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社団法人日本映像ソフト協会(JVA)は29日、2008年上半期(1~6月)の統計調査結果を発表した。ビデオソフトの総売上は1,415億9,100万円で、前年同期比で94.9%となった。 今期の統計からの変更点として、Blu-ray DiscにHD DVDを含めたものと、UMDの実績を新たに加えた。売上金額のうち、メディア別の構成比はDVDビデオが98.2%、ビデオカセットが0.1%、Blu-ray(HD DVD含む、以下BD)が1.6%、UMDが0.1%となった。 ■ DVDは邦楽と海外ドラマが好調
DVDビデオの売上金額は1,390億3,200万円。前年同期比94.0%で、上半期の実績としてはこれまでで4番目の結果となった。流通チャネル別にみると、販売用が64.7%、レンタル店用が35.0%、業務用が0.3%。
販売用の売上額は899億4,300万円で前年同期比92.8%。上半期実績としては2004年をピークに下降しており、レンタル店用については486億2,800万円で前年同期比97.0%で初めての前年同期割れとなった。説明を行なった管理部次長兼広報課長の上田直子氏は「セルと同様に、レンタルもビデオテープからDVDへの置き換えによる在庫の入れ替えがひと段落したため」とした。 ジャンル別の統計では、今期からの変更として、これまでの「洋画」、「海外のTVドラマ」に含まれていたアジアの作品を分けて、それぞれ「アジアの映画」、「アジアのTVドラマ」のカテゴリを新設した。 販売用DVD売上金額の構成をジャンル別に見ると、1位は前年同期と同じ「日本のアニメーション(一般向け)」で27.4%だったが、これまで2位だった「洋画」が12.9%(洋画/アジアの映画を合わせると13.1%)となり、「音楽(邦楽)」の17.9%に抜かれて3位となった。 販売用で特に好調だった「音楽(邦楽)」は前年同期比129.5%。「海外のTVドラマ」と「アジアのTVドラマ」の合計は同116.7%。「海外のTVドラマ」と「アジアのTVドラマ」の比率は43.8:56.2で、アジアの方が比率が高かった。そのほかのジャンルでは「日本のアニメーション(一般向け)」が前年同期比86.5%、「洋画」と「アジアの映画」の合計が同81.3%、「邦画」が同82.1%とそれぞれ減少している。 DVDビデオのレンタル用をジャンル別で見ると、「洋画」と「アジアの映画」の合計が構成比28.3%と最も高い。「海外のTVドラマ」と「アジアのTVドラマ」を合計すると24.7%で、「日本のアニメーション(一般向け)」の19.9%を上回っている。なお、「海外のTVドラマ」と「アジアのTVドラマ」を売上数量で前年同期と比較すると167.3%と大きく伸びているが、これは、メーカーから安価に仕入れ、レンタル回数に応じて収入が決まる「レベニューシェアリング」方式によるものと見られる。 ■ BDは前期比では約2倍の伸長。平均単価は3,867円
BDの売上金額は22億6,600万円。ソフト全体に占める割合では金額が1.6%、数量が1.4%と低いが、前年同期比では金額が195.5%、数量が179.4%と大きく伸びている。なお、売上額に占めるHD DVDの割合は3.7%、数量では4.7%となっている。BDのジャンル別では、洋画が68.6%、日本のアニメーションが20.9%となり、これらがほとんどを占めている。 なお、今年からはBDのレンタルも開始されているが、現状ではBDの売上額は9割が販売。レンタルについても「市場は、急にではなく徐々に大きくなるのでは」(上田管理部次長兼広報課長)としている。 出荷金額を出荷数量で割った平均単価では、DVDビデオは前年同期比100.7%で変化はない。BDは3,867円(前年同期比109.0%)で、DVDビデオの3,399円をやや上回っている。UMDは1,435円(同87.3%)。 ■ BD市場の見通しと普及への課題
統計調査委員会の上田武二郎委員長(株式会社ポニーキャニオン 営業本部長)は、メーカーの立場から見たBlu-ray市場の今後の見通しとして、「セルは確実に比率が上がっていく」と推測。一方でDVDからの移行については「画質にこだわる層と、普通に見られればいいという層が並存する」とし、「メーカーから見ると、投資が大きい。決着がつくのはまだまだ先だが、その段階でどちらかに軸足を置く」というニュートラルな姿勢。現状では「新たなユーザー層に訴求して、2つとも拡大させる」との意向を示した。
後藤健郎理事・事務局長は「今後Blu-ray対応ハードウェアがどれくらい出てくるかがなかなか見えていないのが不安材料」としながらも、「完全デジタル放送化される2011年には、消費者もハイクオリティなものに目が慣れる。コンテンツもそれに合わせていかなければという時間的な問題がある」とした。 一方で「AACSのファウンダーメンバーとの最終契約がまだ結ばれていない。AACSの保護手段によりマネージドコピーが運用され、それに当たってISAN(国際標準視聴覚作品番号)を取得しなければならないが、その元になる詳細な運用面での契約がまだ固まっていない。それらも含めた環境整備ができないと、新しいものを出していくのは難しい」との課題を指摘した。
□JVAのホームページ ( 2008年9月11日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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