パナソニック、黒と3Dを追求した最上位機「VIERA VT3」

-「VIERA最高画質」でUSB HDD/SD録画。radikoも


VIERA VT3シリーズ(下段)

 パナソニックは、黒の表現力を向上したフル・ブラックパネルIIを搭載し、「VIERA最高画質」を謳うプラズマテレビ「VIERA VT3シリーズ」を3月18日より発売する。

 50型の「TH-P50VT3」と46型の「TH-P46VT3」、42型の「TH-P42VT3」が用意され、価格はオープンプライス。店頭予想価格は50型が38万円前後、46型が31万円前後、42型が25万円前後。

 新パネルの採用による高画質化や、3Dの高画質処理導入に加え、USB HDD録画やSDカード録画、ラジオのインターネットサイマル放送「radiko.jp」やTwitterなどのネットワークサービス対応なども強化。VIERAのフラッグシップシリーズとして展開する。


TH-P50VT3TH-P46VT3TH-P42VT3

新VIERAシリーズ
 同時発表のプラズマ中級機「VIERA GT3シリーズ」とスタンダード機「ST3シリーズ」、液晶最上位機「DT3シリーズ」の各モデルも3Dに対応し、3Dラインナップを大幅に強化。3Dや録画、ネットワークなどの魅力を訴求し、2003年ごろの地上デジタル放送スタート時に購入した薄型テレビなどのデジタルテレビからの「デジデジ」買い替えを促していく方針。

 なお、50型超の大型モデルについては、VIERA VT2シリーズの54/58/65型の販売を継続する。


■ フル・ブラックパネルIIで、黒と3Dを強化

TH-P50VT3と新ラックシアター「SC-HTF9」

 パネル解像度は42/46/50型のいずれも1,920×1,080ドットのフルHDで、フレームシーケンシャル方式のフルHD 3D表示に対応。3Dメガネを組み合わせることで、3Dに対応する。なお、VT3シリーズでは3Dメガネは別売となり、「TY-EW3D10W(実売価格1万円前後)」、「TY-EW3D2(同13,000円前後)」が用意される。3DトランスミッタはVIERA本体に内蔵している。

 VIERA VT3シリーズは、新開発の「フル・ブラックパネルII」を採用。黒の表現力と3D画質を向上した。従来モデルのVT2シリーズ比で、約15%発光効率を向上したほか、高輝度化した短残光蛍光体を採用することで、ネイティブコントラストで500万:1を実現しているという。

 新パネルでは、フィッシュボーン構造と呼ばれる電極構造を採用。細かく放電することで、放電ロスを抑えている。新開発の高輝度短残光蛍光体と組み合わせて、一層の高画質化と省電力化を実現したという。

 また、プラズマパネル前面板と一体化した新開発の「低反射ディープブラックフィルターII」を搭載。外光の映り込みを抑え、前面ガラスの内部反射を無くすとともに、フィルターの光学特性を進化させた。これにより、従来モデル(VT2シリーズ)比で明所コントラストを約1.4倍に向上。明るい空間でも、黒が冴えた高い質感の映像を楽しめるという。

 中級機の新VIERA GT3シリーズとの画質面の差異も、この低反射ディープブラックフィルタIIによるものが大きいとする。

 動画解像度は1,080本で、次世代PDP開発センター(APDC)による新測定基準「フルHD動画解像スピード」では1,200ppsを実現。従来の2Dモデル(V2シリーズ)の800ppsに比較して約1.5倍の動画性能を有しているという。

新パネルでは新しい蛍光体と新電極構造を採用低反射ディープブラックフィルターIIで明所コントラストを改善フルHD動画解像スピードで1,200ppsを実現

プラズマの特性を生かした3D高画質化
 3D画質も向上。3D対応の高密度蛍光体により、従来の2Dモデル(V2シリーズなど)の約1/3の残光時間まで低減。残光が低減したことで、左目用映像と右目用映像の表示切り替え時の映像の重複を無くし、新発光制御とあわせて3D映像表示時のクロストーク(2重像)を抑えた。

 クロストーク抑制のための新技術も導入。3D映像でクロストークが出やすいシーンについて、適応的に映像処理を行なうことで自然な3Dを実現する。1つは明るいシーンでの輝度変化を感じにくいという人の視覚特性を利用したもので、クロストークが発生しやすいシーンで、人の視覚で明るさ感を同等に確保できる範囲で発光を抑えることで、映像が右目から左目など切り替わった際に、切り替わる前の映像が知覚されないように制御する。


PDPの新クロストーク低減技術。新発光制御と、適応型のクロストークキャンセラーを搭載する人間の視感度特性に合わせた制御を導入

適応型クロストークキャンセラーを採用
 もう一点は、中間色を信号レベルで制御して調整する「適応型クロストークキャンセラー」。前の残光が映像信号に加わり、2重像が発生すると予測されるシーンで、あらかじめ、残光量を引いて補正した映像に現信号を加え表示信号を生成することで、クロストークを抑制する。画像にあわせて、2つの機能を使い分けることで、クロストークを低減している。

 3DはBlu-ray 3Dだけでなく、放送で利用しているサイドバイサイド方式や、トップアンドボトム方式などのフレームシーケンシャル以外の方式に対応。新たに、3D放送のサイドバイサイドなどの3D方式を、VIERAが自動判別して切り替える「3D方式自動認識機能」を搭載した。


3Dメガネは別売

 また、2D-3D変換機能も搭載。3Dソフトの映像の奥行きを調整できる「3D奥行きコントローラー」や、24p収録の映像を3D化する際に自然な中間フレームを生成する「3Dシネマスムーサー」などの機能も搭載する。

 映像処理回路も新開発の最大18bitのデジタル信号処理を導入し、高い階調表現力を獲得。視聴環境の明るさなどを検知し、コンテンツにあわせて、映像シーンごとに明るさや黒レベルを制御するAI機能も搭載。暗部補正システムも搭載し、明るい環境でも暗い環境で見たときと同じ見た目になるように補正するという。

 また、放送やBlu-rayだけでなく、SD放送やDVD、アクトビラ ビデオ・フル、ゲームなどの低解像度のコンテンツについても、高解像度化処理を導入。多くのコンテンツで精細感の高い映像を楽しめるという。

 従来モデルと同様に、BDビデオなどで色域圧縮されてしまう映画オリジナルの色をリマスターする「ハリウッドカラーリマスター」を搭載。映画本来の色合いを再現するという。なお、同機能はテレビ放送などでも利用できる。

 総合出力22Wの2.1chスピーカーを搭載。本体背面にウーファを内蔵することで、より臨場感のあるサウンドを実現する。また、フロントスピーカーのみで、仮想的にサラウンド実現する「バーチャル3DサラウンドシステムII」を搭載。同社独自の周波数スペクトルを用いた周波数制御アルゴリズムを採用することで、音の広がり感や包まれ感を高めているという。

 オフタイマー機能も、設定した時刻になると電源をオフする前に徐々に画面輝度と音量を落としていく「新オフタイマー」を採用。「心地よい入眠が可能」としている。スピーカーとイヤフォンの同時音声出力にも対応する。

 本体のデザインは、「波一つ無い水面」をイメージしたというフルグラスフェイスデザインを採用。漆黒のガラスパネルを際立たせ、スピーカーも新開発のスリムスピーカーを画面下のスリットから正面に向けて音を出すなど、デザインを考慮しながら高音質化を図ったという。

バーチャル3DサラウンドシステムIIを搭載フルグラスフェイスデザインを採用


■ USB HDD録画やSDカード録画に対応。裏番組視聴も

USB HDD、SDカード、DIGAなど録画メディア/機器を選択できる

 画質や3D関連機能だけでなく、録画機能も大幅に強化している。チューナは地上/BS/110度CSデジタルを各2系統、地上アナログチューナを1基搭載。番組表はG-GUIDEで、3/5/7/9/11/15/19チャンネルの表示が選択可能な「インテリジェントテレビ番組ガイド」に対応。1カ月先までの注目番組を写真付きでチェックできる「注目番組」機能や、ジャンル検索機能、音声読み上げ機能などを装備している。

 新たに別売のUSB HDDやSDメモリーカード(SDHC/SDXC対応)への録画機能を搭載。2番組の同時録画には対応しないが、番組録画中の裏番組視聴は可能となっている。USB HDD/SDへの録画はMPEG-2 TSのストリーム録画だけでなく、MPEG-4 AVCエンコードによる長時間録画に対応。「標準(6Mbps)」、「長時間(3Mbps)」の2モードを用意する。長時間モードでは、64GBのSDXCカードに最大46時間の録画が可能で、500GBのHDDの場合最大350時間録画できる。

USB HDDやSDカードに録画。AVCの長時間録画にも対応するSDカード録画の概要

 録画番組のシーンの切り替わりを自動的に検出し、自動的にチャプタを作成する「オートチャプター」にも対応。なお、USB HDDに録画した番組は、DLNA/DTCP-IPを使ったネットワークダビングに対応したブルーレイDIGA(DMR-BZT900など)にダビングできる。一方、SDカードに録画した番組は、録画したVIERAでのみ視聴可能で、ほかの機器やVIERAでは視聴できない。視聴中にリモコンの「静止」ボタンを押すと、画面メモをSDカードに記録できる。

録画した番組は「メディアプレーヤー」から再生USB HDDには「おとうさん」など名称を設定できるSDカード内の動画を選択

背面端子部
 HDMI入力端子は3系統装備しており、VIERA Linkに対応。DIGAやラックシアターとの連携が行なえる。HDMI 1.4の「コンテンツタイプフラグ」に対応し、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、DIGAの録画番組のジャンル情報などにあわせて、最適な画質に調整する。

 Ethernetも装備し、VIERA Linkによるドアホンやセンサーカメラとの連携に対応。さらに、DTCP-IP/DLNAの「お部屋ジャンプリンク」機能により、別室のDIGAに録画した番組やムービー、デジカメ写真などをVIERAで視聴できる。



■ ネット対応も強化。Radiko、Twitter、Ustなどに対応

多くのネットワークサービスに対応

 ネットワーク関連機能も大幅に機能強化した。2011 International CESで発表されたデジタルテレビ向けのネットサービスプラットフォーム「VIERA CONNECT」を「テレビでネット」と題して国内展開する。

 HTMLなどWeb標準技術を使った新ユーザーインターフェイスを採用し、アクトビラ ビデオ・フル、YouTube、TSUTAYA TV、Skype、3D体験コーナーなどの従来のVIERAで搭載していたネットサービスに対応。

 さらに、3月以降には、ひかりTVやTwitter、Picasa Web Albums、Club Panasonicや各種カジュアルゲームに対応。4月以降はTradiko.jp(radikoのテレビ版)や、Yahoo!オークション、Ustream、Dailymotion、Facebook、AccuWeatherなどに対応する予定。

 Skypeの利用には、別売のマイク内蔵カメラ「TY-CC10W」が必要。ひかりTVの利用には別途NTTのフレッツ回線などの契約が必要となる。


アクトビラやYouTube、TSUTAYA TVなどに対応TwitterやUstream、facebookもradikoやDailymotionにも4月以降に対応
Picasa Web AlbumsSkype。回線状況を確認し、帯域が確保できた場合はHD映像に切り替える
品番TH-P50VT3TH-P46VT3TH-P42VT3
サイズ50V型46V型42V型
解像度1,920×1,080ドット
消費電力未定未定未定
年間消費電力量未定未定未定
スピーカー18×2.5cm×2(フルレンジ)
8cm径ウーファ×1
音声最大出力総合22W
入力端子HDMI×3、D4×1、コンポジット×2、アナログRGB
(D-Sub 15ピン×1)、アナログ音声×2
出力端子モニター出力×1、光デジタル音声×1、ヘッドフォン×1
その他の端子Ethernet、USB×3
外形寸法
(スタンド含む
幅×奥行き×高さ)
1,202×335×768mm1,116×335×719mm1,018×320×664mm
重量
(スタンド含む)
約35kg約31.5kg約27kg

(2011年 2月 3日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]