パラマウント、DVD/BDのラインナップ説明会を開催

-50タイトル2,980円化など、BDの戦略も解説


続編が6月から劇場公開されているアイアンマンが、応援に駆けつけた

7月14日開催

 

 パラマウント ジャパンは14日、2010年に発売を予定しているDVD/Blu-rayなどを情報を販売店向けに紹介するラインナッププレゼンテーションを都内で開催した。

 鈴木順一郎日本代表は、セルソフト市場の動向について説明。2009年と2010年(予想)を比較した数値として、国内における枚数ベースの市場規模は、SD(DVD)が-12%、BDが+75%、全体では-5%の縮小。一枚あたりの単価では、SDが-1%、BDが-4%だが、単価が高いBDの枚数が増えているため、全体では+1%。米国での枚数規模は、SDが-16%、BDが+98%、全体が-9%。単価では、SDが-11%、BDが-7%、全体が-7%となったという。

 こうした数字から、鈴木代表は「依然として単価は下がり続けているが、単価の高いBDが、価格の下落をなんとか押しとどめている状況。全体的に言えば、日米ともに市場の縮小は止まっていない」と分析する。

鈴木順一郎日本代表国内と米国の市場動向。2009年と2010年予想を比較した数字

 その上で、「2004年からの市場縮小理由は“DVDの買い替え需要が一巡したため”と言われているが、本当にそうなのか? コンシューマへのDVDの価格訴求は効果的なのか? パラマウントではDVDセルの売上枚数を劇場観客動員数で割った、“劇場で作品を楽しんだ人がどれだけDVDを買ったか?”という仮説的な数値をAdmission Ratioとして活用しているが、ここ数年はそれも落ちている」と語り、DVDが購入しやすい価格になったものの、必ずしもそれが販売に結びついていない現状を指摘。同時に、新しいDVD購入層の開拓に向け、まだできる施策はあると強調する。

面の展開が高価を最大化するとアピール

 その上で、低価格販売キャンペーンは初速が好調なものの、売り上げ増が長続きしない事例も紹介。「価格訴求は非常に重要な武器ですが、それだけでは長続きしません。同時に消費者ベースを拡大する、様々なマーケティングセールスプロモーション施策が必要になる」と各販売店への協力を要請。

 幅広いタイプの作品ラインナップを用意し、コンシューマの広い層に向かってアピールすると共に、例えば新作映画公開時に関連するカタログ作品(旧作)のセルソフトを提示したり、夏休みやクリスマスなど、シーズナルイベントと連動したソフトをアピールするなどの施策も紹介。「点から線へ、線から面へのプロモーションを展開したい」と抱負を語った。



■ 9月16日にBD 50本を2,980円に

 BDの戦略については、セールスディレクターの松尾宗俊氏が説明。既報の通り、同社は7月9日に、これまで4,935円や4,998円などで販売していたBlu-ray 50タイトルを一斉値下げし、新価格の2,980円で9月16日から発売する事を発表している。

 しかし、旧作BDの低価格化はSPEやワーナー、20世紀FOXといった他の洋画メジャーが先行しており、パラマウントはそれを後追いする形になる。これについて松尾氏は「他社の定価変更後の売れ行きの変化などもみながら、我々も追従するかどうか検討してきた。そして、6月に一部店舗の協力で、4,935円の価格を、2,980円に値下げするコーナーを作ってもらったところ、実施していない5月と比べ、6月は419%の売り上げになった(6月11日発売のBD版「プライベート・ライアン」は含まれていない)」と報告。

 こうしたテストマーケティングを経て、2,980円という新価格と、50タイトルのラインナップを決めたという。また、作品のBD化そのものについては、「カタログタイトル数を単に増やすだけではなく、消費者のニーズに合ったタイトルを厳選してリリースする事が重要」と指摘。今後も販売店と協力し、売り場に2,980円BDコーナーを設置してもらうなど、DVDと同様に「面での訴求」が重要になると語った。

アイアンマン2にちなみ、劇中に登場するアメリカ空軍中佐のコスプレで登場したセールスディレクターの松尾宗俊氏2,980円でのテスト販売により、前月比419%の売り上げを達成した


■ 「シャッター アイランド」BD/DVDは9月10日発売

シャッター アイランド スペシャル・コレクターズ・エディション
(C)2010 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, (R) &
(C)2010 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
 同社の注目の新作としては、「ギャング・オブ・ニューヨーク」、「アビエイター」、「ディパーテッド」でタッグを組んできた、マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオコンビによる新作「シャッター アイランド」が9月10日に発売される。価格はBD版が4,935円、DVD版が4,179円。詳細は既報の通り。

 精神を病んだ犯罪者だけを収容し、四方八方を海に囲まれた「閉ざされた島(シャッター アイランド)」で、女が姿を消す事件が発生。事件の捜査に訪れた連邦保安官テディが、謎に満ちた島の中で、驚愕の事実にたどり着くという物語。吹き替えにこだわった作品でもあり、「オリジナル言語のニュアンスが伝わってこない」、「俳優と声優の声のイメージが違いすぎる」、「翻訳されたセリフに違和感がある」、「日本語の言い回しが不自然で取っ付きにくい」などの不満に応え、自然な翻訳とプロの声優だけを起用する「超日本語吹替版」を収録しているのも特徴。

 ほかにも、DVD購買者や、キャンペーン応募者の年齢調査により、40代、50代のDVD/BD購入者が同社の想定より多い事が紹介され、大人向けの作品として、マーティン・ランドーとエレン・バースティンというアカデミー俳優が共演した「やさしい嘘と贈り物」が紹介。10月8日にDVDが4,179円でリリースされる。

 劇場公開の新作としては、6月から公開されている「アイアンマン2」や、M.ナイト・シャマラン監督の壮大な3部作の第1弾である「エアベンダー」(7月17日公開)、リロ&スティッチの監督が手掛ける、ドリームワークスの新作3DCGアニメ「ヒックとドラゴン」などの見所も紹介された。


(2010年 7月 14日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]