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ヤマハがAVアンプの音場創生技術をポータブルに、“聴くVR”。イヤフォン新機種も
2017年7月15日 14:24
国内最大級のイヤフォン&ヘッドフォン体感イベント「ポータブルオーディオフェスティバル2017 SPRING&SUMMER 東京/秋葉原(通称:ポタフェス)」が15日に開幕。期間は7月15日、16日。会場は秋葉原にあるベルサール秋葉原の地下1階、1階、2階。入場は無料。ここではS'NEXTブース内のヤマハコーナーをレポートする。
“聴くVR”
イヤフォン×2製品、ヘッドフォン×1製品を参考展示しているほか、AVでアンプの「シネマDSP」でお馴染みの音場創生技術を、ヘッドフォン向けに展開し、“聴くVR”をテーマにしたユニークなアンプの試作機が展示されている。
このアンプには、ヤマハの開発部門とR&D部門が共同開発した、高品質なHRTF(頭部伝達関数)を使った音源定位技術と、2chのソースを5chに拡張し、セリフをセンターに、BGMや効果音をセンター以外に配分する技術、3次元の音場生測定データを用いた音場創生技術を組み合わせたもの。これらはAVアンプで培った技術をベースとしている。
音場のモードとして、「野外フェス」、「アニメ」、「映画」、「室内ライブ」、「音楽再生」を用意。会場では「室内ライブ」と「アニメ」を切り替えて試聴できるようになっている。
実際に体験してみたが、どちらのモードでも頭内定位が緩和され、センターの音像が頭の中から、自分の前に移動するのがわかる。アニメキャラのセリフが明瞭で聴き取りやすくなり、同時に効果音やBGMの広がりが、より広大に感じられる。室内ライブモードでは、広がる音楽に包み込まれる感じがアニメよりも強いと感じる。
ヤマハのシネマDSPでは、元のオーディオ信号に手を加えず、その音が音場に出力された際に、部屋の壁などにあたり、反射して戻ってくる初期反射などをプラスする事で、オーディオ信号の情報量低下を抑えながら、音場を拡張しているが、今回の試作機でもそのこだわりが感じられる。逆に、ヘッドフォンで聴く事で、ヴォーカルの細かな描写など、情報量が落ちていない事が確認しやすくなっており、生々しい音のまま、前方定位や、音場の広さを実感できるデモになっていた。
デモ用の試作アンプは据え置きタイプだが、「この機能を搭載した製品を発売するなら、こんなイメージ」というポータブルヘッドフォンアンプのコンセプトモデルも展示されている。音声データの処理だけであれば、スマホ向けアプリなどでも実現できそうではあるが、「処理だけでなく、音質面も含めて、トータルで作り込みをするためにDAC内蔵ポータブルアンプとしての開発を検討している」という。発売時期や価格は未定だが、2018年の製品化を目指しているという。