ソニー新BDレコーダの「おまかせリモコン」とは?

-他社製TVを自由に操作。設定に説明書いらず


使用しているテレビメーカーの選択画面

2月27日より順次発売

標準価格:オープンプライス

 ソニーが8日に発表したBDレコーダは、既にお伝えしたように、「スカパー! HD 録画」対応機器の拡充や録画モードに10倍モードを備えた点などが特徴となるが、ここでは、リモコン機能の強化について詳細をお届けしたい。

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■ HDMI CECにとらわれないBDレコーダ選択に向けて

 現在、販売店の売場では、薄型テレビやBDレコーダの売り上げに関して、HDMI CECによるリンク機能の高い認知度が大きな作用を及ぼしている。ソニーの「ブラビアリンク」、パナソニックの「ビエラリンク」などで、同じメーカーのテレビとレコーダをHDMI接続する事で、テレビのリモコンからレコーダの様々な操作が行なえ、動作が連動する事などを販売員が訴求する場面が多い。

 例えば液晶テレビのBRAVIAを買った客に向かって、「貯まったポイントを使ってBDレコーダはいかがですか? ソニーのBDレコーダならばテレビのリモコンで操作できて便利ですよ」と提案するという形だ。HDMI CEC機能は実際にユーザーが便利に活用できる一方で、テレビの購入者に、同じメーカーのレコーダをセットで提案しやすいという、販売戦略的な側面も持っている。

 しかし、HDMI CEC機能が浸透するにつれ、BDレコーダ自体の画質や機能差などを吟味し、機種を選ぶ機会が阻害される事になる。レコーダがテレビの“おまけ”となってしまうという事だ。

 そこでソニーは、レコーダ付属のリモコンにおける、他社製テレビ操作機能を強化。レコーダのリモコンで多くのテレビを快適に操作できるようにする事で、売り場で他社のテレビを購入した人や、既に他社製テレビを持っている人に対しても、訴求できるようにしている。

おまかせリモコン
 追加機能的には非常にシンプルだ。従来のBDレコーダ付属リモコンでも、リモコンコードを設定すれば、他社製テレビを操作できたが、リモコン中段に備えた、シーソータイプのチャンネル、およびボリューム変更ボタンと、電源ON/OFF程度しか機能しなかった。

 新BDレコーダで採用された「おまかせリモコン」では、それに加えてテンキーによるダイレクト選局や、データ放送表示、EPG表示、ホーム、カーソル(上下左右)、決定、ミュートボタンボタンも機能するようになっている。

 これにより、電源のON/OFFだけでなく、番組表から番組を選んだり、テンキーでダイレクトに選局したり、ホームメニューを移動しながら各種設定を行なうなど、他社製テレビをよりダイレクトに、そして複雑な操作までできるようになっている。


以前から利用できたボタン
電源、入力切替、音量(シーソーボタン)、チャンネル(シーソーボタン)
↓↓
新たに利用できるボタン
テンキー、データ放送表示、EPG表示、ホーム、
カーソル(上下左右)、決定、戻る、ミュート、カラーキー

 ただし、利用できる機能にはメーカーごとに違いがある。一部機種で動作確認が行なわれているのは、パナソニック、シャープ、東芝、日立、三菱、パイオニア、アイワ、ビクター、三洋、NEC、富士通ゼネラル、フナイ、サムスン、ソニーの14メーカー。その中で、テンキーと番組表表示、カーソル移動などはパナソニック、シャープ、東芝、日立、三菱、パイオニア、ソニーのテレビのみ対応となる。また、対応メーカーのテレビによっては、一部、もしくは全ての機能が操作できない場合があるという。

リモコンにSTBボタンを用意。選択すると赤く光る。ボタンの下にわかりやすいように「スカパー! HD」と書かれている
 また、HDMI接続している場合は、テレビとレコーダのメーカーが異なっていても、HDMI CECの基本的な連携機能は利用できる。具体的にはテレビとの電源ON/OFF連動と入力切り替えで、このベーシックなHDMI CECと「おまかせリモコン」を組み合わせる事で利便性を向上させている。なお、他社製テレビの番組表からのBDレコーダへの録画予約はできない。

 テレビやBDレコーダ、アンプなどの操作切り替えは、リモコンのボタン2列目の「操作切替」から選択する。今回のレコーダには新たに「STB」が設けられ、標準でスカパー! HDチューナ(DST-HD1/SP-HR200H)のリモコンコードが割り当てられている。



■ リモコンコード設定に説明書いらず

 おまかせリモコンで他社のテレビを操作する場合は、これまでのリモコンと同様に、メーカーごとのリモコンコードをリモコン側に設定する必要がある。従来はこのコードは説明書に記載されており、それをチェックしながら設定するという作業が必要だった。この場合、説明書を読まない人には機能が伝わらず、説明書を紛失している可能性もある。

 そこで、新モデルではリモコンコードをテレビ画面に表示する機能を用意。さらに、初回起動時の「かんたん初期設定」の中に、、リモコンコードの変更を織り込むようにした。このため、購入者が自然と同機能が理解できるほか、後から説明書を広げてリモコンコードを入力するわずらわしさも低減している。

かんたん初期設定の一場面。レコーダのリモコンでテレビが操作できる事が説明されている標準ではソニーのテレビになっているが、「メーカーを登録する」を選ぶと、他社の名前が表示される東芝を選択した画面。メーカー番号「922」が表示されるので、それをリモコンに入力するという流れ

 かんたん初期設定から、使っているテレビのメーカー名を選ぶと、「リモコンの『TV』ボタンを押しながら『画面表示ボタン』を押して『TV』ボタンが点滅している間に3桁のメーカー番号を入力せよ」という指示が表示される。例えば東芝を選んだ場合はメーカー番号「922」が表示されるので、それをリモコンに入力すると、登録が完了する。

 最低限の操作にはなるが、こうした他社製テレビの操作機能は、従来のレコーダにも搭載されていた。しかし、説明書を読む必要があり、機能そのものを知らない人や、知っていても面倒で設定していなかった人も多いだろう。こうした機能を初期設定の中に織り込むことで、ハードルを下げ、操作性向上の恩恵を多くの人にもたらす試みと言える。また、HDMI CECにとらわれない、BDレコーダ単体の性能に目を向ける1つのキッカケにもなりそうだ。


(2010年 2月 8日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]