パナソニック、Blu-ray 3D/BDXL対応のCATV用STB

-3D版「アバター」同梱。BD書き戻し/放送転送も


 パナソニックは、Blu-ray 3D再生に対応したCATV用STBを発表。3月よりCATV業者向けに販売する。パススルー対応/非対応やケーブルモデルの有無で、下記の3モデルを用意する。

型番HDD容量対応受信方式ケーブルモデムアクトビラ・ビデオ フル
ダウンロード
TZ-BDT910M500GBトランスモジュレーション
TZ-BDT910Fトランスモジュレーション
OFDMパススルー
TZ-BDT910P
TZ-BDT910P。3Dメガネは付属しない

 いずれも、CATV用STBとして初というBlu-ray 3D再生に対応。データ処理能力を向上させた「新ユニフィエ」(UniPhier)の採用により実現している。Blu-ray 3D再生に対応したことに関連し、映画「アバター」の未発売Blu-ray 3Dソフトを、初回から6月出荷分までに同梱するキャンペーンを実施。この製品を使用するCATV加入者に無償提供される。なお、このディスクは、以前DIGAやVIERA購入者に提供されたものと同じ。

 通常のテレビなど2D映像の3D変換にも対応。また、3D再生時にL/Rの視差を調整できる「3D奥行きコントローラー」を搭載。視差を調整することで、奥行き/飛び出し量を調整できる。ソースによって気になる「飛び出し過ぎ」や、「広がり感がほしい」といったときに調整できる。また、目にやさしい奥行き感を作り出すという「曲面表示」や、画面境界の「ぼかし」機能も搭載している。

 3D対応VIERAとHDMI接続することにより、STBのリモコンからVIERAの2D-3D切替などが可能。3Dモード時はメニュー表示も3D化され、3Dメガネを掛けたままでもサブメニューなどの表示を見やすくしている。 そのほか、将来的な機能としては、3Dモード切替を自動で行なう機能にも対応予定。

TZ-BDT910MTZ-BDT910FBlu-ray 3D版のアバターが同梱
「3D奥行きコントローラー」を搭載奥行きなどの手動設定画面2D-3D変換にも対応する

 そのほか、従来モデルTZ-BDW900M/F/Pからの機能強化として、BDメディアの大容量規格であるBDXLの録画/再生も可能になった。また、同社BDレコーダで実現しているBD-R/REからHDDへの書き戻しにも対応。著作権保護された番組も、コンテンツの種類に応じてダビングまたはムーブできる。

 全モデル、チューナは地上/BSデジタルとCATVチューナを各2基搭載。第6世代の「新アドバンスドAVCエンコーダー」を搭載し、2系統のデジタルチューナで同時にフルHD解像度のままMPEG-4 AVC/H.264形式にエンコードし、最長15倍(約1.6Mbps)でフルHDの長時間録画が行なえる。EPGはGガイドで、Gガイドが提供する「NHK・WOWOW番組特集」や、「WOWOW1ヶ月番組表」にも対応する。

 ネットワーク関連では、全機種でアクトビラ・ベーシックやYouTubeに対応。BDT910Pのみ、アクトビラ・ビデオ フルやTSUTAYA TV、アクトビラ・ビデオ ダウンロードも利用できる。

DLNAクライアントとしても利用できるようになった

 DLNA機能の「お部屋ジャンプリンク」では、従来のサーバー機能に加え、クライアント機能も搭載。別のDLNAサーバー対応機で録画した番組を、新モデルのSTB経由で視聴できるようになった。さらに、STBで受信中のCATV番組や地上/BSデジタル番組を、家庭内のネットワーク経由で別の対応端末でリアルタイム視聴できる「放送転送」にも対応した。別売のUSB無線LANアダプタ「DY-WL10-K」の接続にも対応する。

 CATVやデジタル放送の録画番組を、ワンセグ対応携帯電話やビエラ・ワンセグなどに持ち出して視聴できる「新・番組持ち出し」も搭載。ワンセグ画質での転送だけではなく、640×480ドットの「高画質」モードでの転送にも対応する。

 さらに、後日のアップデートによりSkype機能に対応予定。別売カメラ/マイクを介して、パソコンやVIERAなどのSkype端末とのテレビ電話が可能となる。Skypeの留守録にも対応する。また、2月5日より順次発売されるBDレコーダの新DIGAと同様に、今後発売を予定している「モバイル端末」への番組持ち出しといった連携機能も検討中としている。Blu-rayパッケージソフトのモバイル向けの追加コンテンツサービスとして今春よりサービス開始が予定されている「e-move」にも対応する。

最長15倍の長時間録画に対応別売アダプタにより無線LANにも対応可能CATVの番組も「放送転送」できる
付属リモコン

 同社が提案するCATV事業者向けのSTBポータル画面「ユニバーサルポータル」のサービスにも対応。今後、サービスの開始が検討されている高能率符号化方式「H.264/256QAM」にもソフトウェアバージョンアップで対応予定となっている。

 出力端子は3モデル共通で、HDMI×1、D4×1、コンポジット×1、アナログ音声×1、光デジタル音声×1を装備。Ethernetやi.LINK×1、USB×2を搭載する。

 消費電力は従来モデルより削減され、BDT910M/Fは30W(従来モデル38W)、BDT910Pは25W(同32W)とした。待機時(クイックスタート「切」)はいずれも0.1W(従来モデル0.2W)となっている。外形寸法は430×249×59mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3.2㎏。従来モデルに比べ奥行きを76㎜短縮し、体積は24%、重量は20%削減している。

CATVのユニバーサルポータルに対応消費電力を削減したほか、本体の奥行きを縮小、軽量化も実現した別売USB無線LANユニットの接続例


■ STBのBD搭載比率は'10年で54%に。地デジ化/3D需要に期待

パナソニックの川島一郎氏

 パナソニック AVCネットワーク社 CATVビジネスユニット 企画グループマネージャーの川島一郎氏は、CATV用STBの市場動向について説明。2011年7月のデジタル放送移行が牽引し、STBの需要は前年比20%増の200万台になると見込んでいる。

 また、市販レコーダ市場におけるBlu-ray搭載モデルの構成比は2011年で86%に達するとの同社予測を示し、「STBでも同様にBD化が急速に進展している」と指摘。同社の録画機能付きSTBにおけるBD搭載比率(出荷比率)は、'09年の21%から'10年で54%まで急増したという。

 同様に、市販BD/HDDレコーダにおける3D対応モデルは2011年春に100%に達すると予測していることから「CATV加入者からの需要も湧き上がってくる」とし、今回のSTBにおいてBlu-ray 3Dに対応したことをアピール。また、2010年6月のケーブルテレビショーで同社が行なったアンケートでは、STBにおいてBlu-ray内蔵や長時間モード対応など、録画に関する要望が高く、ホームネットワーク関連機能のニーズも拡大したことを受け、今回のモデルではそれらの機能強化を行なったという。

 川島氏は、今後も携帯電話/家電機器との連携などホームネットワーク対応の機能を充実させていくことを強調。「パナソニックが提供するEnd to Endソリューション」として、「映像ホームゲートウェイサーバーSTB」、「ホームネットワーク」、「携帯・家電機器連携」、「CATVユニバーサルポータル」の4つを掲げ、「'10年度の製品は、HDD内蔵から始まって全ラインナップを一新した。これは、パナソニックが考えるソリューションの第一歩。すべてのCATV事業者に利用されるよう、今後も進化を続けたい」と述べた。

STBの需要と今後の予測パナソニックのSTBラインナップ同社が提案する家庭内ソリューション


(2011年 1月 28日)

[AV Watch編集部 中林暁]