パイオニア、三菱電機・三菱化学と資本提携
-海外からも資金調達。三菱電機が3位の株主に
2月9日発表 |
パイオニアは9日、三菱電機と三菱化学から第三者割当による新株式発行により出資を受けるほか、海外でも9,200万株を発行し、資金調達を行なうと発表した。さらに、延期をしていた本田技研工業からの資金調達の進捗状況も明らかにした。
パイオニアは三菱電機との間で、カーナビゲーションの開発を中心とした協業について協議を進めていたが、資本提携契約を締結し、カーナビ開発に関する業務提携をさらに強化するため、第三者割当による新株式発行を実施する事を決定。1,000万株の割り当てを通じて約38億円の資金を調達する。
三菱電機とは、これまでの業務提携により、カーナビのプラットフォームの開発を共同で進めてきたが、今回の提携強化により、関係を一層強固なものにするという。さらに、パイオニアの持つサーバー関連、地図関連の技術と、三菱電機のプラットフォーム開発力、車両連携技術とを融合。「今後のカーナビの情報センター化に向けた技術革新に対応していく」という。
三菱化学との間では、240万株の割り当てを通じて、約9億1,280万円を調達する。パイオニアと三菱化学は、これまでも異業種間連携を進めており、2009年に塗布型有機ELを共同開発している。
今回の提携を機に、白熱電球に代わる高効率の光源として、この塗布型有機ELの共同開発の成果を照明分野に応用していく予定。今後両社間で協議を進め、事業化検討を行なっていく。
海外募集による新株式発行は9,200万株。調達資金を用いて、コア事業と位置付けているカーエレクトロニクス事業において、中・長期の成長を支えるための資金などに充当。新興国市場での事業強化のための資金、カーナビ事業で蓄積してきたプローブ情報技術、インターフェイス技術を活用した新しい事業領域に関する開発資金にも当てる。
なお、2009年9月30日現在の持株比率はシャープ(14.28%)、日本マスタートラスト信託銀行(5.12%)、日本トラスティ・サービス信託銀行(3.85%)だが、新株発行後の比率は、シャープ(9.54%)、日本マスタートラスト信託銀行(3.42%)、三菱電機(3.18%)と、三菱電機が3位の株主となる。
また、延期されていた本田技研工業を割当先とする第三者割当による新株式発行については、9日に発表された資金調達の検討状況を踏まえ、本田技研工業と協議した結果、3月31日までに払込みを完了する事で合意したという。具体的な新株式発行の日程は今後の協議を経て確定する。
■ 2010年3月期第3四半期の連結業績
パイオニアは同日に、2010年3月期第3四半期の連結業績も発表。事業撤退するプラズマディスプレイの売上が減少した事から、連結の売上高は前年同期比90.7%の約1,190億円となった。しかし、営業利益は構造改革の効果などによる原価率の良化や販売費、一般管理費の減少などにより、前年同期約113億円の赤字から、約10億円の黒字化を果たしている。経常損失も前年同期の約119億円から約5億6,600万円に縮小。純損失も同約298億円から、38億7,300万円になっている。
ホームエレクトロニクスの売上は、光ディスク事業の合弁開始により、Blu-ray Disc関連製品が増加したが、プラズマディスプレイやDVDドライブの売上減少が響き、前年同期比24.4%減収の388億5,400万円となっている。営業損失は23億1,800万円。
連結業績予想も修正。市販カーナビの売上が計画を下回ったことや、BD関連製品の受注が減少した事などから、売上高を前回予想の4,510億円から4,450億円に修正。営業損失は売上高が減少するものの、構造改革による固定費の減少、原価率の良化などから、255億円から216億円に縮小すると予想している。
(2010年 2月 9日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]