感を向上させ、「映画館のように立体感をもって聴こえてくる」という。

ERATOの「MUSE5」

 IPX5の防水性も備え、スポーツでの利用も想定。イヤーピース3サイズに加え、特許を取得したFitSealシリコーンスリーブ3サイズも同梱。この2つを組み合わせて、耳の形状に快適にフィットするという。

特許を取得したFitSealシリコーンスリーブとイヤーピースを組み合わせ、耳にフィット

 100mAhのリチウムイオンバッテリを内蔵。キャリングケースにも700mAhのバッテリを搭載しており、収納しながら充電できる。

バッテリ内蔵ケースで充電も出来る

Astell&Kern

 アユートブースでは、Astell&Kernのハイレゾプレーヤー「AK380 Stainless Steel Package」を展示している。ステンレスチール筐体を採用した「AK380 SS」と、専用ヘッドフォンアンプ「AK380 AMP SS」をセットにしたもので、、価格はオープン。直販価格は649,980円(税込)。バンナイズ製の専用ケースも同梱し、世界限定200セットの販売となる。

「AK380 Stainless Steel Package」

 筐体に使っているステンレススチールは、“サウンド面における優位性を確認している”という素材で、高い剛性と比重により共振を抑制。ノイズフロアの減衰により、クリアネスとフォーカス感を向上させ、「究極のフラッグシップモデルに新たなる高音質をもたらす」という。

専用ヘッドフォンアンプ「AK380 AMP SS」もステンレススチール筐体になっている

 DITAの参考展示も豊富。昨年10月の「秋のヘッドフォン祭2016」展示とほぼ同じで、DITAのフラッグシップイヤフォン「DITA DREAM」を出展しているが、まだ音は最終ではないという。

「DITA DREAM」も出展

 マルチコートマイラー振動板による新開発のダイナミック型ドライバーを搭載。リケーブルに対応し、イヤフォン側の端子は2pin。さらに独自の機構により、プレーヤー側のプラグを交換できる点が特徴。プラグは2.5mm 4極と、3.5mm 3極、さらに4.4mm 5極なども用意する予定。

 さらに、「DITA Truth Replacement Cable」も参考展示。Van den Hulと開発した「The Truth」ケーブルをベースにしつつ、入力プラグがステレオミニと、2.5mm 4極で交換できる。イヤフォン側は2ピンと、MMCXモデルを用意。銅コーティングのバリエーションも参考展示され、4.4mm 5極のプラグも予定。

「DITA Truth Replacement Cable」。ケーブルの中身が少し見えるようになっており、銅コーティングのバリエーションも用意

 2.5mm 4極を、3.5mm 3極に変換するケーブルで、Truth Cableを使った「Truth Adptor 2.5 to 3.5 Cable」も参考展示している。

「Truth Adptor 2.5 to 3.5 Cable」

 また製品化の予定はないが、DITA Brassを改造し、3.5mm 3極入力を4.4mm 5極バランスにしたものも聴けるようになっていた。

DITA Brassを4.4mm 5極バランス入力にした改造品