「ゼーガペイン」BD-BOX発売記念イベントが舞浜で開催

-朗読劇や生ライヴも。ファンの声でBD化が実現


 

会場には購入者の中から抽選で約500人が招待された

 予約入金が2,000個を突破し、Blu-ray BOX化が実現したアニメ「ゼーガペイン」。購入者にはBOXが到着している頃だが、それに先駆け、8月29日に発売記念イベント「2学期直前! ゼーガペイン夏祭り@舞浜サーバー」が千葉県舞浜の東京ベイホテル東急で開催された。

 同作品は、Blu-ray Disc Association(BDA)のWebサイトで実施された、BD化を期待する作品に投票する企画「あなたの力でBD化プロジェクトランキング 第2弾」で1位を獲得。BD化に向けて交渉が進められ、7月予約入金が2,000個を突破。BD-BOX化が決定した。なお、BOXの申し込み受付は既に終了している。

 今回のイベントは、購入者の中から抽選で約500人が招待されて開催。7月に行なわれたBD-BOXの画質体験イベントと同様に、作品の舞台となった千葉での開催が再び実現した。会場となったディズニーリゾート内の東京ベイホテル東急には、下田正美監督、ソゴル・キョウ役の浅沼晋太郎さん、カミナギ・リョーコ役の花澤香菜さんが登場。トークショーや朗読劇が行なわれたほか、エンディング&挿入歌を担当したROCKY CHACKも生ライヴを行なった。


会場にはBD-BOXも展示された
(C)サンライズ・プロジェクトゼーガ
東京ベイホテル東急

 イベントは、劇中のキャラクター・フォセッタの号令のもと、来場者による「エンタングル!」の雄叫びでスタート。下田監督、浅沼さん、花澤さんが登場した。浅沼さんと花澤さんは、キャラクターと同じ舞浜南高校の制服姿。浅沼さんは花澤さんの可愛い制服姿を見て、「もう本物じゃないですか」と絶賛。会場からも大きな歓声が送られ、花澤さんは「もうダメですよ、こんな格好しちゃ」と照れた様子。

 続いて、来場者へのアンケートを元にした「好きなキャラクター」ランキングも発表。トップはカミナギ・リョーコで34%。2位はソゴル・キョウ(23%)、3位はミサキ・シズノ(18%)となった。なお、テレビ放送時にキョウは5位だったとのことで、放送から4年を経て2位に躍進。花澤さんは「自分が演じているキャラがこれだけ愛されるというのは嬉しいですね」と笑顔。浅沼さんも「テレビ放送時は“主人公に投票が少ないのはよくある事”と思っていたのですが、今回の結果は素直に嬉しいです」と言う。

 ちなみに花澤さんが好きなキャラは、放送当時は「クールメガネが大好きだったのでシマ司令、2位はハヤセかルーシェン」だったという。しかし、「今見返してみると、やっぱりキョウちゃんカッコいい」とのこと。

 

キョウが乗り込むゼーガペイン アルティールキョウ(右)と幼馴染のカミナギ・リョーコ
(C)サンライズ・プロジェクトゼーガ

下田監督

 好きなメカのランキングでは、アルティールが51%でダントツの1位。2位はフリスベルグ(12%)、3位はオケアノス(10%)、4位はガルダ(8%)。なお、1位、2位、4位はフィギュア化が既に決定しているため、司会のバンダイビジュアル・廣岡祐次氏は「3位を(フィギュア化)しない手はないのでは?」と予想。なお、下田監督はお気に入りの「ゼーガタンクが入っていない」と、ちょっと不満顔だった。

 好きなセリフランキングでは、キョウが最終話で披露した必殺技(?)「舞浜シャイニングオーシャンパンチ」が18%で1位。2位は「消されるなこの思い、忘れるな我が痛み」(17%)、3位は「エンタングル」(12%)。4位は「俺の拳が! 俺の上腕二頭筋が!! 俺の魂が怒り狂ってる!!」が獲得した。

 浅沼さんは1位のセリフについて、収録当時を思い返し「川澄さんに“三十過ぎてパーンチ! って言う機会なんて無いんだから、思いっきり言いな!!”って言われました」と笑う。監督によればこのセリフ、「最終話でやりのこした事ないかという話になり、“ロケットパンチやってねーじゃん”という話になって(笑)、脚本の関島さん(関島眞頼氏)に盛りこんでもらいました」とのこと。ちなみに浅沼さんのお気に入りは「俺の拳が! 俺の上腕二頭筋が~」のくだり。「一瞬聴くと笑っちゃうような言葉ですけど、実体が無いキョウが言うことで深い言葉になると思うんです」と分析した。

 なお、約4年前に放送された同作品は、浅沼さんと花澤さんの両方にとって、声優としての初のレギュラー作品と言う記念すべき作品でもある。役が決定した当時について、浅沼さんは「収録中はとにかく必死で、楽しむとかそういう余裕は無く、最終話でちょっと慣れてきたかなという感じでした」と振り返る。

 高校生の頃にカミナギを演じた花澤さんは、「(ゼーガで)ヒロインができるのか心配でした。学校に通いつつでのアフレコで、とにかく慣れていなかったので大変でしたが、現場の皆さんが暖かく迎え入れてくれたので、良い環境で収録できました」と当時を回想する。

 4年経って変わったことについて、花澤さんは「今、別の作品に参加させていただいていると、(スタッフの方から演技について)“こうした方がいいよ”とご指摘をいただくんです。その事をゼーガでタチバナ・ミズキ役だったゆかなさんに相談したら、“そういう風に言われるのは、プロになった証拠だね”と言われました。その時に、わかったんです。ゼーガの時はありのままの高校生としてマイクの前に立っていたけれど……」と、自分の成長を実感したエピソードを披露している最中、浅沼さんが、花澤さんの制服コスプレを見ながら「今は“偽物の高校生”として立てているわけですね」と横槍。会場は爆笑に包まれた。なお、「(声優として)偽物もちゃんと演じられないといけない」というのは浅沼さんの弁。

 

謎の転校生シズノの登場により、キョウの日常は一変する3DCGを駆使したスピード感のあるアクションも見所だキョウは異世界でともに戦う仲間と出会う
(C)サンライズ・プロジェクトゼーガ

 下田監督によればこの作品、全26話構成だが、もともとは52話構成の予定でキャラクターやストーリーを作っていたという。「それを26話に凝縮したので、いろいろなものをカットしました。特にやりたかったのは、42話あたりで実体化したキョウが、幻体のままのカミナギと一緒に戦うという展開。触れたくても触れられない、切ない展開になる予定だったので、残念ですね」と裏話を披露した。なお、監督が最も“上手くいった!”と感じたのは「13話の、世間で言うところの“カミナギショック”(笑)」だという。


 

浅沼さんが脚本を手掛けた朗読劇「ゼーガペイン リーディング」も披露。左が浅沼さん、右が花澤さん

 トークショー後は、浅沼さんが脚本を手掛けた朗読劇「ゼーガペイン リーディング」を披露。アニメの“続き”をイメージして作られたもので、浅沼さんとは花澤さんが生で演じたほか、ミサキ・シズノ(川澄綾子さん)やハヤセ(神谷浩史さん)、カワグチ(吉野裕行さん)といったメンバーも声で登場。かつてセレブラントとして戦い、命を落としたカノウ・トオル先輩が残したメッセージを軸にした物語が展開した。

 そして、アニメのエンディングを連想させるように、朗読劇の終わりからシームレスにROCKY CHACKによる生ライヴがスタート。「リトルグッバイ」など作品を彩った3曲が披露され、奥行きを感じさせる神秘的なサウンドに会場が包まれた。


ROCKY CHACKによる生ライヴも行なわれた

 ライヴ後、浅沼さんは「アニメは毎回エンディングの歌の入り方が絶妙だったので、朗読劇でも同じような演出にしたかったんです。それが実現して、もう感無量です」とこだわりを解説。花澤さんも「聴いていて、このまま時が止まってくれればいいと思った」と感激した様子だった。

 最後に花澤さんは「またこの制服を着てイベントができることを願っています」とコメント。浅沼さんも「来てくれた皆さんと、これなかった人にも、本当に感謝しています。ここが終着駅だと思わず、今後も応援してください」と頭を下げた。下田監督も「これで終わりと思わずに、これからも応援してくれるとスタッフともども嬉しいです」と挨拶した。

 イベントはここで一旦終了したが、当初参加予定だったものの、都合で欠席していた企画・デザイン担当の幡池裕行さんが滑り込みで到着。構想中の“今後のゼーガペイン”のイラストを紹介した。幡池さんによれば、「舞台になるか、映画になるか、小説なのか、何も決まっていない状態で、サンライズ・バンダイビジュアルさんにアイデアの“プレゼン”をしに来たと思ってください」という段階だそうだが、会場のスクリーンに新しいキャラクターや街並のイラストが表示されるたびに歓声が起こり、イベント最後に嬉しいサプライズとなった。

 なお、決定している今後の展開として、バンダイのフィギュア「ROBOT魂」のシリーズで、「ガルダ」が11月、「フリスベルグ」12月に発売予定。10月1日~3日に秋葉原で開催される関連イベント「魂ネイション2010」では、クロシオ搭載機の参考出品も決定しているとう。

発売中のROBOT魂 -ロボット魂-〈SIDE HL〉ゼーガペイン アルティールROBOT魂 -ロボット魂-ゼーガペイン ガルダ 2010年11月発売予定ROBOT魂 -ロボット魂-〈SIDE HL〉ゼーガペイン フリスベルグ 2010年12月発売予定

 さらに10月には新ムック本「ゼーガペイン ファイルサルベージ」の発売が控えている。加えて、発売日は未定だが、アルターからカミナギ・リョーコのフィギュアが再び発売決定。以前も同社からはフィギュア化されているが、その際の金型は無くなっているそうで、新たに作り直すという。そのため、浅沼さんや花澤さんからは「こんなポーズがいい!」、「ビデオカメラ付属とかどうですか?」など、様々な意見が出されていた。


 「あなたの力でBD化プロジェクトランキング」を発端としたゼーガペインBD-BOX化の流れも、今回のBOX発売と発売記念イベントで1つの区切りを迎えた形になる。特筆すべきは、この作品が2006年に放送されたもので、既に放送から4年が経過しているにも関わらず、根強いファンが集まり、BD-BOX化だけでなく、こうした熱気あふれるイベントも開催できたという事実だろう。

前回のイベントと同様に、メッセージボードも用意。熱いコメントが次々と貼られていた参加者が“どこのサーバーから来たセレブラントなのか”を書き込むボードも

 「ゼーガペイン」という作品は、一見すると普通のロボットアニメだが、意外性のある設定と練りこまれたストーリー、そして絶望的な状況下における人間ドラマを真正面から描ききった名作であり、“最後まで観る事が大切”な作品でもある。しかし、放送当時に爆発的な人気を得るには至らなかった。

 今回のBD-BOX化は単に過去作品がBDで再発売されるというだけでなく、過去の名作が再評価され、新しい動きへと繋がるムーブメントの“核”に、BD化がなりえることを示した好例とも言えるだろう。個人ブロクの定着やTwitterの広がりなど、コミュニケーションツールの普及にも後押しされ、これまでは分散していたコアなファン達が連携し、その魅力を広く伝播させやすい環境は整いつつある。ゼーガペインの今後に期待すると共に、まだ多くある埋もれた名作に再び光が当たり、人気が再燃する事にも期待していきたい。

会場には既報の通り、9月24日に低価格DVDの「EMOTION the Best」シリーズとしてDVD-BOX化される星方天使エンジェルリンクスと星方武侠アウトロースターのBOXも展示された
(C)モーニングスター・サンライズ
(C)モーニングスター・サンライズ/集英社・創通

(2010年 9月 2日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]