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イヤフォンを着けて本人認証、感情分析まで可能に? “耳元でつながるネット”

 NECは、イヤフォンを耳に装着することで個人を認証する「耳音響認証技術」をCEATEC 2016のブースで紹介。「耳元でつながるインターネット」として提案している。

NECの「耳音響認証技術」デモ

 この技術は3月に発表されたもので、人によって耳穴の形状が異なることを活用し、耳の中で反響する音を使って、個人を判別するバイオメトリクス個人認証技術。今回のCEATECでは、市販のイヤフォンとスマートフォンを使ってこの技術を活用できることを紹介している。

 マイク一体型のイヤフォンを耳に装着した後、耳穴の中でイヤフォンから音を出し、耳の中を伝搬した音をマイクで集音。個人特有の耳の形状によって決まる音響特性を1秒以内で瞬時に測定できるという。他人受入率(他人を本人と誤認する確率)は0.01%、本人拒否率は3%だが、認証繰り返しで解決可能としている。

 指紋などのように、認証用機器に体の一部をかざすなどの動作が不要で、移動中や作業をしながらでも、イヤフォンの装着だけで常時認証ができるのが特徴。施設の保守・管理や警備などの業務で、なりすまし防止ができる。

 そのほか、イヤフォンで配信音楽などを聞いているときに、「その楽曲を購入した本人かどうか」を判別するなどコンテンツ保護にも活用できるという。認証のための音は、実際に聞こえるテスト音を使っているが、可聴域外の音で認証することも技術的には可能とのこと。

「耳音響認証技術」の特徴

 イヤフォンは専用の機器である必要はなく、イヤフォンのハウジング部にマイクが備わっていれば市販のものでも活用可能。スマホのアプリやブラウザを介して事業者が管理できる。Bluetoothイヤフォンでも活用でき、左右完全ワイヤレスの独Bragi「The Dash」などもそのまま利用できるという。

スマホ画面で認証の履歴を確認
左右ワイヤレスイヤフォンの「The Dash」でも利用可能

 現時点では、耳穴による個人認証として紹介しているが、将来は、イヤフォン内のセンサーを活用した位置の測定や、声のトーン/脈拍からの感情分析なども構想として持っているという。長距離バス運転手が長く運転しすぎて疲れていないかといった状態管理の用途も活用シーンとして想定している。