BD/DVDレンタル店の売上は2年連続前年割れ。JVA実態調査

-BDレンタル実施率はVHSを上回る83.3%。単価は下落傾向


 日本映像ソフト協会(JVA)は22日、2010年度のビデオレンタル店実態調査の結果を発表した。

 この調査は、同協会のレンタルシステム加盟店に対して、郵送によるアンケートで6月に行なわれたもの。調査票送付数は3,207票で、有効回答数は607票、回収率は18.9%。オンラインのネットレンタルサービスおよび、自動レンタル機器によるレンタルについては対象外としている。

各調査項目の平均値。出展:JVA


 

■ 平均売上は2年連続で前年割れ。BDレンタル実施は83.3%

 ビデオレンタル総売上について、前年を上回ったと回答した店舗の構成比は、前年の30.5%から12.5%に減少、1割強の店舗しか前年を上回ることができなかった。前年比80%~100%未満となった店舗は全体の67.0%で、前年の63.4%よりやや増加。80%にも届かなかった店舗も前年の6.1%から20.5%と増加。前年比の平均値は87.1%となった。

 一方、ビデオレンタルの月平均総売上金額は536.4万円で、2年連続で前年割れ。前年比でみると96.3%。JVAでは「算出のために用いた有効回答票数が前年の644票に対し2010年は504票と2割以上減少していることが影響していると考えられる。月平均総売上金額の前年比よりも、前年比による比較のほうがレンタル店の実感に近いと思われる」としている。

 Blu-rayレンタルの実施率は、前年の68.2%から83.3%に上昇し、VHSレンタルの実施率60.4%を上回った。しかし、店舗規模によって実施率に大きな差があり、大規模店では95.9%、中規模店で86.1%と高い実施率となっている一方、40坪以下の小規模店では25.4%に留まっている。

 Blu-rayの平均在庫枚数は331枚で前年比248.9%、月平均貸出枚数は168枚(同300.0%)、月平均仕入枚数は20枚(同250.0%)となっており、前年比においては高い伸びを示しているが、月平均の売上金額は6.0万円(同162.2%)と低い。なお、レンタル料金は新作/旧作ともに、全てのレンタル期間で大幅に低下、DVDの貸出料金とほぼ同程度となっている。ジャンル別でみると、在庫は81.6%が「洋画(アジアを除く)」で、貸出においても同ジャンルが85.9%を占めている。



■ レンタル料金は値下げ傾向。小規模店の売上は3割減

 

 JVAによると、「大手チェーンなどで実施されている貸出料金の廉価キャンペーンが、大手チェーン以外のショップにも影響が及び、業界全体がレンタル料金競争の渦中にある」という。レンタルの中心であるDVDについて、月平均売上金額を月平均貸出枚数で割り、1枚当たりの貸出単価を算出すると、'08年が250.5円、'09年が237.9円、そして'10年が206.0円と低価格化が進行している。

 '09年の前年比が95.0%であったのに対し、'10年は同86.6%となり、下げ幅が拡大。この数字は売上の前年比の平均値(87.1%)に近くなっている。貸出料金についての回答結果をみても、旧作は、当日料金が前年より-17円、1泊2日料金が-32円、2泊3日料金が-25円、1週間料金が-51円、延滞料金が-10円となり、1週間料金の下げ幅が最も大きいが、そのほかのどのレンタル期間の貸出料金も大きく平均金額を下げている。新作においては、当日料金が+1円、2泊3日料金が+2円、1週間料金が+9円となったが、1泊2日料金、延滞料金がマイナスとなっており、「旧作料金の大幅な値下げが売上全体に大きな影響を与えている」としている。

 貸出数量で見ると、DVDが25,938枚と前年比112.0%の伸長。前年に比べ2010年は大きく盛り返し、過去最大の貸出数量となった。また、会員数は13,259人(前年比138.4%)と大きく伸長。「停滞気味であった近年の傾向を破り、過去最大の平均会員数となった」という。しかし、単価の下落が影響し、売上増には結びついていないという結果になっている。1カ月の会員1人あたりの売上単価(月平均売上金額÷会員数)では'09年の581.6円から404.6円へと約3割減少。「キャンペーンによって増加した会員の来店頻度を高め、いかにして売上増に結びつけるか、工夫が切望される」としている。

 大手チェーンなどによる貸出料金の廉価キャンペーンに対し、レンタル部分面積が40坪未満の小規模店も、DVDレンタル料金について平均で20円~30円台の値下げを行なっている。こうした対策などにより、DVDの貸出枚数は前年度の96.2%と微減に留めたが、売上額で見るとDVDが'09年の182.1万円から128.7万円へと約3割の減少となった。



(2010年 10月 22日)

[AV Watch編集部 中林暁]