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ソニー、“使わなくなった布”からレコードプレーヤー。繊維の違いで音も変わる?
2025年11月28日 15:21
ソニーとソニーミュージックグループは28日、廃棄予定の繊維製品から製作した「環境配慮型ターンテーブル(アップサイクルターンテーブル)」を公開した。素材の異なる2種類のターンテーブルを試作、使っている素材の違いによって音にも違いがある事を紹介。アップサイクルの可能性と音響技術の融合をアピールした。
このターンテーブルは、ソニーミュージックグループが推進するサステナビリティ活動を体験・共有するイベント「サステナビリティDay 2025」で公開されたもの。イベントでは、社内外のサステナビリティに関連する取り組みを紹介する展示や、五感で楽しめる体験型コンテンツ、エンタテインメントとアクセシビリティの融合を目指したライブパフォーマンスなどが行なわれた。
SEC×SME共創プロジェクト アップサイクルターンテーブル
使わなくなった布などを細かく砕き、接着剤を混ぜて固め、それをターンテーブルベースの素材にした。ベースモデルはソニーのベルトドライブ・レコードプレーヤー「PS-HX500」(生産完了)で、これを分解。ソニーミュージックグループから提供された素材を使い、ソニーがターンテーブルベースを作り、再びレコードプレーヤーとして組み上げた。
ターンテーブルベースの素材として、社会人サッカークラブ・ソニー仙台FCの横断幕や、ソニーGPの廃ユニフォームなどを使ったモデルと、ソニーGPの廃ユニフォームとソニーミュージックの繊維を使ったモデルの2台を用意した。
PS-HX500のベースに使われているのはMDFだが、繊維製品から作ったベースも、MDFとまではいかないが十分な剛性があり、同時に、繊維で作られているため、適度な内部損失もあるのが特徴。
見た目も、塗装をしない状態で素材の色を活かした仕上がりになるため、複雑な風合いがあり、デザイン面でもユニークな魅力を備えている。
イベント会場で2台を比較試聴したが、音に違いがある。横断幕と廃ユニフォームを使ったモデルの方が、音が柔らかく、レコードらしいホッとする響きが多いサウンド。廃ユニフォームとソニーミュージックの繊維を使ったモデルは、解像度が高く、1つ1つの音がよりクリアなHi-Fiサウンド。ベースの作り方としては同じだが、使われる繊維の違いによって、音も変わるという興味深い体験となった。
このレコードプレーヤーの製品化の目処はまだ立っていないが、今後も様々な可能性を追求していくという。
ライブやイベントでの“祝い花”も活用
イベントでは他にも、ソニーが開発した環境に配慮した紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」など、環境負荷が少ない素材を使用したディスクトレイを、ソニー・ミュージックソリューションズ(SMS)が開発。岡崎体育やゴスペラーズ、緑黄色社会のCDなど、音楽ソフトのトレイとして活用している。
トレイに加え、ディスクを固定するクランプにプラスチック削減率51%の素材を使うことで、既存のプラスチック製トレイに対して、約97%の石油系プラスチック削減を実現したという。
サステナブルをベースとしたイベント設計にも取り組んでいる。今年の4月に横浜で初開催された音楽フェス「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025」において、SMSが、サステナビリティをテーマに据えた様々な施策を実装。
環境啓蒙を目的に、海洋プラスチックを使ったPEANUTSのキーホルダー作りを実施したり、結束バンドと連携し、アーティストらにファンから贈られる“祝い花”を活用したポプリ作りワークショップなどを開催した。
また、ソニーミュージックグループと日本サステナブルフラワー協会は、2024年6月から「Rebloom Flower Project」を実施。ライブやイベントに贈られた祝い花を回収・再活用する取り組みで、ドライフラワーにした上で、オフィスエントランスに設置したり、劇場用展示の装飾として活用している。
2025年10月時点で1,300kgの花を回収。ライブイベントでの回収や、他社所属アーティストの公演など、グループ外にも活動の輪が広がっているそうだ。また、ドライフラワーだけでなく、香水やルームフレグランス、キャンドルなどにも再利用されている。













