CEATEC JAPAN 2009【Silicon Image編】
HDMIでEthernet伝送する「HEC」をデモ
Silicon Imageは、CEATEC会場の幕張メッセ近隣のホテルでプライベートショーを開催。関係者、招待者向けにHDMI 1.4の新機能などを紹介している。
HDMI HECのデモ。テレビのみがEthernetにつながっている状態で、PS3にHDMIで接続。HDMI経由で映像/音声信号のほか、Ethernet信号も伝送している |
デモを行なっているのは、HDMI 1.4で新たに策定された、HEC(HDMI over Ethernet)やARC(オーディオリターンチャンネル)について。HECは、HDMIケーブル上にEthernetのプロトコルを伝送可能にするもので、HDMIの映像/音声伝送と、100MbpsのEthernet通信を1本のHDMIケーブルで実現できる。
テレビ用にポートプロセッサ「Sil9387」を、出力機器のPlayStation側にトランスミッタ「Sil9334」を組み合わせており、テレビをEthernetケーブルで接続し、テレビとPS3をHDMIケーブルで接続。テレビのEthernetを経由して、PS3側でHDMIケーブルでEthernet信号の送受信が可能になるため、テレビとPS3をHDMIケーブルで接続するだけで、PS3からYouTubeにアクセスし動画再生を行なえる。
SIl9387には、5ポートのHDMIを備えているが、そのうち1系統のみがHEC対応となる。これは「機器メーカーからも全ポートがHEC対応となると“ソフトウェア開発工数などが増える”という声もあり、まずは1ポートのみの対応とした」という。
なお、HECやARC、3Dなど、HDMI 1.4の多くの機能はオプションとなっており、HDMI Licensingが対応機能についてのロゴ認定プログラムを製品の市場投入前には用意する予定。このロゴを、HEC対応のポートやパッケージ、製品などに付与して対応機器を判別可能にするという。
テレビ用のポートプロセッサ「Sil9387」 | PS3側のトランスミッタ「Sil9334」 |
ARCは、ドルビーデジタルや、AACなどのS/PDIF相当のデジタル音声を、テレビなどのHDMI受信側からAVアンプなどの送信側に送る機能。デモは、DVDプレーヤーのS/PDIF信号を、テレビのポートプロセッサのARC機能を介して、PS3側に伝送。PS3に接続したアクティブスピーカーから音を鳴らすというもの。基本的な用途としては、テレビで受信したデジタル放送音声を、AVアンプやサウンドバーなどのオーディオ機器にHDMI経由で送ることを想定している。
HECやARC対応のSil9387やSil9334は、すでにサンプル出荷を開始しており、年末から年始にかけて対応製品が発売される予定。
さらに、次世代のHDMI 1.4対応製品のデモも実施。テレビ側に3ポート以上のポートプロセッサを装備し、パソコンや2台のPS3を接続。Ethernet接続はテレビのみで、PS3とパソコンを接続するだけで、各接続機器からネットワーク接続できることや、PS3からパソコンのコンテンツにアクセスし、テレビに出画する、といったデモが行なわれている。
1台のテレビがEthernetに接続。2台のPS3と1台のパソコンもHDMI経由でEthernet対応となる | HDMI接続したPS3からパソコン内のコンテンツにアクセスし、テレビに出力 |
また、モバイル機器向けのデジタル映像インターフェイス「MHL」のデモも実施。HDMIやDVIと同じTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)技術による映像/音声伝送だが、ピン数を減らし、端子を小型化することで携帯電話での採用を目指すもの。
HDMIの19ピンに対し、MHLでは5ピンでHD映像出力や制御が可能。コネクタ形状の規定は無く、マイクロUSBなどの端子にMHLの機能を実装できる。デモではiPhoneからMHLと専用ケーブルを使って、HD映像出力するデモを行なっていた。
9月28日には、このMHLを推進するためのワーキンググループも結成。Nokia、Samsung、Silicon Image、ソニー、東芝が参加し、今後のコンソーシアム結成や業界標準化に取り組む。なお、標準化後にはMHLの名称は変更になる見込みという。
MHLのデモ | iPhoneからMHLで映像/音声出力 |
(2009年 10月 9日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]