ソニーが3D映像で好奇心を刺激する「dot park」開催

-3Dゲーム体験も。茂木健一郎氏「3D映像で脳が進化」


期間:5月21日~25日

会場:六本木ヒルズ 六本木ヒルズアリーナほか

参加料:無料


 ソニーグループの音楽・映画・ゲームコンテンツなどを結集させ、3D映像などの最新技術をアピールし、好奇心を刺激するというイベント「dot park(ドット・パーク)」が5月21日に開幕。25日までの5日間にわたり開催される。参加は無料。

 21日のオープニングイベントには、脳科学者の茂木健一郎氏によるdot park開幕スピーチが行なわれた。また、期間中は、六本木ヒルズ内のhills cafe/spaceにおいて、3D対応BRAVIAや、PlayStation 3での3Dゲーム体験ができるカフェがオープン。さらに、開催日ごとに様々なアーティストによるライブ3D映像も上映される。

3D対応BRAVIAやゲーム体験のコーナーXperiaのコーナーも。会場で撮影した画像を投稿して共有できる期間中は、UVERworld、いきものがかり、元気ロケッツなどの3Dライブ上映も


■ 茂木氏「インターネットTVの未来は想像を遥かに超える。3D映像を見続けると脳は進化」

 ソニーのブランドメッセージである「make.believe」は、新しいものへの好奇心を持ち、それを原動力にして夢を現実に変える力、行動を表している。このイベントは、来場者の好奇心を目覚めさせ、その好奇心を集めることを目的として展開するという。

 dot parkの開幕スピーチを行なったのは、ソニーコンピュータサイエンス研究所のシニアリサーチャーであり、脳科学者として知られる茂木健一郎氏。

茂木健一郎氏

 茂木氏は、会場に訪れた人々に対し、「皆さんは、脳をどれくらい使ってしまっていると思いますか? 」と問いかけ、「自分の脳の限界というものは、たいていの人は見極めることはできないし、もう限界がきちゃったかなと思っても、その先が必ずある」と断言する。実例として、映画「地獄の黙示録」の原作となった「闇の奥」を書いた小説家ジョセフ・コンラッドが20歳から英語を始めて、数々の名作を生み出したということや、DNAの二重らせん構造を解明したフランシス・クリック博士が35歳で博士号を持っていなかったことなどを紹介。

 「脳は何歳になっても限界は無い。それを支えるのは好奇心。大人は、自分自身の好奇心に対してさえ、『うるさい、だまっていなさい』と言ってしまう。脳の可能性は何歳になっても消えることは無い。いま、私たちは様々な文明の利器に囲まれているが、これをつくったのも好奇心。ソニーはGoogleと組んでインターネットテレビを開発しますが、テレビの未来も、10年後には、今と全く違うものになるでしょう。例えば、自分の好きな映像をいつでもどこでも見られる時代がもうすぐそこまで来ている。僕は原節子が大好きなんですが、原節子がでている映画を全部見る、というだけでなく、原節子が出ているシーンを全部見る。ということもできてしまう。インターネットテレビの拓く未来というものは、我々の想像をはるかに超えてしまう」と話す。

 「例えばこのなかから、今日から英語を勉強し始めて、ソニー・ピクチャーズの映画の原作になる小説を書こうという人がいてもいい。それがどうして可能になるかというと、簡単に言えば、『結びつくこと』。ジョセフ・コンラッドはイギリスの船員と結びつきがあったし、我々の脳で言うと、神経細胞と神経細胞が結びついたことによって、新しい可能性が生まれる。インターネットとテレビが結びつくことで、さきほど言ったようなことが可能になる。こういった未来が待っていると考えると楽しくないですか?」と呼びかけた。

 加えて、「私は時々、根拠の無い自信を持つことが大事だ、というが、『根拠の無い自信というものは、それが可能な限り実現する』このことを覚えていれば、人生は素晴らしい未来を迎えられる。その未来に導いてくれるのは好奇心。次に起こることを楽しみにして生きる。これを“未来感覚”というが、これを忘れないで欲しい」と語った。

 イベント期間中は、スポーツや音楽など、様々な3D映像が六本木ヒルズアリーナの特設会場で上映されるが、オープニングイベントの最後は、この3D映像のダイジェスト版を茂木氏と共に来場者が鑑賞。9月に公開予定の3D映画「バイオハザードIV アフターライフ」をはじめ、音楽ライブやサッカーなどの様々な3D上映が予定されているが、プレビュー版を観た茂木氏は、「3Dは、この世界を再現するというだけではない」という。

 「ソニーはもともと“画作り”が得意だが、どういう3D映像を作るかによって、無限の可能性がある。例えば、サッカーの場合はサッカー場に行って見るよりも選手の位置関係などがわかるし、脳が受け取る情報はすごい。おそらく、3D映像を観続けている人の脳は、とてつもない進化を遂げると思う。今年は3D映像元年といわれるが、それくらいの可能性がある。とてもエキサイティング。これから生まれる子供たちが『お父さんお母さんの時代には無かったの? 』というくらい、3Dは当たり前になっていくと思う」と話した。

茂木氏が来場者とともに3D映像を体験。3Dの迫力に、何度も驚きの声を上げていた


■ グランツーリスモの3D試遊台も

 六本木ヒルズ ヒルサイド2階のhills cafe/spaceでは、期間中の12時~20時に「dot 3D cafe」をオープン。3D対応BRAVIAで、映画やスポーツ、ドキュメンタリーといった作品が自由に視聴可能となっている。

 さらに、同カフェ内には、「グランツーリスモ」の開発中ソフトを、40型液晶BRAVIAの3D映像で試遊できるスペースも用意。これまで、PS3のコントローラで体験できるイベントはあったが、今回のようなステアリングコントローラーで体験できるのは初だという。なお、今回は技術展示と位置づけられており、「グランツーリスモ5」(発売日未定)が3D対応となるかどうかといったことは現時点では決まっていないという。

3D BRAVIAを使った様々な3Dコンテンツの視聴コーナー
グランツーリスモの3Dバージョンの体験コーナー。開発中のものを体験できるとあって、特に土日はにぎわいそうだ

 また、六本木ヒルズアリーナでは、22日以降も、英BBC EARTHのスペシャルコンテンツ(22日13時~)や、MISIA×BBC EARTHの環境イベント(22日18:30~)、マドンナやマイケル・ジャクソンのダンサーとして認められたケント・モリ氏による3Dメガネを掛けてのダンスレクチャー(23日12時~)、いきものがかりのミュージックビデオを使った3D映像ライブ(23日~25日の各15時~)、西野カナのステージ演出に、事前に募集した観客が参加するというという3Dライブ(23日19時20分~)などのイベントを用意している。

 そのほか、ヒルズ内の毛利庭園や、アリーナ周辺には、さまざまな場所に「ドット」を思わせる謎の黒い物体が出現。そこには、ふと立ち止まって日常と違うことを考えさせられるような、さまざまな「呼びかけ」(メッセージ)が刻まれている。中には、実際に手で触れたり、覗き込んだり、音を聴いたりといった体験ができるものもあり、好奇心を刺激するオリエンテーリングとして楽しめるようになっている。

 

毛利庭園内や、アリーナ周辺の様々な場所に黒い物体が黒い物体につながっているケーブルとヘッドフォン。音を聴いてみると……
つい手を触れたくなる、のぞいてみたくなるような展示も
黒い物体に刻まれた「呼びかけ」を見て回るオリエンテーリングが2つあり、「ゴールするとちょっとうれしいことが待っています」とのこと

 


(2010年 5月 21日)

[AV Watch編集部 中林暁]