ソニー、新BDレコーダ説明会。「BDレコーダを一般層へ」

-簡単メニュー/VHSダビングの狙い。CMは矢沢&篠原涼子


8月26日開催

 

 ソニーは26日、2TB HDDを搭載した「BDZ-EX200」など、Blu-rayレコーダの最新モデル5機種の製品説明会を開催。機能面の特徴と共に、ターゲット層や販売戦略なども説明した。

BDプレーヤーを含む、新ラインナップ
 同社のBDレコーダは従来、シアターでの利用も想定したハイクオリティな「X」シリーズ、ワンタッチダビングボタンを供え、デジカメやビデオのコンテンツを手軽にBDに残せる「L」シリーズなど、利用スタイルに合わせたシリーズ展開を行ない、計7機種をラインナップしていた。

 今回の新モデルでは、静止画/動画取り込み機能など、可能な限り機能の共通化を図ると共に、500GBモデルを3機種から1機種に、320GBのダブルチューナモデルを2機種から1機種にするなどして、計5モデルに集約しているのが特徴。


モデル名BDZ-EX200BDZ-RX100BDZ-RX50BDZ-RX30BDZ-RS10
HDD容量2TB1TB500GB320GB
発売時期11月上旬9月19日9月12日
店頭予想価格28万円前後18万円前後15万円前後12万円前後10万円前後
デジタルチューナダブルシングル
高画質機能CREAS 2 plus
DRC-MFv3
CREAS 2
USB入力12111
カメラ取り込みボタン
おでかけ転送ウォークマン
PSP
携帯など
ウォークマン
PSP
携帯など
ウォークマン
PSP
携帯など
DLNAサーバー
スカパー! HD録画
HDV/DV入力
マルチカードスロット
HDMI映像/音声
独立出力

 

製品ジャンルモデル名発売時期店頭予想価格
BDプレーヤーBDP-S3609月5日3万円前後
5.1ch
ホームシアターセット
HT-SF3609月19日10万円前後

コンスーマープロダクツ&デバイスグループ ホームエンタテインメント事業本部 第2事業部の高橋美波副事業部長
 その狙いを、コンスーマープロダクツ&デバイスグループ ホームエンタテインメント事業本部 第2事業部の高橋美波副事業部長は、「チューナの数やHDD容量の違いで、機種の差異がすぐにわかり、製品が選びやすいラインナップにした」と説明する。

 店頭での販売比率はBDレコーダの方がDVDよりも高くなる状況になったが、ソニーマーケティング株式会社 ホームAVマーケティング部の磯村英男統括部長によれば「世帯普及率で見れば、VHSビデオが約80%あったと言われているのに対し、BDの普及率はまだ5%に過ぎない」という。

 2年後にはアナログ停波も控え、VHSデッキからDVDをスルーしてBDレコーダなど、買い替え需要も高まると予測。「これまでスタイルで提案していた特徴的な機能を極力全機種に取り入れ、発展的解消をして、わかりやすいラインナップを取りそろえた」とし、アーリーアダプタだけでなく、より幅広い一般層にBDレコーダを訴求する考え。そのために、目的に応じて機能が選べる「らくらくスタートメニュー」を全機種に投入するなど“簡単に使えること”を念頭に開発が行なわれたという。


約80%と言われたVHSデッキの普及率に比べ、BDレコーダは、まだ約5%BDレコーダとプレーヤーのラインナップ

ソニーマーケティング株式会社 ホームAVマーケティング部の磯村英男統括部長
 同時に、家に残る膨大なVHSテープ資産をどうするかというユーザーの不安を取り除く必要もある。従来モデルでもVHSデッキとBDレコーダを接続すれば、VHSテープからBDメディアへのダビングが可能だが、AV機器に詳しい人でなければ接続配線の段階で挫折してしまうハードルの高い作業でもある。

 そこで「らくらくスタートメニュー」の中に「カンタンVHSダビング」機能を追加。配線方法がイラスト入りでわかりやすく画面上に表示されると共に、自動的にBDレコーダの入力が外部入力に切り替わり、ダビングメニュー画面の背後にVHSデッキからの映像が表示される。映像を確認しながら、BDレコーダでダビング作業ができ、ここでも“わかりやすさ”、“簡単さ”を念頭においた機能に仕上げている。


らくらくスタートメニュー。目的に応じて選択するVHSデッキとの接続方法をイラスト入りでわかりやすく説明自動で外部入力に切り替わり、VHSデッキの映像が背景に流れているのを確認しながらダビングできる

 ソニーでは、こうした簡単機能を「かしこく“かんたん”」と表現し、同社BDレコーダ開発における3つのテーマの1つと位置付ける。ほかには「かしこく“きれい”」と「かしこく“つながる”」をテーマとして掲げている。

全機種に投入されたインテリジェントエンコーダには、アニメ用のパラメーターなどを用意。ノイズなどを抑えた録画ができる
 「かしこく“きれい”」には、全モデルに投入された録画用「インテリジェントエンコーダ」が含まれている。詳細は個別機種の記事に記載した通りだが、EPGの番組ジャンル情報に応じて録画用パラメータを自動で最適化。精度を高めた「新ダイナミックVBR」ダイナミックかつ高精度にビットレートを割り当てることで、低レートでの画質も改善させている。

 またEX200に搭載されている高画質回路「CREAS 2 plus」では、アニメ映像の輪郭周辺に発生するノイズを除去する「アニメ・CGリマスター」、縦/横/斜めのグラデーションをより滑らかに表示する「スムージング機能強化」、解析範囲を従来より広げ、圧縮時に失われた色情報を補間する「クロマアップサンプリングフィルタ」が利用できる。


EX200に搭載されている「CREAS 2 plus」の特徴である「アニメ・CGリマスター」を、「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」の映像でデモ。テレビ画面をデジタルカメラで撮影したもの。左がアニメ・CGリマスターをOFFに、右は効果を「4」に設定した状態。ビットレートの低さから輪郭線の周囲に出る放送特有のノイズが綺麗に消えていることがわかる
スムージング機能を比較。海中でクラゲが泳ぐシーンだが、クラゲの周囲、特に画面下部の色の変化が等高線のように見えてしまうバンディングが発生している(左)。右のスムージングを効かせた映像では、滑らかなグラデーションになった

 「かしこく“つながる”」では、BDレコーダとしては初の対応となる「スカパー! HD録画」を訴求。対応機種が携帯電話やカーナビにも拡大する「おでかけ転送」や、カレンダーメニューなども作成できるようになったビデオ映像/デジカメ写真のBDダビング機能などもアピールしていく。

ソニー製のスカパー! HDチューナ「DST-HD1」でEPGを表示しているところ(左)。「DST-HD1」は10月のアップデータを適用することで、レコーダとLAN接続しての録画が可能になるおでかけ転送機能も強化された
最上位モデルのBDZ-EX200 2TB HDDを搭載するBDZ-RX100BDZ-RX30
BDZ-RX50BDZ-RS10実売3万円のBDプレーヤー「BDP-S360」

 磯村統括部長はCMキャラクターについても紹介。従来の矢沢永吉さんに加え、BRAVIAのCMキャラクターとして起用している篠原涼子さんをBDレコーダについても起用すると発表。自動録画機能の「おまかせ・まる録」をメインに訴求する予定で、「より多くのユーザーに新機種のコンセプトを届けられるのではないかと思っている。CMも制作中ですのでご期待ください」と語った。

 新モデル投入による、国内市場のシェア目標を磯村統括部長は「引き続き30%以上確保していきたい」とする。また、他社が注力しているBDレコーダ内蔵テレビについて高橋副事業部長は「現時点での市場規模は200万台くらいあるのかなと考えている。引き続きマーケットとしては伸びてくると思ってはいるが、さらに拡大するのであれば、商品化も検討していきたい」とした。

従来の矢沢永吉さんに加え、BRAVIAのCMキャラクターとして起用している篠原涼子さんをBDレコーダについても起用する矢沢永吉さんと篠原涼子さんはビデオメッセージで登場。「予約無しでも見たい番組を自動で録る。使ってみると便利。これからのレコーダはこうでなくちゃと思う」(矢沢さん)、「大好きな番組を自動で録ってくれる。忙しい私には凄く助かります」(篠原さん)と、おまかせ・まる録をアピール
会場には同日に発表された5.1chシアターシステム「HT-SF360」も展示。プレーヤーの「BDP-S360」とデザインマッチを図ったのが特徴。右写真の上段がプレーヤー、下段がSF360のアンプ部。非常に良く似ている6倍速対応のBD-Rなど、BDメディアも発表された


(2009年 8月 26日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]