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ポスターが人に話しかける「音響AR」をNECが開発。歩きスマホ対策にも

 NECは、ヒアラブルデバイス(ワイヤレスイヤフォン)を活用して現実世界に音情報を付与(デジタル化)する「音響AR(拡張現実)技術」を開発。マーケティングの高度化、業務効率化、案内サービスの提供などを実現するという。2018年度の事業化を目指している。

音響AR技術のイメージ

 今回発表されたのは、3次元的な音の方向感や距離感などを仮想的に再現することで臨場感のある音場を表現する「立体音響」と、ヒアラブルデバイスに搭載された9軸モーションセンサーを活用して顔の向きや移動方向に関係なく音源を任意の位置に固定する「音響定位」をワイヤレスで実現するという世界初の技術。

 これを活用することで、例えば施設内において展示品やポスターなどのモノが個人に直接話しかけるといった個人のニーズに沿ったプロモーションや、人それぞれの目的に沿った誘導・道案内などが可能になるとしている。

 また、ヒアラブルデバイスから得られる生体情報や音声、活動状態などの情報を活用することで、生活や仕事における様々な活動を妨げることなくサービスの利用が可能となり、「歩きスマホ」の対策にも貢献するという。今後はヒアラブルデバイスを活用し画面を必要としない新たなコンピューティングスタイルを提案。次世代通信規格5Gや他のIoTプラットフォームサービスとの連携による新たなソリューションの創出を推進するという。

 今回の技術は、これまで発表した耳音響認証技術や、屋内位置測位技術、バイタルセンシング技術などと組み合わせた「ヒアラブルプラットフォームサービス」として、2018年度の事業化を目指す。同社は10月3日に開幕する「CEATEC JAPAN 2017」で、ヒアラブルデバイス向けの取り組みについて、デモを交えて紹介する予定。

音響AR技術の活用イメージ
2016年のCEATEC JAPANでの「耳音響認証技術」デモ