【CEATEC 2010】ドコモ、裸眼3D/AR技術を携帯と連携

-KDDIはAndroidスマートフォン活用のテレビ視聴など


 CEATEC 2010に出展しているNTTドコモとKDDIの展示内容をレポートする。

ドコモブースKDDIブース


■ NTTドコモ

GALAXYの体験コーナー

 6日にAndroid搭載スマートフォン「GALAXY S」とタブレット端末「GALAXY Tab」を発表したドコモのブースでは、両機種を体験できるコーナーが注目を集めている。また、AR(拡張現実)技術や3Dを携帯電話と組み合わせるという提案型の展示も多く見られた。

 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使った行動支援技術「AR Walker」は、オリンパス製の小型HMDを取り付けたメガネを装着することで、視界の中に地図などを表示できるというもの。会場では、キャラクターの「ドコモダケ」が道案内するという体験型のデモが用意され、長い行列ができていた。

デモに使われたHMDと携帯電話ディスプレイ部装着例と、表示画面のイメージ
さまざまな用途に応じた形状のHMDコンセプトイメージ

 ディスプレイへの映像は携帯電話から出力されるもので、通信による情報のほか、地磁気センサーのデータを加えることで、利用者が見ている方向に連動してリアルタイムに情報が更新される。これにより、近くにある飲食店や施設の情報、観光情報などの情報を表示することも可能。顔を上に向ければ天気情報を取得するといったこともできる。

 オリンパスのHMDは“人差し指サイズ、10g”という小型サイズで、右目側の1m先に7.2型相当の画面を表示。解像度は320×240ドット。晴天時の屋外でも見やすいという。細長いプリズム「光学バー」により、瞳孔を2つの領域に分け、一方から映像光を、他方から外光を目に導入させる。これにより小型の光学系で、光のロスがない、明瞭な映像を作り出せるとしている。

3Dと触覚を組み合わせたデモ

 そのほかのAR技術では、自分のいる場所に似せたPC上のバーチャル空間内にオブジェクトを配置し、携帯電話をそのオブジェクトがある方向にかざすと、携帯のディスプレイ上に同じオブジェクトが表示されるというデモや、通販サイトの商品を様々な角度で確認でき、自分の部屋に置くような仮想体験もできるというサービスを紹介していた。

 携帯電話のディスプレイ向け3D映像技術では、視覚だけでなく触覚を組み合わせたデモを行なっていた。画面上のカメレオンにタッチペンで触れようとすると、カメレオンが舌を伸ばし、つつかれるような感触を受ける。仕組みとしては、ディスプレイ上部に2つのカメラを備え、ペン先の3次元位置を検出。ディスプレイの背面にはコイルを配しており、磁石の付いたペン先が立体映像と同じ3次元位置に来た時に、コイルに電流を流すことで、ペン先の磁石に対する反力が発生。映像と連動することで、実際につつかれたように感じる。

 ディスプレイは2.57型/QVGA相当で、8視点の裸眼3D表示に対応。携帯電話のゲームなどへの採用が考えられるほか、タッチパネルでクリック感を付加するなど、インターフェイスへの応用も想定。コミュニケーションに「触力覚」の要素を追加できるという。

ペンが近づくと、舌が伸びてきて、つつかれたように感じるディスプレイの上部のユニットにカメラが内蔵「触る3D」の仕組み

 また、「撮る3D」の展示では、3D対応カメラで撮影した静止画を、様々なディスプレイに適した形で表示するという技術を表示。

 2つのレンズを持つカメラで撮影した静止画に対し、過度な飛び出しを抑える「視差調整」と、2視点で撮影した静止画から奥行きの情報を求めることで、疑似的に多視点の画像を生成する「画素補間機能」の2つの変換処理に対応。これらの処理により、裸眼3Dディスプレイでの表示や、2Dディスプレイでの、傾きセンサーなどを使った疑似立体表示が可能になる。ブースでは、8視点の裸眼3Dディスプレイでの表示や、2Dディスプレイ(Xperiaを使用)上での疑似3D表示デモを行なっていた。

8視点の裸眼3DディスプレイXperiaの2Dディスプレイ向けに作られた疑似3D表示。本体を傾けると、まるで写真に奥行きがあるように見える


■ KDDI

IS03の体験コーナー

 5日に発表したAndroid auスマートフォン「IS03」のタッチ&トライコーナーに人気が集中していたKDDIブース。Android端末などを利用した、テレビ視聴スタイルの提案を中心に紹介する。

 「Android搭載ハイブリッドSTB」は、auひかりなどの映像配信サービスと、ケーブルテレビの両方に対応したSTBで、RFとEthernetのどちらからでも映像を入力可能。グループにCATV会社のJCNと、IPTVのauひかりの両サービスを持つKDDIが、同一プラットフォームでSTBを作ることができ、設計の効率化が図れる。

 利用者のメリットは、Android搭載スマートフォンやタブレット端末をディスプレイ付きリモコンとして使えること。EPGをスマートフォンに表示することで、テレビ画面を隠すことなく番組情報を見ることができ、録画予約も行なえる。さらに、HDD内蔵STBなどに録り貯めた動画をスマートフォンに転送し、テレビで見た続きから見るといったことも可能になるという。

Android搭載ハイブリッドSTBEPGをAndroid搭載タブレットで表示。そこから予約できる録画された番組の一覧。タブレットから再生操作ができる

 「“smARt”テレビ視聴」は、テレビ画面に携帯電話をかざすことで、画面内の特徴的な要素を検知し、関連する情報を携帯電話に表示するというもの。たとえば、テレビ画面上に表示された「トマトケチャップ」を読み取ると、トマトに含まれる“リコピン”に関連する情報として「リコピンダイエット」の情報などのサイトが表示される。

 上記の例は、携帯電話の持ち主が女性だった場合のもので、持ち主が男性だった場合は、同じケチャップを読み込んでも「ケチャップトッピングのラーメン」という情報が表示。そこからこだわりのケチャップを購入できるサイトにジャンプできるという内容になっていた。このように、ユーザーの属性に合わせた情報が得られるのも、携帯電話を使うことによる特徴としている。

smARt視聴のコーナー。端末にはIS01を使用女性が使っている端末では、「ケチャップ」の関連情報として「リコピン」が表示男性では「ラーメン」に

 そのほか、トライアルサービスとしてau携帯電話向けに提供されている「テレビダイジェスト」のコーナーでは、Android搭載スマートフォンでも同様のサービスを可能にするという試作機が展示。「テレビダイジェスト」は、ニュースやバラエティ番組などの内容を、静止画/字幕のみを表示するページに分割(5分のニュースで15~16ページ)し、必要な情報だけを探しやすくするもの。動画に比べ通信データ量を抑えられ、映像を観たい場合はサムネイルをタッチすることで再生される。

テレビダイジェスト対応のAndroid端末として、auのIS01や、タブレット端末などをイメージページをめくるように情報を閲覧できる。テキストの赤く表示されたところは「キーワード」で、タッチすると、その語句に関する情報を検索する「テレビダイジェスト」の説明

 そのほかの展示としては、視聴中の番組に対するネット上の視聴者コメントをリアルタイムで分析し、ソーシャルメディアサービスと連携する「ソーシャルメディア視聴」をデモ。番組を観ながら、議論されているテーマやその肯定/否定、コメントした人の属性といった情報が得られ、多くの人と一緒に観ているような臨場感が得られるという。

「スタジアム3D自由視点」のコーナー。スポーツ中継などで、フィールドの様々なアングルからの映像を視聴者が観たい方向から観られる。4K映像の圧縮データから、空間的な切り出しや、整形処理を行なうことで、高速な抽出を行なえるという
ディスプレイの背面からタッチ操作ができる「背面入力インターフェース」の展示。キーで手が隠れるのを防ぎ、誤入力が少ないという。2画面への応用も検討中だという


(2010年 10月 6日)

[AV Watch編集部 中林暁]