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「戦場のメリークリスマス」UHD BD化。オノセイゲン氏が音声リマスタリング

(C)大島渚プロダクション

大島渚監督最大のヒット作「戦場のメリークリスマス」が4K Ultra HD Blu-ray化され、2026年6月10日に発売される。UHD BD+BDの2枚組で、価格は9,020円。

また大島監督の独立プロ時代の傑作を世界初のUHD BD化&国内初BD化する「大島渚 Blu-ray BOX I」が'26年4月10日、「大島渚 Blu-ray BOX II」が'26年6月10日に発売される。BD BOX IはBD5枚組で26,950円、BD BOX IIはBD4枚+UHD BD1枚の5枚組で25,300円。

いずれも発売・販売元はTCエンタテインメント。

戦場のメリークリスマスは4K修復版での発売で、サントラの録音エンジニアを務めたオノ セイゲン氏による音声リマスタリングにより「最上級の音質が実現されている」という。封入特典として解説リーフレットが用意される。

1975年頃の大島監督
(C)大島渚プロダクション

大島渚BD BOX Iは、松竹退社以降(独立プロ時代)の1960~70年代の6作品、BD BOX IIには、1970~80年代の4作品を収録する。どちらも解説ブックレット付きの豪華BOX仕様。

なお、3作品とも特典映像を収録予定だが、内容は未定。

大島渚 Blu-ray BOX I【5枚組】

【あらすじ・キャスト】
『飼育』(1961 年/モノクロ/105 分/シネスコ)
松竹退社後、短命に終わった配給会社・大宝で大江健三郎原作の同名小説を映画化。
評価高い原作を脚本は大胆に改変、原作者の怒りを買ったが、極めて個性的な作品として完成。
当初は主演にバリー・べラフォンテを狙うなど、大島の異色の配役センスの萌芽がある。
キャスト:三國連太郎、ヒュー・ハード、小山明子、三原葉子

『忍者武芸帳』(1967 年/モノクロ/117 分/スタンダード)
白土三平の人気劇画を、まさかの原画そのものをコマ単位で撮影する手法で映画化した異色篇。
カウンターカルチャーの最先端をモチーフにした大島の着眼と、意表をつく方法意識という点で、大島の作家的個性を凝集した創造的野心の小函と言える作品。
キャスト:(声の出演)山本圭、戸浦六宏、小山明子、佐藤慶

『新宿泥棒日記』(1969 年/モノクロ(一部カラー)/95 分/スタンダード)
アングラ演劇からデモ隊まで闘争のムードに沸き返る新宿の街を喧騒とともに写しとった挑戦作。
横尾忠則、唐十郎といったアングラ文化のヒーローたちを巻き込み、虚構とドキュメンタリーを往還するようなタッチは、ラストで衝撃的な「現実」を虚構内に召喚する。
キャスト:横尾忠則、横山リエ、田辺茂一、唐十郎

『少年』(1969 年/カラー/97 分/シネスコ)
実話の当たり屋一家の事件に取材、家族のために犯罪を毅然と引き受ける少年の壮絶な日々を透徹した現場で見つめ続ける。
養護施設で見出された主役の少年の圧倒的な存在感と、全国を縦断したロケの特異な映像美により、文字度通り大島の代表作として屹立する傑作。
キャスト:渡辺文雄、小山明子、阿部哲夫、木下剛志

『ユンボギの日記』(1965 年/モノクロ/24 分/スタンダード) ※『少年』と同一ディスクに収録
テレビドキュメンタリー製作のために長期滞在した韓国で、大島は簡易カメラで市井の子どもたちの厳しい日常の姿を撮りまくった。
韓国少年の手記の朗読とともに織り上げられたこの写真構成の一篇には、言葉の力を重んずる大島の作家的姿勢が垣間見える。
キャスト:(語り)小松方正

『東京战争戦後秘話』(1970 年/モノクロ/94 分/スタンダード)
当時話題となっていた原正孝ら高校生の自主製作映画グループと組んで、闘争の季節の終焉を描こうとした異色のメルヘン的な試みの作品。
奇抜な座組みの構想は機能不全気味だが、大島作品には珍しいノイローゼじみた退嬰的な暗さ、優しさが漂う時代の記録。
キャスト:後藤和夫、岩崎恵美子、福岡杉夫、大島ともよ
(執筆:樋口尚文)

大島渚 UHD+Blu-ray BOX Ⅱ【5 枚組】

【あらすじ・キャスト】
『儀式』(1961 年/日本/カラー/122 分/シネスコ)
三島事件を経て、戦後の四半世紀を豪閥の一族の冠婚葬祭に仮託して、総括した大島の記念碑的な作品。
痛覚と諧謔がないまぜになった作劇、荘重にして特異な美学がみごとに結晶し、戦後民主主義の挫折と虚無を悲痛に描き上げた。
ATG 創立 10 周年の記念作でもある。
キャスト:河原崎健三、賀来敦子、佐藤慶、乙羽信子

『夏の妹』(1972 年/日本/カラー/94 分/スタンダード)
前作『儀式』の重苦しさとは対照的に、美少女アイドルを主役に返還後間もない沖縄に乗り込んで、機動的な 16mm キャメラで軽やかに撮りあげた快作。
渾身の野心作ではないが、不思議な魅力を放つ。本作をもって大島は創造社を解散して新たな創造の場へと離陸する。
キャスト:栗田ひろみ、石橋正次、りりィ、小松方正

『愛の亡霊』(1978 年/日本/カラー/106 分/ビスタ)
スキャンダラスな前作『愛のコリーダ』に続く本作は、これまた対照的に静謐な美しさに満ちた明治の貧しき僻村を舞台にした性愛の寓話であった。
過激で挑発的な作家性の一方にある、大島の抑制的なオーソドキシーが貫かれ、1978 年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。
キャスト:田村高廣、吉行和子、藤竜也、杉浦孝昭

『戦場のメリークリスマス』【4K 修復版】(1983 年/日本=イギリス=ニュージーランド/カラー/122 分/ビスタ)
ローレンス・ヴァン・デル・ポストの原作を人気絶頂のスタアたちの大胆かつ異色極まりないキャスティングで、南洋ロケして完成させた大作。
これほどの異色作が、この作品スケールと公開規模で実現、さらに大ヒットを記録したことは全て奇跡的な「事件」であった。
キャスト:デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、トム・コンティ

(執筆:樋口尚文)

戦場のメリークリスマス 4K 修復版 UHD+BD 【2 枚組】

【あらすじ】
1942 年戦時中のジャワ島、日本軍の俘虜収容所。収容所で起こった事件をきっかけに粗暴な日本軍軍曹ハラ(ビートたけし)と温厚なイギリス人捕虜ロレンス(トム・コンティ)が事件処理に奔走する。一方、ハラの上官で、規律を厳格に守る収容所所長で陸軍大尉のヨノイ(坂本龍一)はある日、収容所に連行されてきた反抗的で美しいイギリス人俘虜のセリアズ(デヴィッド・ボウイ)に心を奪われてしまう。クリスマスの日にハラは「ファーゼル・クリスマス」と叫んでロレンスとセリアズを釈放してしまう。それに激怒したヨノイは捕虜の全員を命じるのだが、周囲からの孤立を深める結果になり、葛藤に苦しむのだった。

【キャスト】
デヴィッド・ボウイ【ジャック・セリアズ】
坂本龍一【ヨノイ】
ビートたけし【ハラ・ゲンゴ】
トム・コンティ【ジョン・ロレンス】
ジャック・トンプソン【ヒックスリー】
ジョニー大倉【カネモト】
内田裕也【拘禁所長】

【スタッフ】
監督・脚本:大島渚
脚本:ポール・メイヤーズバーグ
原作:ローレンス・ヴァン・デル・ポスト
製作:ジェレミー・トーマス
撮影:成島東一郎
音楽:坂本龍一
美術:戸田重昌