ソニー、1080/60p対応のデジカメ「DSC-HX9V」

-回転ブレも補正。ネオ一眼「HX100V」も


「DSC-HX9V」のブラックモデル

 ソニーはデジタルカメラ、サイバーショットの新モデルとして1080/60pの動画撮影にも対応した、コンパクトな「DSC-HX9V」と、カールツァイスレンズを採用したネオ一眼スタイルの「DSC-HX100V」を発売する。価格はどちらもオープンプライス。発売日と店頭予想価格はHX9Vが3月11日で45,000円前後、HX100Vが4月8日発売で5万円前後。

 「DSC-HX9V」はカラーバリエーションを用意しており、ゴールド(N)とブラック(B)から選択できる。

 また、サイバーショットを上に乗せて、自動撮影を行なう「パーティーショット」の新モデル「IPT-DS2」も4月8日に発売される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は1万円前後。




■DSC-HX9V

 ソニーは2010年にフルHDのAVCHD撮影に対応した「DSC-HX5V」を発売しており、その後継モデルとして2月10日から「DSC-HX7V」を発売する。今回の「DSC-HX9V」は、同じようにHX5Vの後継でもありんながら、より豊富なマニュアル機能や高倍率ズームなどを搭載した上位モデルと位置付けられている。

 撮像素子に1/2.3型、有効1,620万画素裏面照射型CMOS「Exmor R」を搭載し、独自の映像処理エンジン「BIONZ」も備えている。レンズはGレンズで、焦点距離は35mm換算で広角24mm~384mmまでの16倍ズーム。F値は3.3~5.9。なお、HX5Vは25~250mmの10倍ズームとなっていた。

カラーはブラックとゴールドの2色左が「DSC-HX9V」、右が「DSC-HX5V」
右が「DSC-HX9V」、左が「DSC-HX5V」左がHX9V。若干HX9Vの方が分厚い

 HX5Vや7Vと同様に、フルHDのAVCHD動画が撮影できるほか、新たに1080/60pの動画撮影にも対応。撮影モード名は「PS」で、ビットレートは28Mbps。なお、1080/60pはAVCHDのフォーマットから外れるため、独自フォーマットとなるが、録画されるファイルはAVCHDと同じフォルダ構造で、動画データもm2ts拡張子のファイルとして保存される。

 撮影動画から静止画を切り出す機能も備えており、プログレッシブで動画を撮影するため、切り出した静止画(フルHD解像度)も、60iに比べて高画質だという。また、AVCHDでの録画モードも備えており、FX(1080/60i、24Mbps)、FH(1080/60i、17Mbps)、HQ(1080/60i、9Mbps)から選択可能。なお従来通り連続動画撮影は、「AVCHD」モードでは約29分、「MP4」モードで約29分またはファイルが2GBになったところで、一旦録画が停止する。

 付属ソフトのPMB(Picture Motion Browser)はバージョン5.5にアップグレード。1080/60pの動画が扱えるようになるほか、従来は動画のカットのみ可能だった編集機能が強化され、カット後のクリップの結合ができるようになる。

 1080/60pの動画はPCで保存する事を想定。再生する場合もPCのマシンパワーがある程度必要になるため、撮影したHX9V本体のHDMI出力から1080/60pでテレビなどに出力するといった使い方も訴求していくという。

 HX5Vでは、ビデオカメラ並のアクティブ手ブレ補正機能を備えている事が特徴だったが、HX9Vではさらに強化。同社ビデオカメラの最新モデルで採用されている、回転方向の手ブレまでを補正する「アクティブモード(3方向補正)」を搭載。歩きながら撮影した際に、ヤジロベエのように画面が揺れるのを低減し、よりスムーズな動画が撮影できるという。

 暗所撮影能力も向上。従来は1つのフレーム内のみでノイズを判断し、低減させていたが、ビデオカメラと同様に、前後のフレーム情報を見てノイズを判断する機能を追加。これにより、暗所でもクリアで低ノイズな動画が撮影できるという。

上から見たところ。ステレオマイクが天面に変更されたほか、カスタムボタンも追加されている背面。録画用の独立したボタンを備えているレンズは広角24mmからの16倍ズーム

 静止画撮影では3D撮影に対応。シャッターボタンを一回押すだけで、自動的にピントをずらした2枚の画像を撮影し、前景と背景の判断をしながら奥行きを推定、3D画像を生成する「3D静止画」機能を搭載。シャッターを一度押すと、自動で2枚の静止画が撮影され、2枚目はあえてフォーカスを外した、ボケた画像として保存する。1枚目と2枚目を解析し、その違いから被写体の“深さ”の情報を想定し、それに基づいて1枚目の画像から3Dの静止画を生み出している。

 さらに、スイングパノラマを応用して、一回のスイング中に高速連射撮影された100枚の画像から右目用と左目用の短冊状の画像をつなぎ合わせて、右目用と左目用の画像を同時に生成する「3Dスイングパノラマ」や、15視点のマルチアングル画像ファイルを生成し、カメラの傾きに合わせて表示する事で擬似的な3D表示を行なう「スイングマルチアングル」も利用できる。

 また、「3D静止画」撮影における距離の検出と、「Exmor R」CMOSからの高速な240fps読み出しを組み合わせ、通常の2D静止画撮影時のAFも高速化。レンズを移動させ、ピントを探す動作において、レンズを動かす前に、CMOSから得られる被写体の距離の情報を参照し、“ピントのある方向”を判断してから、その方向にのみ動かすようにしている。

 通常のカメラでは、一度現在位置よりも遠くに向けても移動させ、ピントが無い事を判断した上で、手前に向けて動かしてピントを探す。しかしHX9Vでは、レンズが動く前にピントがある方向を把握しているため、ピントがある方向のみに動かすことで余分な移動をカットし、高速AFを実現。HX5Vで約0.3秒かかっていたAFが合うまでの時間が、約0.1秒に短縮したという。

 動画撮影中の静止画記録にも対応。シーンに合わせて連写画像を合成して、高画質な静止画オート撮影を実現する「プレミアムおまかせオート」も進化しており、新たに「赤ちゃん」、「スポットライト」、「低照度」の3シーンを追加。従来の「AUTO」、「人物」、「逆光&人物」、「夜景」、「逆光」、「マクロ」、「風景」、「拡大鏡」などとあわせて、12のシーンが活用できる。また、この中の「逆光補正HDR」(ハイダイナミックレンジ)処理も進化し、合成枚数を2枚から3枚に増加。より自然な階調表現が可能という。

 また、12のシーンと組み合わせる、カメラ側状態を示す「コンディショングループ」も、従来の「オート」、「三脚」に加え、被写体に動きがある場合の「動き」モードを追加。前述の12のシーンと、3つのコンディショングループを組み合わせ、最大36のシーンを自動認識できる。

 シャッターボタンを押しながらカメラを横や縦に一振りするだけで、パノラマ写真を簡単に撮影できる「スイングパノラマ」も搭載。最大245度のパノラマ画像を作成できるほか、最大10,480×4,096ドットの4,290万画素撮影ができるHRモードも新搭載。PS3や大画面テレビなどでスムーズに拡大再生が楽しめるという。

 さらにHX5Vとの違いとして、より細かいマニュアル設定が可能になった。具体的にはマニュアル撮影モードにおいて、HX9Vではホワイトバランスシフト、カラーモード、彩度、コントラスト、シャープネスが設定できるようになった。

 また、露出補正やISO、ホワイトバランス、測光モード、スマイル設定をセットで登録できるカスタムボタンも追加。機能ダイヤルにもMRモード(メモリーリコール)を追加し、このダイヤルに、メニュー設定(画像サイズ/露出補正/ISO/WBなど)、撮影設定(グリッドライン/電子ズーム/日付設定)、ボタン設定(カスタムボタン/十字キーなど)が登録できる。

 そのほかの細かい変更点としては、フラッシュがポップアップ式となった。フラッシュは自動で飛び出すほか、自動で本体に収納される。また、底面の三脚穴が本体隅に寄っていたHX5Vに対し、HX9Vでは本体のほぼ中央に変更。構えた際に指がかかりがちだったマイク位置も変更され、風などが当たってもフカレにくく、より高音質な録音ができるようになったという。

 背面液晶は3型で、解像度がHX5Vの23万画素から、92.1万画素に高解像度化。また、TruBlackテクノロジーを使い、コントラストも21%向上したという。

フラッシュがポップアップ式となった

 パソコンにUSB接続して充電可能にする「USB充電/給電機能」を搭載(カメラ電源OFF時)。記録メディアはSDメモリーカード/メモリースティックデュオスロットを装備。GPSや電子コンパスも内蔵。そのほか、近接無線転送技術のTransferJetもサポートし、対応メモリースティックを介して対応機器機器同士での静止画転送が行なえる。バッテリはGタイプ。連続撮影枚数は300枚(約150分/CIPA準拠)、ビデオ撮影時は約70分。外形寸法は104.8×33.9×59mm(幅×奥行き×高さ)。バッテリやメディアを含む重量は約245g。

背面液晶は3型。解像度がHX5Vの23万画素から、92.1万画素に高解像度化。コントラストもアップした底面の三脚穴がセンターになった


■DSC-HX100V

 ネオ一眼スタイルのサイバーショット最上位モデル。広角27mm、光学30倍ズームのカールツァイス、バリオ・ゾナーT*レンズを採用。焦点距離は35mm換算で27~810mm。F値は2.8~5.6。ズーム全域で高いコントラストを実現したという。

ネオ一眼スタイルのHX100Vレンズは広角27mmからの光学30倍ズームフラッシュも内蔵している

 レンズ側面にはAFとマニュアルズームの切り替え用のリングスイッチを装備。液晶ビューファインダーを備え、アイセンサーも装備。ファインダーを覗くと液晶モニタの表示が消え、離れると表示を再開する。液晶モニタは3型の92.1万画素。TruBlackテクノロジーも使われている。モニタはマルチアングルタイプ。また、シャッタースピードの調整で表現の幅が広げられるNDフィルタも内蔵する。

 撮像素子や、その他の主な機能的特徴は、DSC-HX9Vと同じ。1080/60pまでに対応した動画撮影機能、回転方向も含めたアクティブ手ブレ補正、ハンディカムの技術を投入した暗所でのクリアで低ノイズな撮影機能なども同じ。プレミアムおまかせオートや、約0.1秒の高速AFも搭載する。ほかにも、3D静止画撮影やGPS/電子コンパス、33シーンのプレミアムおまかせオートなども装備する。

上から見たところ。モードダイヤルなどを備えている背面液晶は3型、92.1万画素

 バッテリはHタイプを採用。連続撮影枚数は約410枚(約205分/CIPA準拠)でビデオ撮影は約120分。EVF利用時は約440枚(約220分/同)、ビデオ撮影時は約130分。外形寸法は121.6×93.1×86.6mm(幅×奥行き×高さ)。バッテリやメディアを含む重量は約577g。

 なお、HX100V用には、レザーのキャリングケース「LCS-HG」も用意。4月8日に5,460円で発売される。



■HIPT-DS2

付属のスタンドに乗せたところ

 2011年春モデルのサイバーショット、7機種に対応したパーティーショット新モデル。具体的にはWX10、WX7、W570、W570D、HX9V、HX7V、TX100Vに対応する。旧来機種には非対応。なお、店頭予想価格は1万円前後で、従来モデルよりも5,000円ほど低価格になっているのが特徴。

 機能面では従来モデルと大きな違いは無く、新機種に対応した事と、価格を下げることでの利用者拡大を見込んだマイナーチェンジモデルとなる。

 新要素として、高さ約20cmの専用スタンドが付属。本体を直接テーブルに設置すると、被写体の人間を見上げるようなアングルの写真が必然的に多くなっていたが、このスタンドに設置する事で、顔を正面から撮影できるようになったという。


パーティーショット付属のスタンドに乗せているところ


(2011年 2月 7日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]