個性派オーディオが集う「Hi-End Show Tokyo」が開幕

-DYNAUDIOとトライオードがコラボ。携帯アンプも


交通会館

会期:5月22日~24日

会場:東京・有楽町
    交通会館  12F ダイヤモンドホール
 

入場料:無料

  オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント「Hi-End Show Tokyo 2009 SPRING」が22日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は5月22日~5月24日までの3日間。入場は無料。

会場入り口
 同イベントは2006年まで、1年に1度、10月に開催されていた。しかし、1年に複数回開催して欲しいという来場者からの要望や、新製品をより早く紹介したいというメーカーの声を受け、2007年から春(5月)と秋(10月)の年2回開催されている。

 交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なっている。なお、従来は3階のグリーンルームでロッキーインターナショナルが単独でデモコーナーを設けていたが、今回同社も12階にブースを設けているため、会場は12階のみとなる。参加企業は23社(2008年10月のHi-End Show Tokyo 2008 秋は45社)。


■ トライオード

 管球アンプを中心に手掛けるトライオードのブースでは、スピーカーメーカーのDYNAUDIO JAPANとコラボレーションした、CD/プリメインアンプ/ブックシェルフスピーカーのセットシステム「SONOPRESSO」(ソノプレッソ)を発表。7月初旬の発売を予定しており、セット価格は25万2,000円。

SONOPRESSO
 「iPodなどを活用する若い世代には、斬新なシステムとして管球アンプを訴求。セットシステムで提案することで“何を買ったらいいかわからない”という難しさを無くしたい。また、かつてオーディオを楽しんでいた年配の方には懐かしさと共に、もう一度オーディオを楽しんでもらうキッカケとしていただきたい」(DYNAUDIO JAPAN 前田正人代表取締役)というコンセプトで開発されたという。

 中核となるのはプリメインアンプの「TRV-35SEB」。トライオードの「TRV-35SE」をベースにしたものだが、搭載する真空管をスロバキアJJ製の「ECC803」に換装。組み合わせるDYNAUDIOのスピーカー「DM2/7」用にチューニングされている。最大出力は45W×2ch。入力はRCA(アナログ音声)をフロントパネルに1系統、背面に2系統用意。プリアンプ入力、レックアウト、イヤフォン出力も各1系統備えている。前面にアナログ入力を備え、ポータブルプレーヤーの接続を容易にしている。

 ソースとなるCDプレーヤーは「TRV-CD1SEB」。S/N比は100dB。ダイナミックレンジは120dB。チャンネルセパレーションは92dB(1kHz)。全高調波歪率0.002%。DACはバーブラウン「PMC1792」を採用。出力はアナログ音声をRCAとXLRの各1系統、同軸デジタル出力も1系統備える。

 組み合わせるスピーカーは「DM2/7」と呼ばれるモデルで、海外では既に発売されているが、日本では未発売の機種。現在のところ「SONOPRESSO」でのセット販売のみで、単品発売は予定されていない。2ウェイのブックシェルフで、28mm径のファブリックドームツイータと、17cm径のコーンウーファを搭載。能率は86dB。インピーダンスは4Ω。外形寸法は215×265×355mm(幅×奥行き×高さ)。重量は7.5kg。

組み合わせるスピーカー「DM2/7」

上段がプリメインアンプの「TRV-35SEB」。下段がCDプレーヤーの「TRV-CD1SEB」

スピーカーに合わせ、搭載する真空管をスロバキアJJ製の「ECC803」に換装

 会場では管球アンプらしい、中域に厚みのあるサウンドながら、DYNAUDIOの芯のあるカチッとした描写力も併せ持つ、芳醇だが現代的な音で注目を集めていた。従来のオーディオショップだけでなく、より多くの人が触れられるよう、販路の拡大も検討されている。

 トライオードの注目の新製品は、9月発売予定のプリメインアンプ「TRV-845SE」。すべて3極管を採用した純A級のプリメイン。使用真空管は「845」、同社初という「2A3」、「6SN7」。立ち上がりが良く、さらに精細さのある再生音を目指しているという。価格は50万4,000円。回路形式はCR型のプリメインで、最大出力は20W×2ch。全高調波ひずみ率は0.1%。S/N比は89dB。入力はRCA×3系統、XLR×1系統、プリ入力も1系統備えている。

 ほかにも発売が開始されたMCステップアップトランス「TR-MC1SE」(10万5,000円)や、創業15周年記念モデルとして、「EL34」を使ったプリメインアンプキット「TRK-34」も参考展示された。

9月発売予定のプリメインアンプ「TRV-845SE」

MCステップアップトランス「TR-MC1SE」

「EL34」を使ったプリメインアンプキット「TRK-34」


■ DYNAUDIO JAPAN

 SONOPRESSOにスピーカーを提供しているDYNAUDIO JAPANのブースでは、DYNAUDIOの新スピーカー「Focus 110A」を出品している。型番通り、Focusシリーズの2ウェイブックシェルフ「110」(ペア:19万9,500円)をベースにしたものだが、背面にアンプを内蔵したアクティブスピーカーになっているのが特徴。そのため、型番の末尾に「A」が付いている。

 スピーカーとしての仕様は「110」と同じで、28mm径のツイータ、150mm径ウーファを搭載。エンクロージャはバスレフ。搭載アンプはアナログで、ツイータ用に50W、ウーファ用に50Wのバイアンプ駆動。再生周波数帯域は45Hz~21kHz。クロスオーバー周波数は1.3kHz。外形寸法は173×322×305mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.8kg。入力はアナログ音声(RCA)。

Focus 110Aアンプを内蔵している弟分になるMC15

 同社は「MC15」(ペア:17万8,500円)という、デスクトップ設置を想定した小型アクティブスピーカーを販売しているが、その上位モデルと位置付けられている。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は25~6万円前後の見込み。6月の発売が予定されている。

 そのほかにもDYNAUDIO JAPANのブースでは、4月に発売されたばかりのフロア型「Focus 220mkII」(ペア:42万円)や、「Focus 360」(ペア:79万8,000円)などの新製品が紹介されている。

Focus 110Aの試聴も可能Focus 220mkII左がFocus 360


■ ポーカロ・ライン

 ポーカロ・ラインのブースでは、米国のMicrosharというメーカーのポータブル・ヘッドフォンアンプ「μAMP109」と「μAMP109+」の2機種を出品。9V 250mAHのニッカドバッテリを内蔵したA級動作のアンプで、ヘッドフォンは16Ω~600Ωまで対応。充電用ACアダプタも同梱し、9Vのポータブルヘッドフォンアンプ、もしくは14Vのデスクトップ・ヘッドフォンアンプとして使用できる。

 ゲイン調整は0dB~15.5dBまで6段階で変更可能。歪率は0.00003%以下。周波数特性は5Hz~300kHz。筐体にはダイキャストアルミケースを使っている。

Microsharのポータブル・ヘッドフォンアンプ「μAMP109」

筐体にはダイキャストアルミケースを使っている

背面

 「μAMP109」と「μAMP109+」の違いは、「μAMP109+」のみDACを内蔵し、USBの入力端子も備えていること。PCと接続すればUSBオーディオとして動作し、PCの音声をD/A変換し、増幅できる。価格は「μAMP109」が3万5,000円程度、「μAMP109+」が4万5,000円程度を予定。6月中の発売を目指している。

DAC内蔵のμAMP109+背面。USB端子を備える

 これらのポータブル・ヘッドフォンアンプと組み合わせて使用する、iPodやiPhone用のDock出力変換ケーブルも紹介。アナログRCAに変換し、ポータブル・ヘッドフォンアンプの入力へと接続する「iPhone/iPod Cable MSPHONELIN-RCAS1-35IN」は、長さ87.5cm。特注クロスリンクポリエチレン絶縁体や、99.99%純度の無酸素銅線など、高品位な素材を採用。価格は4万円程度。ステレオミニに変換する「MSPHONELIN-B51-6IN」は20cmで、2万円台で発売される。発売時期はどちらも6月頃。

MSPHONELIN-B51-6IN

iPhone/iPod Cable MSPHONELIN-RCAS1-35IN

 arteという日本のメーカーの音響パネル「ピラミッド」は7月頃に発売予定。価格は3万9,000円を予定している。名前の通り、ピラミッド型をした拡散/吸音パネルで、サイズは600×600×115mm(縦×横×高さ)。1kgと軽量のため、付属の虫ピンで壁などに取り付け可能。オーディオルーム用の吸音材や音響ボードのような、目を引く形状の形状をしていないため、インテリアとの調和が図れるという。

 同社ブースではほかにも、デンマークtangent audioの新フラッグシップスピーカー「PRESTIGE」や、「LOUNGE」シリーズ、3月から発売している「HiFi-200EUROPE」シリーズなどを紹介している。

arteの音響パネル「ピラミッド」

「HiFi-200EUROPE」シリーズ

tangent audioの新フラッグシップスピーカー「PRESTIGE」や、「LOUNGE」シリーズ


 

■ そのほか

SoundFidelity Model-2
 イー・エム・ティのブースでは、オーディオ用PC(Super Digital Audio Player)「SoundFidelity」の新モデル「SoundFidelity Model-2」を参考展示している。CDのデータをリニアPCMなどにリッピングしてから再生することでジッタを軽減し、高品質な再生ができるというプレーヤーで、CD/DVDドライブを搭載。出力はAES/EBU。OSはWindows XP。従来モデル「Model-1」(178万5,000円)はHDDを採用していたが、「Model-2」では合計約200GBのSSD(システム用の32G SLC型/データ用の160GB MLC型)を内蔵し、筐体をコンパクトにしたのが特徴。価格も100万円程度に抑えられ、6月の発売を予定しているという。

 完実電気のブースでは、5月9日に開催された「春のヘッドフォン祭2009」でも展示された、モンスターケーブルのヘッドフォンの「MH BEATS PI OE」(実売44,000円前後)、カナル型イヤフォン「MH BEATS IE」(実売15,000円前後)などを紹介。

 また、PS Audioの新製品として、ACジェネレータ「Power Plant Premier」(39万9,900円)のブラックモデル(BK)も展示。価格や仕様はシルバーモデルと同じ。黒い筐体の前面でブルーに光る電源スイッチやディスプレイがデザインのポイントとなっている。PS Audioの製品では、CDトランスポート「Perfect Wave Transporter」と、DACの「Perfect Wave DAC」も注目のモデル。

 概要はヘッドフォン祭のレポート記事の通りだが、トランスポートとDACの接続にHDMIを使用し、I2Sのシリアル伝送でクロックと音声データを別々に伝送。エラーやジッタを低減させている。トランスポートは64MBメモリを内蔵し、CD/DVDドライブで読み取ったデータをバッファ。内部のオリジナルデジタルレンズ(DDコンバータ)で新たにクロックを付与してDACへ転送している。読み取り中にエラーがあった場合は繰り返し読み返すことで、100%正確にデータを読み込めるという。リニアPCM(WAV)ファイルを書き込んだDVDメディアも読み込み可能(DVDビデオ/オーディオには非対応)。

MH BEATS IE(左)、MH BEATS PI OE(右)

Power Plant Premier BK

CDトランスポート「Perfect Wave Transporter」と、DACの「Perfect Wave DAC」

今年も音元出版のブースでは様々な試聴会が開催されている。また、ヘッドフォンの試聴コーナーも用意。一風変わったところで、シングルモルトウイスキー「山崎12年」と「山崎18年」の特別試飲タイムも設けられている。アルコールが少し入れば、より気持ち良く試聴できそう

六本木工学研究所では、完成品で39,800円、キットでは実に29,800円という非常に低価格なブックシェルフスピーカーを展示。独LPGのチタンツイータと、USHERのウーファを採用しており、価格を感じさせない堂々とした鳴りっぷりで注目を集めていた

大阪の人気AVショップ・逸品館のブースは今年も大勢の人で賑わう。新製品は、エソテリックのユニバーサルプレーヤー「DV-60」のカスタマイズモデル「DV60/Ultimate」(58万円)

同じく逸品館の新製品。右中央にあるのが、マランツのAVアンプ「AV8003」をベースにした「AV8003/Special」(35万円)



(2009年 5月 22日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]