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急増するデータセンターの映像処理用に「Sea of Transcoders」開発。ソシオネクスト

 ソシオネクストは、データセンターにおける映像データ処理の処理効率を従来の10倍以上に向上できるという「メディアクラウド」プロジェクトを開始した。パートナー各社と協力してサーバー製品および関連サービスを開発・提供する予定で、2018年には実製品の稼働を開始する。

Sea of Transcoderを搭載したサーバーのイメージ

 4Kなど高画質の映像が大量に消費されるのに伴い、高効率、高密度、かつリアルタイムでのトランスコード処理の必要性が高まっていることからプロジェクトを開始。現在、全世界のサーバー処理量の約20%がデータのエンコードとトランスコードに利用されていると推定されており、新規格のHEVCの登場により伝送レートは下がるものの、さらに膨大な映像処理能力が求められている。こうした状況に対応した映像処理システムとして、データセンター等への導入を目指す。

 ソシオネクストは、同社のSoC「MB86M30」を高密度に配置した「Sea of Transcoders」を、FFMpegやGStremerといった実績あるソフトウェアコンポーネントをサポートするCPUと共に1ラックユニット(RU)化した。今回開発したシステムは、AVC/HEVCのABR(Adaptive Bit Rate)ストリームを最大で256バンドル同時にトランスコード可能(入力映像が1080p60の場合)。MPEG-2、MPEG-4 AVC/H.264、HEVC/H.265の音声、映像のエンコード、デコード、トランスコードに対応する。また、従来の標準的な構成のサーバーシステムと比較し、消費電力を約1/10に抑えることができるため、システム運用コストも大幅に削減できるという。

 具体的な用途としは、ライブのコンテンツ配信やエッジ処理の最適化、ビデオ会議システム、OTT(Over The Top)ブロードキャストなどを想定。パートナー各社と協力し、2017年秋以降にMB86M30を搭載したデータセンター向けサーバーとして提供開始する。9月14日にオランダで開催される「IBC」にも出展する。