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iVDRセミナー開催。アイ・オーはiVDR搭載NAS今秋発売

−PCとの連携訴求やパッケージメディア活用も


5月24日発表


 リムーバブルHDDの規格団体「iVDRコンソーシアム」は24日、「2010 iVDRセミナー」を開催。規格の現状や市場動向、応用事例などについて各社が紹介。アイ・オー・データ機器は今秋発売予定のLAN HDDでiVDRに対応することも表明した。

 


■ iVDR機器やメディアも拡大

iVDRコンソーシアム 日置代表

 iVDRコンソーシアムの日置敏昭代表は、最新のiVDRの製品動向を紹介。「コンソーシアムを8年前に立ち上げて、2004年にアイ・オー・データから第1弾の商品化がされた。さらに著作権保護技術SAFIAを作り、2007年にiVDR-S対応のWoooが出た。録画テレビが増えてきたこともあり、iVDRを取り巻く環境は少しづつ整いつつあると感じている」と語り、「今後はメディア搭載テレビが普通という時代になるだろう。大容量のメモリが必要となるが、iVDRは業務用途にしろ、民生用途にしろ、活用されていくと信じている」と語った。

 2010年の新製品としては、日立の「Wooo」や、アイ・オーのSAFIA対応PC用アダプター「RHDM-US/EX」や、REGZAなどのUSB HDD対応録画テレビで利用可能な「REC-iN」などの新製品を紹介した。また、iVDRメディア販売実績も伸びており、2009年には約100万個弱、2010年は「期待を込めて150万個弱」の販売を見込んでいるという。容量は2010年に500GB、2011年に1TBを見込んでいる。

 また容量は増えているがシリアルATAのHDDを内蔵しているため、「容量アップしても規格をやり直す必要はない」という点をアピール。「性能が上がってもそのままずっと使える『自己進化型のメディア』だ」と訴えた。また、iVDRが国際標準(ISO/IEC 29171)になったことも報告した。

iVDR対応機器の進捗。2009年にはWoooやチューナで採用機器が拡大 iVDRメディアの販売実績 iVDRが国際標準に

 


■ アイ・オー、iVDRでHDD容量を拡張可能なLAN HDDを秋に発売

アイ・オー・データ 細野社長

 アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長は、「2004年に初の製品を出してから結構経つ。iVDRは滑走路を離れ、空港から相当離れていないといけない段階だが、まだそれほど大きな市場になっていない」としながらも、対応機器が増えてきた現状を紹介。

 「デジタルテレビでは、“録画”が人気だが、今多くのデジタルテレビは、USB HDDなどで記録されている。今になって家電メーカーが困っている」と語る。

 USB HDDの場合は、録画機器とHDDが紐づいて著作権保護されるため、機器が壊れると録画コンテンツが再生できない。しかし、iVDRに録画した場合は対応機器であれば再生できる。この点を強調し、「テレビが壊れたときのトラブルは相当数に上っている。通常のドライブに個別暗号化で録画したテレビが、今も山のように売られている。今こそ(iVDR)のチャンスではないかなと思っている」とiVDRの著作権保護(SAFIA)の利便性を強調した。

 また、同社のミッションを「家電とPCのやりとりを徹底する」とし、PCとの親和性向上を今後の課題にあげ、SAFIA対応PC用アダプター「RHDM-US/EX」を紹介。RHDM-US/EXはWoooやiVDRチューナで録画したiVDRをパソコンで再生可能にするアダプタで3月に発売。さらに、PCからiVDR-Sへの記録可能にする部分のソフトウェアも開発中で、「提供が遅れているが、これも6月に提供開始する」とした。

 RHDM-US/EXを活用することで、デジタル放送番組を相互にやり取りできるほか、音楽ファイルなども、PCからiVDRに書き出してさまざまな機器で利用可能になる点を強調。「家庭だけでなく、例えば学校に導入したWoooなどで再生できる」などの今後の展開を訴えた。また、日立のWoooについても「テレビ再生だけでなく、多くのメディア再生するための機能も付けてほしい」と要望した。

 PCからiVDRに書き出すためのソフトウェア「Quick:FLO Ver.1.5」も6月中に公開予定。パソコンのWindows Media Player上のコンテンツを変換し、iVDRで再生可能にするもので、同社のiVDRユーザーには無償で提供する。

同社のiVDR対応製品 Quick:FLO Ver.1.5 「LAN DISK AV」でもiVDR対応モデルを今秋発売

 また参考展示ながら、スカパーHD録画に対応するLAN HDD「HVL-AVRシリーズ」を今秋に発売することを予告。スカパー! HDチューナの録画HDDや、REGZAやWoooからのネットワークダビング(DTCP-IP/DLNA)に対応した録画用LAN HDDとなる。

 従来より同社のDTCP-IPダビング対応LAN HDDで搭載している各機能に加え、iVDR(REC-IN)のスロットを装備。容量を拡張できるLAN HDDとして展開する。当初は、デジタル放送を記録したiVDR-S(SAFIA)には対応しないが、後日のソフトウェアアップデートによりSAFIAに対応、iVDR-Sへのダビングや、Woooなどで録画したiVDR-Sの再生を可能にする予定。

 また、細野社長は、「大容量化の流れとともに、ローコストメディアを目指せるのではないか」と提案。8〜16GB程度の容量で店頭端末などでビデオダウンロードする、といった用途を想定したもので、「容量は500GBもいらない。ターゲットプライスは店頭で50ドル、生産上は30ドル程度にならないか」と提案。さらに、「SSD化と薄型化もお願いしたい。台湾や韓国のメーカーに『ケースが高い』といわれる。コネクタやローディング機構はなどはそのままに、HDDなどの取り付け金具を省いて、薄く安くできないだろうか」と提案した。

iVDR対応のLAN HDD「HVL-AVRシリーズ」も展開 HVL-AVRシリーズの特徴 低コストなSSD iVDRも計画。コンソーシアムに提案

 


■ “パッケージ”や放送業界での活用も

ビジュアルジャパンの山田社長

 ビジュアルジャパンの山田篤廣社長は、iVDRへの取り組みを紹介。同社は90本の旧作アカデミー受賞作を収めたiVDRタイトル「クラシックムービー アカデミーアワード90」を販売開始している。

 iVDRの特徴として、ハードウェアに依存せずにGUIを組めることなどを指摘。また、「500GBの容量の使い方として、数のボリューム感というのも価値観が上がると思う」とし、90本以上のタイトルをひとつのiVDRに収めた「アカデミーアワード90」の取り組みを紹介。「何千枚プレスするのではなく、オンデマンドでさまざまなコンテンツが実現できる。普及に向けた新しいサービスとしてお手伝いしたい」とした。


クラシックムービー アカデミーアワード90 デモも実施

 国際精華 呉 会森 代表取締役は、中国放送業界におけるiVDR普及とビジネスについて紹介した。南アフリカワールドカップなどでの導入実績などについて語ったほか、撮影機材から編集ソフトウェアなどの製作環境を持っていることをアピール。「ソニー、パナソニックはカメラを、AVID、Appleは編集環境を持っているが、両方もっているのは我々だけ」と訴え、採用実績をアピールした。

国際精華 呉会森 代表取締役 iVDR対応の放送業務機器を多数展示

 Fraunhofer IIS JapanのFahim Nawabi氏は、開発に取り組んでいる業務用デジタルビデオカメラ向けのフィールドレコーダ「FlashBox」について説明した。フィールドレコーダの重要な要件は、デジタルシネマ品質でロスレスで記録するということ。この点においてiVDRに“惚れ込んだ”研究者が開発を進めたという。従来のノートPCと16台のHDDを使った記録システムに比べて大幅に小型かつ低消費電力化した点などを強調。SSD化などの要望も上げ、iVDRへの期待を語った。

Fraunhofer IIS JapanのNawabi氏 フィールドレコーダ「FlashBox」を開発
ジェーピー中西社長

 iVDRパッケージタイトルを手掛けるジェーピーの中西俊作代表取締役社長は、iVDRを使ったパッケージメディア製作の注意点や権利処理などを説明。

 また、映像制作やオーサリングなどを手がける同社としては、iVDRをマスターとして活用する方法にも期待しているという。例えば、「5.1ch音声をやりたい場合はHDCAMではダメで、HDCAM SRが必要になるが、HDCAM SRのデッキは1,000万円ぐらいと非常に高価。この代わりにiVDRを使えないだろうかと思っている。例えば、マルチユースで海外に出すときの音声トラックなど、別に収録しなければいけない情報についても、大容量のiVDRであれば収録できる」とする。

 また、「Blu-rayは大量な複製にはやはり有利。一方iVDRは少量多品種が向いている。流通の仕組みとしてコンテンツバンクづくりが必要かなと思っている」としたほか、「アニメスタジオなどとも話をしているが、過去の作品は売れるものしかBD化されない。BtoBだけでなく、BtoCのそういうところにもチャンスがある。“同盟軍づくり”が不可欠なので、ぜひコンテンツ部会などを作って、理解を深めていく必要があるのではないか。最後はコンテンツの問題になる」とコンソーシアムにおける部会の創設についても提案した。


(2010年 5月 24日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]