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米AppleのiPodとiTunes担当者が語る、新モデルの狙い

−音楽を楽しむ人、愛する人が増えていくことを期待



今回発表されたiPodの新ラインナップ

 アップルが発表した、新iPod nanoをはじめとするiPodシリーズ新製品は、ビデオ機能の追加や、iTunes StoreやApp Storeを通じたコンテンツの入手および管理を容易にするなど、携帯オーティオプレーヤーの枠をさらに超えるものになったといえよう。

 また、iTunes 9も公開し、iTunes LP、ホームシェアリング、Genius Mixの新機能の搭載や、シンク機能の強化も図った。製品発表に合わせて来日した、米アップルのiPod担当ワールドワイドプロダクトマーケティングのショーン・エリス氏、iTunes担当アジア・パシフィック&カナダのピーター・ロウ氏に、新たなiPodシリーズおよびiTunes 9について聞いた。(以下敬称略)


 

■ スティーブ・ジョブズ自ら発表できたことは大変心強い

スティーブ・ジョブズCEO

−−9月9日(米国時間)に米サンフランシスコで行なった今回の新製品発表では、久しぶりにスティーブ・ジョブズCEOが登場しました。社員としてはどんな気持ちで見ましたか?

ピーター:エキサイティングなアナウンスメントを、スティーブ・ジョブズ自ら発表できたことは、私どもも大変心強く、よかったと思っています。これは、多くの報道関係者、業界関係者も同様の気持ちだったのではないでしょうか? 

 アップルの強みというのは、ハード、ソフト、サービスを連動させ、すばらしいエクスペリエンスとして提供できる点にあります。iPodとiTunes 9、iTunes Storeの組み合わせは、まさにそれを実現するものであり、今回の発表はそれを進化させたものだといえます。


 

■ iPod nanoは、あくまでも携帯ミュージックプレーヤー

新iPod nano

−−今回の新製品の中では、iPod nanoの進化が際立ちますね。すでに携帯ミュージックプレーヤーの枠を越えている気がします。

ショーン:世界で最も人気がある携帯ミュージックプレーヤーがiPod nanoです。ですから、あくまでも携帯ミュージックプレーヤーであるという位置づけは変わりません。しかし、ご指摘のように今回のiPod nanoは数多くの機能強化、機能拡張が図られています。常に、持ち歩く携帯ミュージックプレーヤーとして求められる機能をさらに強化したというわけです。

 ビデオカメラ、マイクロフォン、そしてスピーカーを搭載し、ビデオを手軽に撮影して、それを視聴したり、YouTubeに転送することができる。ビデオ撮影では、「サーモグラフィ」、「フィルムグレイン」、「万華鏡」、「X線」といったエフェクトを、リアルタイムで設定できますから、ビデオを撮ることが楽しむことができる。私は、セキュリティカメラ風なのが好きなんですが(笑)。

 そして、iPod nanoには新たにFMラジオが内蔵されました。私自身、ラジオをよく聞くのですが、聞いていると友人に呼ばれて中断してしまうということが多い。だが、iPod nanoには、ライブポーズという機能を搭載して、こういう問題を解決できるようにしました。これは最大15分間、一度停止して、停止したところから再び聞き始めることができます。街で友人でばったり会ってしまった時には、この機能を使ってラジオを一度止めて、あとから聞くということができます。私には大変うれしい機能です。

 さらに新たに歩数計が内蔵されましたから、歩数と燃焼したカロリーといったデータを記録することができます。これまではNike+iPodとして提供して機能が内蔵されともいえ、ユーザーは専用のアダプターを使わなくても済むようになります。

ビデオカメラ、FMラジオ、歩数計を新たに搭載した

iPod nanoは全9色を取り揃える

 今回のiPod nanoでは、直営オンラインサイトおよびアップル直営店でのみ販売されるイエロー、(PRODUCT) REDを加えて、全9色を揃えましたが、いずれも鮮やかな研磨されたアルミニウムとガラスの本体からなる、超薄型の丸みがあるスマートなデザインです。2.2インチのカラーディスプレイによって、アルバムアートもさらに楽しむことができますし、内蔵したスピーカーによって音楽をより楽しむこともできます。

 iPod nanoは、携帯ミュージックプレーヤーとしての使い方が基本になりますが、朝起きる時には目覚ましとして利用し、道を歩きながらラジオを聞いたり、ちょっとしたシーンはビデオに撮ることもできる。また、フィットネスにも活用できる。常に持ち歩くツールとして、そして、より人生を楽しむためのすばらしいツールとして、ますます欠かせないものになってきたのではないでしょうか?


 

■ iPod touchは優れたゲーム機でもある

新iPod touch

−−iPod touchはどんな進化を遂げましたか?

ショーン:新製品は、出荷開始以来、累計2,000万台の出荷を達成したiPod touchの機能をより進化させたものとなります。なぜこれほどの人気がiPod touchにはあるのか? それは3つの機能を搭載しているからです。ひとつは、優れたiPodであること、2つめには優れたポケットコンピュータであること、そして、3つめには優れたゲーム機であるということです。

 3.5インチワイドスクリーンディスプレイと、内蔵加速度センサー、マルチタッチユーザーインターフェイスを利用して、Cover Flow、Shake to Shuffleなど、iPodならではの検索機能が簡単に利用できますし、iTunes 9で搭載されたGenius Mixへの対応も図っているのも大きな特徴です。また、Wi-Fi機能によって、ウェブサーフィンやメールの送受信、スケジュール管理、FacebookやTwitterといったソーシャルネットワーキングサイトの利用も自由になりました。

 Wi-Fi機能の活用という点では、75,000本以上のアプリケーションを提供するApp Storeを経由して、いつでもどこでも新たなソフトを追加することもできます。また、Safariを搭載しているので、ポケットコンピュータとしての機能は他のポケットサイズの端末とは比較にならないといえるでしょう。そして、ゲーム機の用途としては、App Storeを通じて20,000本以上のゲームや娯楽タイトルが楽しめ、新たにP2P接続をサポートしたことにより、隣にいる友人や世界中の人々を相手にマルチプレーヤーで、ゲーム対戦できるようになっています。マルチタッチと加速度センサーの組み合わせは、他のゲーム機にはない楽しさを提供しています。

−−8GBモデルが、19,800円という価格にも驚きました。

ショーン:この価格設定により、iPod touchは、App Storeにアクセスできる最も手頃な製品になるといえます。実は、8GBモデルは、32GBモデル、64GBモデルとはプロセッサが違うんです。ここに、2万円を切る価格を実現できた理由のひとつがあります。

 とにかく、App Storeにもっと手頃にアクセスできるiPod touchを作りたかった。ここにこだわりました。この価格設定に、我々は非常にエキサイトしています。かつて、iPod miniを249ドルから199ドルに値下げしたときに、2倍売れました。200ドルを切るという、この価格ポイントには特別なものがあります。日本でも2万円を切るというのが、同様にエキサイトしていだたける価格ポイントになるのではないでしょうか。

 一方で、32GBモデル、64GBモデルは新たなプロセッサを搭載したことで、これまでのiPod touchに比べて、アプリケーションの起動時をはじめ、全体的に50%程度高速化されています。また、32GBモデル、64GBモデルでは、ボイスコントロールをサポートしています。マイクを搭載したアップルヘッドフォンは、32GBモデル、64GBモデルには標準で搭載していますし、これを使って音声によってiPod touchを操作できます。ただ、iPod touchでのボイスコントロール機能は、音楽だけにフォーカスしたものになっています。


 

■ iTunes 9の進化ポイントとは?

iTunes 9

−−一方で、iTunes 9の進化を表現するとどんな言葉が最適ですか?

ピーター:iTunes 9は、メディアコンテンツを購入、管理、再生する、世界で最も人気が高いソフトウェアアプリケーションの最新版となります。iTunes LP、ホームシェアリング、Genius Mixといった新たな機能を搭載し、iPodとの連携をさらに強化しています。iTunes 9と、iTunes Store、そしてiPodの緊密な連携を、さらに進化させたといえます。

 例えば、世界最大のミュージックストアであるiTunes Storeでは、1,100万曲以上の音楽、50,000本以上のテレビ番組、7,500本以上の映画、20,000以上の着信音を揃えています。またユーザーアカウントは1億を超えています。こうなっていくると、とても自らが欲しい音楽や映像を探し出すことはできません。

 Genius Mixとなってさらに強化したGenius機能は、これまでにGeniusへ送信された5,400万曲以上の楽曲、2,700万以上のミュージックライブラリに関する情報をGeniusが分析した結果を用いて作成されます。これを活用することで、これまでは知らなかった相性のいい楽曲を、自分のiPod上にダウンロードできるようになりました。

 iTunes Storeでは、日本のユーザーにも多くの楽曲を提供しています。これをiTunes 9を活用することで、簡単に検索し、購入し、ダウンロードして、楽しむことができます。iPod Touchについても、強化されたiTunes 9のシンク機能によって、App Storeでダウンロードしたアプリケーションを、さらに簡単に管理できるようになりました。

 そして、iTunes 9に含まれるもう一つの新機能が、ホームシェアリング機能です。音楽、映画、テレビ番組を、ホームネットワークでつながれた、最大5台までのPCに簡単に転送することができます。家族が所有しているが、自分が持っていないコンテンツを見たり、他のコンピュータで新しく購入したものを自動的に自分のライブラリに加えたりといった使い方ができます。

−−新機能であるiTunes LPの機能は、LPジャケットの時代を知る40歳以上の世代には懐かしいものですが、30歳代以下の世代には、むしろ新たな機能として捉えられるかもしれませんね。

ピーター:確かにその通りです。私たちの世代には懐かしいものですね。ジャケットを楽しんで、歌詞を読んで、ライナーノートを見て、LPを買った人だけの特別な写真なども見ることができる。音楽をより楽しむという点では欠かせないものでした。一方で、デジタル世代の新しい世代の人たちにとってみると、これまでに体験したことがないような、新たな楽しみ方ができる。アーティストを深く知り、楽しむことができると思います。ミュージックビデオやインタビュー、写真も入っていますから、ユーザーにとってはすばらしい体験になると思います。

 また、最近は、歌詞を読まないと、なにを歌っているのかわからないというものもありますし(笑)、そうした問題も解決できます。一方で、iTunes LPはアーティストたちにとってもメリットがある。自分たちの作品を、音楽プラスαの観点から訴求でき、ファンとのつながりを強固なものにできます。現在、iTunes LPは、Norah Jonesの「Come Away With Me」、Dave Matthew Bandの「Big Whiskey and the GrooGrux King」など4タイトルが提供されています。

 Norah Jonesのコンテンツでは、グラミー賞授賞式のキューシートやバックステージの入場証、ツアーシートといった映像まで入っていますから、ファンにとってはたまらないでしょう。日本のアーティストのコンテンツに関しては、これからということになりますが、全世界のレーベルに対して、iTunes LPの開発キットを提供していますから、日本においても、iTunes LP対応のコンテンツがこれから増加していくことになるでしょう。米国では毎週火曜日にiTunes Storeが更新されますが、これから毎週のように、iTunes LP対応コンテンツが増加することになるでしょう。

 iTunesの今回の進化によって、音楽を楽しむ人、音楽を愛する人がますます増えていくことを期待しています。


 

■ ウォークマンと迷っている人にはどんな風に声をかけますか?

−−日本では、携帯ミュージックプレーヤーの領域において、ソニーのウォークマンのシェアが上昇しています。もし、量販店でウォークマンにしようか、iPodにしようか迷っている人がいたとしたらどんな風に声をかけますか?(笑)

ショーン:パワフルなハード、ソフト、サービスの組み合わせて、これを連動させて提供できるのがアップルです。これによって、他社にはない驚愕的ともいえるエクスペリエンスを提供できます。

ピーター:ハード、ソフト、サービスの組み合わせてに加えて、iPodの製品ラインに幅があることも強みです。その結果、様々なニーズに合致したものを提供できる。どんなに迷っていても、運動することが多い人はshuffleがいいですし、音楽を聞きながら、メールをチェックしたいし、ゲームもやりたいというのであれば、iPod touch。世界で最も人気のあるミュージックプレーヤーを身につけたいというのであれば、iPod nanoを選べます。どんな使い方であっても、iPodを勧めることができます。

ショーン:それにiPodには、Geniusの機能があります。自分が欲しいもの、聞きたいものが、iTunes StoreやApp Storeから簡単に検索でき、それを手軽に手に入れるためにエキサイティングな価格を実現しました。ホリデーシーズンはいい結果が出ることは確信しています。日本のユーザーの方々にも、新たなiPodとiTunes 9、iTunes Storeの組み合わせによって実現される世界を楽しんでいただけると期待しています。


(2009年 9月 10日)

[Reported by 大河原克行]