“画質もネットも省エネも”。「AQUOS D」の強化点は?
-新映像エンジン搭載第1弾。実はDLNA対応
シャープは6月10日より液晶テレビ「AQUOS DS6シリーズ」を発売する。70機種に及ぶAQUOSラインナップのなかでも、中核モデルに位置付けられており、52型の「LC-52DS6」、46型の「LC-46DS6」、40型の「LC-40DS6」、32型「LC-32DS6」の4サイズで、カラーバリエーションを含めて10機種展開する。
製品名 | サイズ | パネル | カラー | 店頭予想価格 |
LC-52DS6 | 52型 | 1,920×1,080ドット | ブラック(-B) ホワイト(-W) | 45万円前後 |
LC-46DS6 | 46型 | ブラック(-B) ホワイト(-W) | 35万円前後 | |
LC-40DS6 | 40型 | ブラック(-B) ホワイト(-W) レッド(-R) | 25万円前後 | |
LC-32DS6 | 32型 | ブラック(-B) ホワイト(-W) レッド(-R) | 20万円前後 |
LC-40DS6-R(左)、LC-32DS6-B(右) | LC-46DS6-W |
特徴は大きく分けて二つ。まずは新開発の「高画質マスターエンジン」を搭載したこと。AQUOSの映像処理エンジンとしては6世代目のプラットフォームとなり、動画ボケを抑制する「Wクリア倍速」などの新機能を搭載。画質の向上に努めている。
また、ネットワーク機能も強化。新たにNTT東西の多チャンネル映像サービス「ひかりTV」に対応したほか、5月にスタートする「Yahoo! JAPAN for AQUOS動画チャンネル」の初対応製品となる。もちろんAQUOSシリーズとして、省エネ性能にぬかりはなく、省エネ達成率五つ星を達成。15日よりスタートした「エコポイント」制度の対象商品となっている。
AQOUS DS6の位置づけは「べストバランスTV」 | AQUOSは全70モデルを用意 |
■ 新プラットフォームで高画質/高機能化。エコポイントに期待も
パネルサイズは、32/40/46/52型の4サイズ。従来モデルの「AQOUS DS5」では、32/37/42型というサイズ構成だったが、大画面化への要求は上位機だけでなく、スタンダードモデルも高まっているという。そのため、今回は52、46型を追加。また、37型を廃止して40型としたのも、“少しでも大画面へ”というニーズから、40型が人気を集めると判断したためという。
高画質マスターエンジンの特徴 |
いずれも1,920×1,080ドットのフルHDパネルを採用。新開発の「高画質マスターエンジン」により、さまざまな高画質化技術を盛り込んでいる。新エンジンは、今後順次発売されるAQUOSの基本プラットフォームとして、各種画質処理回路やネットワーク機能などを集積したもの。詳細は明らかにしていないが、液晶パネル/システムLSIにおける東芝との事業提携の一部も反映されているという。
この新プラットフォームにより高画質化を実現。倍速駆動技術「Wクリア倍速」は、24/60コマの映像に対して、適切な補間フレームを生成し、120コマ表示して残像を低減するほか、撮影時にカメラをパン(左右に動く)した際に生じるボケを検出して補正。クリアな映像再現を図るもの。
従来は入力した映像からそのまま補間フレームを生成していたが、新たにフレーム生成の前段で、動き検出とともに、パン速度検出や画像そのもののボケを検出する新アルゴリズムを実装。それらのデータを活用して補間フレームを生成することで、動画ボケを大幅に減少した。
シーンに応じてノイズを高精度に低減し、コントラストや色を調整する「アクティブコンディショナー」も新搭載。ブロック/モスキートノイズを低減するほか、暗いシーンの色滲みなどを抑制するという。ノイズ検出するエリアをより細分化して、従来モデルより大幅に高精度にノイズ低減が可能となったという。
パネルのコントラストは2,000:1、テレビコントラスト15,000:1、輝度450cd/m2とパネルスペックとしては既発売の「AQUOS EX5」などと同じ。ただし、これを実際に見てみると確かに画質が“違う”。東京ドームでのライブ映像を見てみると、暗所のディティールなどがしっかりと見えるだけでなく、従来モデルでは黒くつぶれていた観客席に座る人影などがしっかりと判別できる。ノイズ低減などの違いも確かに確認できた。
「近年、省エネ性能をすっとアピールしてきているが、“省エネモデルだから画質に手を抜いている”と思ってほしくない。新しい製品では確実に画質が向上していることを知ってほしい(AVシステム事業本部 要素技術センター 第二開発部 小池晃 副参事)」と語る。
高画質クリア倍速を搭載 | 新たにアクティブ設定の項目を用意 | 24コマ映像をなめらかに表示するフィルムモードも搭載した |
省エネ基準で星5つを達成している |
省エネ性能についても、全モデルが省エネ基準で星5つを達成。無信号電源オフや無操作電源オフなどの節電機能も搭載している。
星5つということで、「エコポイント」制度の対象製品となるが、その効果については、「期待しています。特に40型以上の製品では製品価格に対して10%を超える値引き率になるものも多い。例えば、“エコポイント分の差額でワンサイズアップ”など積極的にアピールしていきたい(AVシステム事業本部 事業戦略推進室 参与 出野忠男氏)」という。
■ ひかりTVやYahoo!の動画サービスなどネット強化。実はDLNA対応
Ethernetは1系統で、すべてのネットサービスをまかなう。HDMI入力なども装備 |
もう一つの特徴といえるのがネットワーク機能。「アクトビラ ビデオ・フル」だけでなく、NTT東西が展開している多チャンネル映像配信サービス「ひかりTV」に対応している。
ひかりTVの受信機能を内蔵しているため、別途対応チューナを用意することなく、ひかりTVの契約を行なうだけで利用可能となる。
ひかりTV、アクトビラ、Yahoo!の動画サービスなど3種類のネットワークサービスに対応 | HD対応のネットワークサービスのために専用のEXシステムを採用している | ネットサービスのトップページ |
ひかりTVは、ネットワーク経由の多チャンネル放送に加え、オンデマンド型のビデオ配信も用意しているが、いずれも視聴可能。多チャンネル放送は番組表表示や、裏番組確認などの機能も備えている。
ひかりTV | ひかりTVの番組表 | 裏番組確認などの機能も備えている |
Yahoo! JAPAN for AQOUSのトップページ |
AQOUS DS6で初対応となるのが、Yahoo! JAPANのテレビ用動画配信サービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS動画チャンネル」だ。5月よりサービス開始予定で、ニュースやスポーツ、ドラマ、テレビなどのYahoo!おすすめ動画がHD解像度で配信される。
画面右にカテゴリを表示して動画を検索できるだけでなく、リモコンの下ボタンを押すと同一カテゴリのおすすめ動画を画面下にオーバーレイして表示。左右で別カテゴリの動画を表示するなど、視聴画面を邪魔せずに動画検索を行なえるような工夫も施している。
再生画面 | 再生中でも、下側に簡易動画検索画面を表示できる | 右側に動画カテゴリなどを表示 |
ホームネットワーク機能 |
また、ニュースリリースなどでは発表されていないのだが、実はDLNAクライアント機能「ホームネットワーク」も搭載している。動画再生はできないが、パソコンやLAN HDDなどのDLNAサーバーに蓄積した写真や音楽ファイルを、AQUOSから再生できるのだ。
写真は、JPEG画像表示に加えてスライドショーも可能。音楽付きのスライドショーや、前回利用時に最後に表示した写真を、次回の利用時に最初に表示するレジューム機能も備えている。音楽はMP3とリニアPCMの再生に対応している。
なお、ネットワーク経由の動画再生については、開発のスケジュールなどから今回は対応できなかったが、今後の製品では対応は検討していきたいという。
ネットワーク経由で写真表示 | 音楽再生機能 | リモコンの上部にインターネットボタンなど |
スピーカーはアンダースピーカータイプで、フルデジタル1ビットアンプを採用。最大出力は10W×2ch。また、テレビ番組からCMに切り替わる際などの急激な音量変化を自動的に抑える「オートボリューム」も搭載している。
リモコン | 側面 | バスレフポートも装備する |
スタンダードモデルながら、「高画質マスターエンジン」の搭載により画質向上を果たし、“付加機能”といえるネットワーク機能も大幅に強化した「AQOUS DS6」。シャープ自身が「べストバランスTV」と位置付けるとおりの、魅力的な製品に仕上がっている。
画質はもちろん、ひかりTV対応などの新しいネットワーク機能も、新しいプラットフォームだからこそ実現できたものという。さらに今後の拡張も予定しているとのことで、上位モデルでの画質や機能面の向上など、まだまだポテンシャルを秘めている。新プラットフォーム第1弾のAQOUS DS6は魅力的なモデルチェンジを遂げたが、今後のAQOUSシリーズの進化にも期待ができそうだ。
(2009年 5月 15日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]