JVA、'08年ビデオソフト売上を発表。BDは全体の3.4%に

-全体は5年ぶりに3,000億円割れ


統計調査委員会の木村康詩委員長

3月10日発表



 社団法人日本映像ソフト協会(JVA)は10日、2008年ビデオソフト売上における統計調査結果を発表した。ビデオソフトの総売上は2,860億9,800万円で、前年比で88.9%となった。

 2008年の統計から、Blu-ray Disc(HD DVD含む)と、UMDの実績を新たに加えた。売上金額のうち、メディア別の構成比はDVDビデオが96.4%、ビデオカセットが0.1%、Blu-ray(HD DVD含む、以下BD)が3.4%、UMDが0.1%となった。


■ DVDは「音楽(邦楽)」と「TVドラマ」が好調

統計調査の結果報告を行なう管理部次長兼広報課長の上田直子氏

 DVDビデオの売上金額は前年比86.9%の2,757億2,700万円で、5年ぶりに3,000億円台を切る結果となった。流通チャネル別にみると、販売用が63.6%、レンタル店用が35.9%、業務用が0.5%。

 販売用の売上額は前年比83.9%の1,753億5,600万円で、2003年以降続いていた2,000億円台を切る結果となった。レンタル店用については同92.8%の989億3,400万円。

 ジャンル別の統計では、2008年からの変更として、これまでの「洋画」、「海外のTVドラマ」に含まれていたアジアの作品を分けて、それぞれ「アジアの映画」、「アジアのTVドラマ」のカテゴリを新設した。

 販売用DVD売上金額の構成をジャンル別に見ると、1位は3年連続となる「日本のアニメーション(一般向け)」で構成比は27.0%。2位は同17.3%で「音楽(邦楽)」。「洋画」が14.1%(洋画/アジアの映画を合わせると14.6%)と、「音楽(邦楽)」に抜かれて3位となった。

 販売用で特に好調だった「音楽(邦楽)」は、金額ベースで前年比117.8%と伸長。「海外のTVドラマ」と「アジアのTVドラマ」の合計は同100.5%という結果になった。一方、そのほかのジャンルでは「日本のアニメーション(一般向け)」が前年比81.2%、「洋画」と「アジアの映画」の合計が同60.6%、「邦画」が同80.2%とそれぞれ減少している。

 DVDビデオのレンタル用をジャンル別で見ると、「洋画」と「アジアの映画」の合計が構成比27.9%で1位。「海外のTVドラマ」と「アジアのTVドラマ」を合計すると同26.1%で、「日本のアニメーション(一般向け)」の同18.2%を上回っている。


■ BDは約3倍に伸長

 BDの売上金額は98億6,000万円で前年比301.5%と約3倍の伸びを記録した。数量は前年比223%の230万2,200枚/本。ソフト全体に占める割合は金額ベースで3.4%、数量ベースで2.7%。2008年におけるBD新作数は前年比258.2%の674本となっている。流通チャネル別にみると、販売用が92.3%、レンタル店用が7.7%。

 BDのジャンル別売上では、販売用は日本のアニメーション(一般向け)が構成比48.0%で1位。2位が洋画で同43.7%。レンタル用においては、洋画が同79.7%で1位。2位は日本のアニメーション(一般向け)で同11.4%。BD市場は、実質この2ジャンルで占められている。

 出荷金額を出荷数量で割った平均単価では、DVDビデオは前年同期比100.7%でほぼ変化はないが、BDは前年比135.2%で4,283円で、DVDビデオの3,298円を約千円上回る結果となった。UMDは1,247円(同91.7%)。


■ 2009年は「V字回復が期待できる」

 統計委員会の木村委員長は、2008年のビデオソフト売上が前年比88,9%となった結果を踏まえ、「この結果だけを見て、もうDVDが売れないと捉えるのは間違っている」と説明。DVDマーケット全体が不調であったわけではなく、ジャンルによっては好調な分野もあったとしている。

DVD「販売用」ジャンル別売上金額推移

 売上減少の主な理由について、セルDVDにおいて洋画DVDの売上が大幅に減少したことが要因と説明。この要因には、旧作の拡販が頭打ちになったことや、新作のビッグタイトルが減少したことなどの背景があると分析。

 洋画以外のジャンルでは海外ドラマや音楽DVD(邦楽)が緩やかに伸長し、他ジャンルを下支えしながらも、全体的には前年割れという結果になったと説明した。なお、2009年は「崖の上のポニョ」などの有力タイトルのリリースが予想されることから、木村委員長は「売上のV字回復が期待できる」と述べた。


(2009年 3月 10日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]