第2世代となったBDレコーダ内蔵AQUOSの進化点

-ネットワーク+テレビなど“使いやすさ”を追求


9月10日発売

標準価格:オープンプライス


 世界初の“Blu-ray Discレコーダ内蔵”液晶テレビとして2008年11月に発売された「AQUOS DX」シリーズがモデルチェンジ。新シリーズ「AQUOS DX2」として9月10日より発売される。

AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム事業部 商品企画部 渥美氏

 AQUOS DXシリーズで、BDレコーダ内蔵テレビの先陣を切ったシャープ「AQUOS」だが、日立や東芝、パナソニックなどは、それぞれがHDD録画機能搭載テレビを訴求している。さらに、三菱はBlu-ray/HDDレコーダ搭載の「BHRシリーズ」を11月から発売するなど、“録画機能搭載テレビ”を取り巻く状況も日々変化している。

 シャープが考えるBDレコーダ内蔵の意義、そしてアップグレードしたAQUOS DX2の特徴を、AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム事業部 商品企画部の渥美忠道係長に聞いた。


 


■ 使いやすさを追求し、画室/音質自動調整機能など搭載

 AQUOS DX2シリーズは、52/46/40/32/26型の5サイズで、各サイズにカラーバリエーションを用意し、合計13機種で展開。52/46/40型は、1,920×1,080ドットのフルHD液晶パネル、32/26型は1,366×768ドットパネルを採用している。

LC-46DX2LC-40DX2(左)とLC-46DX2(右)

 最大の特徴はBDレコーダを内蔵することだが、従来のDXシリーズからの大きな変更点として、52/46/40型は「高画質マスターエンジン」を搭載し、Wクリア倍速などの新機能により画質の向上を図っている。加えて、BDレコーダ機能も長時間録画モードを最長で7時間まで拡張した「フルハイビジョン7倍録り」に対応。さらに、Yahoo! JAPAN for AQUOSやひかりTVに対応するなど、ネットワーク機能も大幅に強化している。

製品名サイズパネルカラー店頭予想価格
LC-52DX252型1,920×1,080ドットブラック(-B)
ホワイト(-W)
48万円前後
LC-46DX246型ブラック(-B)
ホワイト(-W)
38万円前後
LC-40DX240型ブラック(-B)
ホワイト(-W)
レッド(-R)
28万円前後
LC-32DX232型1,366×768ドットブラック(-B)
ホワイト(-W)
レッド(-R)
19万円前後
LC-26DX226型ブラック(-B)
ホワイト(-W)
レッド(-R)
17万円前後

 2008年の初代「AQOUS DX」発表では、シャープの片山幹雄社長も駆けつけてBDレコーダ内蔵テレビへの意気込みを語るなど、同社の戦略モデルと華やかにお披露目されたが、当初は“なぜHDDではなくBD? ”といった疑問も感じた。

 だが、発売開始から1年近く経過した販売実績としては堅調で、2008年の下期には、販売台数でAQUOS全体のうち14%がAQUOS DX、2009年度の上期には20%を超えて、AQUOSラインナップの中核を担うモデルのひとつとなったという。同社AVシステム事業部 液晶デジタルシステム事業部 商品企画部の渥美忠道係長は、「BD内蔵テレビが新しい商品カテゴリとして定着した」とその手ごたえを語る。


DXシリーズの構成比はAQUOS全体の2割越え

 ユーザー調査でも、家事の合間でのタイムシフト録画利用や、本格的なドラマ録画だけでなく、BDをレンタルして「プレーヤー」として活用するという事例も多く、様々な利用実態が寄せられているという。特に女性層の購入が、AQUOSシリーズ全体と比較して約2倍と高く、簡単な操作性などが女性に受け入れられているという。さらに、BDソフト再生の頻度も他のAQUOSユーザーに比べて1.3倍、録画も1.1倍と、BD機能が活用されていることから、「商品としての価値が存在する、と確認できた(渥美氏)」とする。

 なお、利用形態はリビング向けとセカンドテレビの割合がほぼ半々。AQUOSと比べてセカンドテレビとしての導入例が多いという。従来の売れ筋は32型で、その予測は新モデルでも変わらず、月産27,000台を計画している。ただし、従来は次いで26型が多かったものの、DX2では40型の増加を予測しており、月産台数は26/40型ともに18,000台を見込んでいる。

 新モデルとなる「AQUOS DX2シリーズ」については、「いままで以上の簡単操作で、将来も安心という製品にしたかった」としており、従来製品と同様に、BD/DVDディスクを入れるだけで再生開始する「一発再生」に対応。

 さらに、新たにリモコンのホームボタンから各種放送番組やディスクに録画された番組、インターネットサービス番組などを切り替えられる「新モーションガイド」を装備して、コンテンツの検索性を高めている。特に“番組を見ながら”、ネットサービスをコンテンツを検索できる、という点がこだわりという。

画面右に「新モーションガイド」を表示して、テレビ視聴中でも他のコンテンツ検索を可能とした
自動画質/音質選択モード「ぴったりセレクト」を装備

 さらに、DX2シリーズで搭載した新機能が「ぴったりセレクト」だ。これは、本体前面下部に備えた明るさセンサーで、部屋の明るさと色温度を自動検出するとともに、視聴中の番組の種類や時間、映像シーンをリアルタイムに分析し、最適な画質/音質に調整するというものだ。

 テレビ放送だけでなく、BDディスクや外部入力映像に対しても、最適な画質に調整してくれる。ぴったりセレクトでは、画質だけでなく音声も自動調整している。視聴時間帯に応じてボリュームを調整するオートボリュームにより、例えば深夜視聴時には、急峻な音の強弱を抑える制御を行なう。また、AAC 5.1chなどのサラウンド音声を受信した際には、サラウンドをかけて再生する。ただし、画質を「ぴったりセレクト」で、音質モードを「標準」といった独立での設定はできないという。

前面に輝度、色温度センサーを内蔵AQUOS DX2の特徴

 初期出荷時には、「標準」となっているものの、「個人的には“ぴったりセレクト”を使ってほしい(渥美氏)」とのこと。テレビ画質の自動調整は、各社が取り組んではいるが、シャープでも色温度やEPGのジャンル情報などさまざまなパラーメータを取り込んだ、アプローチで積極展開。これも“使いやすさ”の追求の一環としている。

 


■ 高画質マスターエンジン搭載。7倍録画も可能に

側面にBDドライブを装備する

 また、機能面でも大幅に強化。52/46/40型では、AQUOS DS6シリーズでも採用されている映像処理回路「高画質マスターエンジン」を搭載。「Wクリア倍速」も搭載し、動画応答性能を改善するなど、従来モデルからの画質改善が図られた。つまり、DS6シリーズと同じ新しいプラットフォームを搭載しながら、ぴったりセレクトなどの機能を追加。さらに、BDレコーダというDXシリーズの特徴を組み込んでいるのが、DX2シリーズというわけだ。

 レコーダ機能でも、TS録画を行なう「標準モード」に加え、MPEG-4 AVC/H.264へのトランスコード機能も装備。、AVCの記録モードも従来の2/3/5倍に加え、新たに7倍を追加。これにより、2層50GBのメディアに、HD映像を30時間録画可能となった。

 そのほかの録画系の機能改善としては、視聴/録画履歴を元に録画番組を“おすすめ”する機能を搭載。さらに、キーワード録画機能も追加され、ゴルフ、アニメ番組、スポーツ、トーク番組などのプリセットキーワードも用意。EPG情報を元にキーワードで簡単に検索できるように配慮したという。

EPGからの録画予約であらたに「おまかせ」や「キーワード」による絞り込みも可能に
BDの容量が付属すると、ファミリンク接続したBDレコーダに録画先を自動切り替え

 BDレコーダを内蔵するAQUOS DX2だが、HDMIを3系統(52/46/40型)/2系統(32/26型)搭載しており、同社レコーダとのリンク機能「AQUOSファミリンク」にも対応。新たに、内蔵レコーダのBDの容量不足を識別すると、他のファミリンク接続レコーダの自動的に録画先を切り替える機能も追加し、“取り逃し”を防ぐなど、細かな機能強化も行なわれている。

 ネットワーク機能も強化しており、「アクトビラ ビデオ・フル」や、「ひかりTV」に対応。ひかりTVは別途対応チューナを用意することなく、契約するだけで利用できる。加えて、「AQUOS.jp」や「Yahoo! JAPAN for AQUOS」、「Yahoo! JAPAN for AQUOS動画チャンネル」などのサービスに対応する。これらのネット機能もDS6とほぼ共通といえるが、「新・モーションガイド」の採用により、テレビやBD録画番組を見ながら、インターネット番組の検索なども行なえるようにした点も“使いやすさ”への配慮だ。

 また、DLNAクライアント機能も搭載。動画再生はできないが、パソコンやLAN HDDなどのDLNAサーバーに蓄積した写真や音楽ファイルを、AQUOSから再生できる。できれば、レコーダに録画したコンテンツをネットワーク経由で再生できてもいいと思うが、シャープのレコーダでDLNA/DTCP-IPサーバー機能を備えたものがないこともあり、今回は静止画と音楽の再生のみとなっている。

 レコーダ機能を内蔵していることで、シャープのBDレコーダ「AQUOSブルーレイ」との競合も考えられるが、「もちろん一部はありますが、昨年の年末商戦などでもレコーダとセットで購入していただくことも多く、相乗効果が出ている」とのこと。渥美氏は、「Blu-rayを中心とした“ホームネットワーク”と、インターネットを使った“家の外のネットワーク”という両輪で、テレビのコンテンツの楽しみ方を追求していく」という。

アクトビラ、ひかりTV、Yahoo!の各種サービスなど多くのネットコンテンツに対応BDとネットワークの両輪でテレビの新しい楽しみ方を訴求

(2009年 8月 27日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]