シンタックス、RMEの192kHz USBオーディオ「Babyface」

-10ch入力対応で実売69,800円。「Fireface」最上位も


小型モデルの「Babyface」と、1Uラックマウント型の「Fireface UFX」。手にしているのは、両製品を説明した独RMEのMax Holtmannジュニアプロダクトマネージャー

 シンタックスジャパンは、独RME製のUSBオーディオインターフェイス2モデルを2011年1月中旬に発売する。

 エントリー向けの小型モデル「Babyface」と、「Fireface」シリーズの最上位モデル「Fireface UFX」を用意し、価格はオープンプライス。店頭予想価格はBabyfaceが69,800円前後、Fireface UFXが22~23万円前後。

 なお、これらの製品は11月のInter BEE 2010でも出展されていたが、今回の発表会で製品コンセプトや機能などを説明。また、シンタックスのPCオーディオへの取り組みなども紹介された。



■ Babyface

BabyfaceをMacbook Airと接続

 モバイルレコーディングを行なう録音エンジニアや、ホームシアターユーザー、低価格でレコーディングしたいミュージシャンなどの利用を想定したUSBオーディオインターフェイス。USBバスパワー駆動に対応する。

 エントリーモデルという位置付けだが、デジタル/アナログ合わせて10chの入力と、12chの出力に対応。デジタル入出力はUSB 2.0×1、光デジタル×1、MIDI×1を装備。光デジタルはADAT(S/MUX対応)としても利用できる。アナログ入力は付属ブレイクアウトケーブルにより48Vファンタム電源対応のXLR×2の接続が可能なほか、楽器などをHigh-Z対応TRS端子に接続することも可能。アナログ出力はXLRバランス×2とTRSアンバランス×2、ヘッドフォン×2。なお、別売でRCA対応のアナログ変換ケーブル(実売6,000円前後)も発売予定。

 デジタル接続においては、独自の「Steadyclock」機能によりジッターを大幅に低減。Steadyclockは1基の水晶発振器で、オーディオデータとは独立したキャリアデータのクロックのみを受信するもので、デジタルPLLとアナログフィルタで構成された100MHzの高速な内部クロック回路を採用し、入力信号に対して正確に追従できる。

Babyface本体背面側面

 DAC/ADCは24bit/192kHzに対応。USBコアは新開発の「RME Hammerfall」をベースに設計し、独自の伝送技術により低レイテンシーを実現。筐体はアルミ製。ソース切替ボタンやボリュームノブ、ピーク/RMSメーターなどを備える。

 バンドルソフトの「TotalMix FX」により、エフェクトやミキシング、ルーティングなどの設定が可能。新機能としてはミュートやフェーダー、ソロの各機能をコントロールするグループ機能や、モノ/ステレオ表示の切り替え、無制限のUndo/Redoや、各チャンネルのスリム表示モード、2列表示モードなどを追加。そのほか、3バンドイコライザやリバーブ/ディレイなどの設定が行なえる。

 ドライバの対応OSはWindows XP/Vista/7(32/64bit版対応)と、Mac OS X 10.5以上。外形寸法は100×160×25㎜(幅×奥行き×高さ)、重量は未定だが、海外で発売されているモデル(本体カラーはブルー)の重量は500gで、日本で発売されるモデルはそれよりもやや重いという。

付属ブレイクアウトケーブルなどで様々な入力に対応付属ケースは、iPadも収められるサイズだというコントロールソフト「TotalMix Fx」の新機能


■ Fireface UFX

Fireface UFX

 1Uラックマントサイズで、USB 2.0/FireWire 400を備えた「Fireface」シリーズの最上位モデル。30入力/30出力に対応し、全ての入出力で最大24bit/192kHz対応をサポートする。超低ノイズのマイクプリアンプや、ジッター低減機能「Steadyclock」などを搭載。前面に備えたカラーLEDディスプレイで入出力レベルや、ほぼ全ての設定画面が表示できるという。

 アナログ入出力×12chや、ADAT入出力×2(1系統は光デジタルに切り替え可能)、AES/EBU×1、MIDI入出力などを装備。DSPチップによりローカット/イコライザ/リバーブ/コンプレッサーなどの調整が行なえる。

 さらに、2011年予定のファームアップデートにより、前面に備えたUSB 2.0端子を使った録音に対応。USBメモリやUSB HDDなどにWAVで直接録音でき、パソコンを使わず単体でレコーディングできる。また、レコーディングのバックアップとしての利用も想定している。

 USB/FireWireのカーネルを独自開発し、FPGA上に実装。Windows/Macともに超低レイテンシ―で動作し、30入力/出力時も安定した性能を発揮するとしている。

 前面の4chマイク入力は、高級マイクプリアンプ「Micstacy」と同等の回路を二重化し、パラレル回路設計により1マイクにつきADCを2個使用することで低歪み/低ノイズなどを実現。デジタルコントロールゲインは55~65dBで、1dBステップで調整できる。

 「TotalMix FX」により、エフェクトやミキシング、ルーティングなどの設定が可能。新機能としてはミュートやフェーダー、ソロの各機能をコントロールするグループ機能や、モノ/ステレオ表示の切り替え、無制限のUndo/Redoや、各チャンネルのスリム表示モード、2列表示モードなどを追加。そのほか、3バンドイコライザやリバーブ/ディレイなどの設定が行なえる。

背面12chのアナログ入力など、入力/出力各30chを装備TotalMix Fxで様々な設定が行なえる


■ PCオーディオユーザー向けに、オヤイデとのコラボレーションケーブルも

シンタックスジャパンの村井清二代表取締役

 RME製品を日本で取り扱うシンタックスジャパンは、PCオーディオへの同社の取り組みについて説明。代表取締役の村井清二氏は、エントリーモデルながら10ch入力/12ch出力や24bit/192kHzに対応した「Babyface」の優位性をアピールし、「飽和するDAW市場においてエントリーユーザーへの機会を提供する」と述べた。

 iPod/iPhoneなどの普及により、PCで楽曲を管理する人が増えていることから、村井氏は「全てのiPodユーザーはPCオーディオの環境が既に半分整っており、PCオーディオには(iPodユーザーの)2,000万人という潜在顧客がいる」とし、販売店にとっても「パソコンやiPodで音楽を楽しむ若い世代をHiFi市場へ誘導することが可能」との見方を示した。

 また、CDの販売数量が頭打ちになっているという市場の背景や、同社製品のユーザーの96%が「高音質音源のダウンロードサービスを利用したい」と答えたことなどを受けて、同社はPCオーディオ市場の今後の伸びに大きな期待を寄せている。

 新しい取り組みの一つとして、高級オーディオケーブルを扱うオヤイデ電気と協業。PCオーディオユーザーからの要望に応え、RMEとオヤイデのコラボレーションで開発されたアナログオーディオ専用ケーブルを近日発売予定だという。この製品は「RME製品との組み合わせで最高のパフォーマンスを得られる」と訴求し、RMEユーザーには特別価格で販売される。

iTunesなどのユーザーをPCオーディオの潜在顧客ととらえるシンタックスの調査では、ユーザーの96%が高音質楽曲配信を利用したいと答えたというオヤイデとRMEのコラボレーションケーブルを発売予定


(2010年 12月 14日)

[AV Watch編集部 中林暁]