Shure、アーマチュア搭載ハイエンドイヤフォン2機種

-約6万円のSE535、4万円のSE425。3ユニット搭載


左がSE535のメタリックブロンズ、右がSE425のメタリックシルバー

7月下旬発売

標準価格:オープンプライス

 Shure Japanは12日、バランスドアーマチュアユニットを搭載したカナル型(耳栓型)イヤフォンの新モデル2機種を発表した。両モデルとも2ウェイで、ダブルウーファ仕様で3ユニット内蔵の「SE535」と、デュアルユニットの「SE425」をラインナップ。発売は7月下旬、価格はどちらもオープンプライス。店頭予想価格は「SE535」が6万円弱、「SE425」が4万円前後。

 カラーはSE535がメタリックブロンズ(SE535-V-J)、クリアー(SE535-CL-J)の2色、SE425はメタリックシルバー(SE425-V-J)とクリアーの(SE425-CL-J)2色を用意する。

 また、ダイナミック型のドライバを採用した低価格モデル「SE115」に、新色のクリアーモデル(CL)も発売。さらに、iPhoneなどの携帯電話向けの、マイク付きコードタイプも用意する。


■ SE535/SE425

 SE535はSE530/PTHの、SE425はSE420の後継。構成的には両モデルとも2ウェイだが、SE535はダブルウーファを採用。ツイータ1基、ウーファ2基で構成する。SE425はウーファとツイータを各1基搭載。SE535は「奥行きのあるサウンドと豊かな低域を」、SE425は「正確でバランスのとれたオーディオを再現する」としている。

SE535の内部。写真のBの部分が、デュアルユニット内蔵のバランスドアーマチュアのウーファ部SE425の内部。こちらもBの部分がウーファ。デュアルではないので細身になっているケース。左がSE425、右がSE535

 両機種とも、オリジナル設計のアーマチュアユニットを採用しており、Shureでは「高精度MicroDriver」と呼んでいる。

SE425のクリアーモデル
SE535のクリアーモデルSE535のメタリックブロンズモデル

 ハウジングの形状は2機種でほぼ同じで、高い遮音性を実現するデザインを採用。「Sound Isolation」と呼ばれる技術で、「アクティブノイズキャンセリング機器と比べても、2~3倍、外来ノイズの侵入を防ぐ。最高で37dBものノイズをブロックできる」としている。

 ケーブルは着脱可能で、ケーブルとハウジングの結合部が360度回転する「ロックスナップ機構」を採用。ハウジングが自由に回転するため、装着時にケーブルがねじれる事が少なくなり、ケーブルにかかるストレスを抑え、耐久性向上に寄与するという。コネクタは金メッキ処理されたMMCXコネクタ。

 64インチのケブラー繊維を採用することで、ケーブル自体の耐久性が向上。装着方法は、耳の裏を経由してハウジングを耳穴に挿入するタイプだが、耳の裏に当たる部分のケーブルに、プラスチックの特殊なコーティングをほどこすことで耐久性をさらに高めている。加えて、ワイヤーフィット機構も備えており、耳の裏に合わせた形でケーブルの形状を固定できる。

装着イメージケーブルは着脱可能。360度回転するロックスナップ機構を採用している

マイク付きリモコンを備えたケーブルも用意する
 両モデルとも、イヤーチップは、フォームタイプをS/M/Lの3サイズ、ソフト・フレックスタイプをS/M/Lの3サイズ、イエロー・フォームを1種類、トリプルフランジを1種類同梱。キャリングケースと標準プラグ用変換アダプタも同梱。さらに、SE535はボリュームコントローラと航空機内用アダプタも同梱する。

 着脱機構を活かし、価格などは未定だが、交換用のケーブルや、マイク内蔵リモコンを備えたMPA(音楽携帯用)ケーブルも発売予定。リモコンにはマイクに加え、ボリュームや通話・終話ボタンなども備えている。iPod、iPhone 3GS/4、iPadに対応する。


 詳しい仕様は下表のとおり。

モデル名SE535SE425
ユニットウーファ×2
ツイータ×1
ウーファ×1
ツイータ×1
感度(1kHz)119dB/mW109dB/mW
インピーダンス36Ω22Ω
ノイズ減衰量(最大)37dB
再生周波数帯域18Hz~19kHz20Hz~19kHz
入力コネクタステレオミニ
(金メッキ仕上げ)
ケーブル1.6m 着脱式



■ SE115 CL/SE115m+

SE115のクリアーモデル
 実売1万円前後のダイナミック型、カナル型イヤフォンとして2009年6月から発売している「SE115」。カラーはブルー×ブラック、レッド×ブラック、ピンク×ブラック、ブラックの4色が用意されているが、そこに新たにクリアーモデル(CL)が追加される。

 カラー以外の仕様は従来と同じで、ユニット自体をコンパクトにした、同社が「第2世代のダイナミックマイクロスピーカー」と呼ぶダイナミック型ユニットを採用。音が放出されるノズルの径を補足することで、耳穴が小さい人でも挿入しやすくしている。

 「SE115m+」は、「SE115」のケーブルに、マイク付きリモコンを備えたもの。リモコン部の仕様は前述のものと同じ。Shureのマイク技術を用いることで、クリアな通話が可能だという。

SE115のクリアーモデルSE115m+


■ SE425とSE115の間のモデルも展開

 Shure AsiaのWilliam Chan氏は、同社の歴史やこれまでの音への取り組みなどを紹介。さらに、今回のモデルから、楽器店向けに販売していた、プロ向けのイヤフォンとコンシューマ向けモデルを統合。SE535はプロ向けのSCL-5の、SE425はSCL-4の後継モデルともなることを解説した。

 Shure Japanの岩崎顕悟社長はこの施策について、「イヤフォンの種類が増加する中、メーカーとしての特徴を出す必要があり、プロオーディオメーカーとしての立ち位置を打ち出すため」と説明。ローエンドからハイエンドまで、モデル名を含め、わかりやすいラインナップになった事を強調した。

 さらに、7月からコンシューマモデルの代理店をヒビノインターサウンドから、完実電気に切り替えた事も報告された。

Shure Japanの岩崎顕悟社長Shure AsiaのWilliam Chan氏会場では、DJ Jumiさんが、Shureの製品を駆使してのDJプレイで盛り上げた

iPhone 3GSからDockケーブルで出力、iBasso Audioの「D2+ Hj Boa」でドライブした
 会場で短時間ではあるが、試聴することができた。両モデルに共通するのは、キッチリと装着すると、周囲の音がほとんど聞こえなくなる遮音性の高さだ。これにより、バランスドアーマチュアならではの繊細な音がよく聴き取れる。

 音質の傾向として2モデルで共通しているのは、2ウェイながら繋がりの良い音で、ダイナミック型のような滑らかさを獲得している事。これは従来モデルと比べても進歩したと感じる部分だ。キャラクターとしてはSE535が低音に迫力があり、アコースティックベースなどの量感が非常に豊富。豊かな響きがありながら、弦の動きも明瞭に描く解像感も合わせ持つ、非常にポテンシャルの高い再生音だ。

 SE425は535と比べると低域はおとなしくなるが、バランスという面では535よりニュートラルだと感じる。両機種とも、ハイエンドイヤフォンの購入を考える際には見逃せない、注目モデルの登場と言えそうだ。


(2010年 7月 12日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]