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LG、偏光3D/新IPSの「CINEMA 3D」など新液晶テレビ

−最上位「NANO FULL LED」は直下型LEDで最薄8.8mm


 LGエレクトロニクス・ジャパンは、液晶テレビの新製品5モデルを発表した。最薄部8.8mmの「NANO FULL LED」と、偏光方式の3Dに対応した「CINEMA 3D」の2シリーズで、6月下旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は下表の通り。

 

発表された5モデル NANO FULL LED CINEMA 3D

 

シリーズ名 型番 画面サイズ 3D 店頭予想価格
NANO FULL LED 55LZ9600 55型 33万円前後
47LZ9600 47型 29万円前後
CINEMA 3D 47LW5700
偏光方式
23万円前後
42LW5700 42型 18万円前後
32LW5700 32型 15万円前後


■ NANO FULL LED「LZ9600」

 

47型の「47LZ9600」
 従来モデルのFULL LED Slimを進化させた独自のLED部分制御技術「NANOライティングテクノロジー」を採用し、直下型の高画質と薄型化の両立を図ったフラッグシップシリーズ。

 極薄LEDモジュールと、数ナノメートルという微小な粒子で作られた反射パターンと遮光パターンフィルム、拡散板の組み合わせで、輝度の均一性が高く、細かいバックライトの部分制御を実現。LEDの制御は55型が288カ所(24×12)、47型は240カ所(24×10)に分割する「マイクロピクセルコントロール」により、ダイナミックコントラスト比を1,000万:1まで高めている。

 

ディスプレイ部の側面

 IPSパネルを搭載し、解像度は1,920×1,080ドット。240Hzパネルとバックライトスキャンを組み合わせて“8倍速相当”とする「TruMotion 480Hz」により、残像の低減を図っている。視野角は上下/左右178度。フレームの幅は1.25cmとし、映像への没入感と、インテリアへの溶け込みを追求した。最薄部は55型が9.5mm、47型が8.8mm。

 チューナは地上/BS/110度CSデジタルチューナが各2系統で、スタンド部に内蔵。従来モデルと同様に別売USB HDDへのMPEG-2 TS録画に対応。ネットワーク機能として、アクトビラ・ビデオ フルに対応する。

 

壁掛け時 LZ9600シリーズ 最薄部は8.8mm

 入出力端子もスタンド部に装備。HDMI入力は3系統備え、HDMI CECの「INFINIAリンク」に対応。BDプレーヤーやシアターシステムの操作を、テレビのリモコンで行なえる。D5×1、コンポジット×2、アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1を装備。PC音声用にステレオミニ入力も備える。そのほか、EthernetやRS-232C(アップデート用)を装備する。スピーカー出力は7W×2ch。テレビ内蔵のスピーカーだけで5.1chサラウンドに迫る音場を再現できるという「インフィニットサラウンド」や、映画のセリフやニュースの音声を聴きとりやすくする「クリアボイスII」も利用できる。

 

 消費電力と年間消費電力量は、55型が250W(待機時0.1W)、182kWh/年、47型が180W(待機時0.08W)、149kWh/年。スタンドを含む外形寸法と重量は、55型が1,242×307×819mm(幅×奥行き×高さ)、24.8s。47型が1,069×307×721mm(同)、20.1kg。

 

NANO FULL LEDの主な特徴 バックライト部の構造 高精度なLED部分制御で、光の明暗を表現できるという

 

バックライトのみのヌードモデル(左)と比較 スタンド部 別売USB HDDへの録画やアクトビラ ビデオ・フルにも対応
 

 


■ CINEMA 3D「LW5700」

 

47型の「47LW5700」
 偏光方式の3D表示に対応するモデル。電池不要のパッシブ型3Dメガネ「AG-F200」が2個付属し、3D放送の番組や、Blu-ray 3Dなどの映像が立体視できる。2D映像の3Dへの変換機能も搭載。3D表示時の深度は20段階で調整できる。チューナは地上/BS/110度CSデジタルチューナが各2系統。別売USB HDDへの録画にも対応する。

 

 


CINEMA 3D 付属のパッシブ3Dメガネ「AG-F210」

 

偏光方式の3Dを採用した
 ネイティブコントラストを従来比13%向上させた新IPSパネルを搭載。色再現性はBT.709カバー率99%とした。解像度は1,920×1,080ドットで、120Hz駆動。バックライトはエッジライト型のLEDで、16カ所の部分制御が可能。LEDの位置を従来の上下から左右に変更。新開発のレーザーカッティング導光板により、光の拡散を抑えるとともに、部分制御の性能も高めている。LEDチップの形状も見直し、パッケージ数を41%減らしながらも、光効率を2.25%向上させ、低消費電力化に貢献している。視野角は上下/左右178度。ダイナミックコントラスト比は500万:1。

 

 HDMIは側面に1系統、背面に3系統の計4系統で、HDMI CECの「INFINIAリンク」にも対応。D5×1、コンポジット×2、アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1を装備。PC音声用にステレオミニ入力も備える。そのほか、EthernetやRS-232C(アップデート用)も搭載する。スピーカー出力は10W×2ch。ネットワーク機能では、アクトビラ ビデオ・フルに対応する。

 そのほか、周囲の明るさを感知して、画質を自動で調整する「インテリジェントセンサー」も搭載。音声面では、テレビ内蔵のスピーカーだけで5.1chサラウンドに迫る音場を再現できるという「インフィニット3Dサラウンド」を搭載。映画のセリフやニュースの音声を聴きとりやすくする「クリアボイスII」も利用できる。

 消費電力と年間消費電力量は、47型が150W(待機時0.06W)、119kWh/年、42型が140W(待機時0.06W)、113kWh/年、32型が120W(待機時0.05W)、109kWh/年。スタンドを含む外形寸法と重量は、47型が1,109×255×744mm(幅×奥行き×高さ)、20.2s。42型が999×255×681mm(同)、15.7kg、32型が766×240×545mm(同)、10.7kg。最薄部は47型が24.5mm、42型が30.9mm、32型が36mm。左右20度のスイーベルにも対応する。

 なお、3Dメガネは本体に付属するベーシックタイプ「AG-F210」のほか、別売でメガネの上に装着できるクリップオンタイプ「AG-F220」や、スタイリッシュなフレームレスタイプ「AG-F260」も用意。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はクリップオン型が1,000円前後、フレームレスが2,000円前後。なお、ベーシックも追加購入(オープンプライス/1,000円前後)できる。

 

新IPSパネルの特徴 主な仕様 背面
CINEMA 3Dの付属リモコン。NANO FULL LEDのリモコンもほぼ同じデザインだが、3DボタンはCINEMA 3Dのみ 別売のクリップオンタイプの3Dメガネ「AG-F220」 同じく別売のフレームレスタイプ「AG-F260」

 


■ 西川善司氏が3D方式を解説

 

西川善司氏
 発表会では、本誌「大画面★マニア」にも連載中の映像機器評論家・西川善司氏が登壇。第3者の視点から、今の3Dテレビなどの状況を説明した。

 3Dの方式について、現行の多くのテレビで採用されているフレームシーケンシャル方式(アクティブシャッターメガネ使用)と、CINEMA 3Dで採用された偏光方式(パッシブメガネ使用)の違いを、120分の1秒の単位時間で考えた場合で説明。

 「アクティブシャッターメガネ使用時は、映像パネルからの出力光を100%として、左右それぞれの受光量(理論値)を考えると、1/120秒単位では片側の目にしか光を通していない。さらに、メガネの側でも一定方向の光を捨てて、一定の光を拾うことになるのでさらに半分、両目で観ているときの1/4になる。一方、FPR(Film Pattern Retarder=偏光ディスプレイ+パッシブメガネ)方式では、同じテレビセットを使ってテレビを作った場合、右目左目用の映像は、50%となるが、メガネでは光の損失はほぼ無いので、“2倍明るい”ことになる」とした。

 

各3D方式の比較

 一方で「FPR方式は『解像度が低い』と言われるが、解像度は、1枚の映像に映っている情報量(解像度)を100%とすると、アクティブシャッター方式では右目には100%届くが、瞬間的には片側の目の映像しか出ていないため、左目には映像が入らない。CINEMA 3DのFPR方式では、右目と左目用を同時に表示するので、右目が半分、左目が半分の解像度になるが、実際はユーザーの視点から見ると両方の目に映像が入っている。つまり、知覚情報量的にはほぼ同じといってのでは? 解像度が半分だから、FPR方式が良くないというのは早計」とした。

 さらに、西川氏は立体視の仕組みについて「運動視差」の観点から考察。「運動視差は、移動するものを見たり、観測者が移動して見ることで得られる視差で、片側の目でも立体感を得るための有効な手掛かりの一つ。1/120秒の単位時間あたりに到達する運動視差情報量で考えると、フレームシーケンシャルでは片側の目でしか動体を視覚できず、運動視差は全体の50%しか知覚できない」として、FPRが常時、両目で動体を視覚できることの優位性を強調した。

 3D映像の「視聴範囲」については、アクティブシャッターメガネには、3Dエミッタからの照射範囲に制限(約60度が想定/赤外線の場合)される一方、パッシブメガネは3Dエミッタが不要で、「映像が見える範囲であれば、極端な角度でなければ基本的に3Dで観ることができる」と説明。また、一般的にパッシブメガネは映画館などでも共用できるという、互換性の高さにも触れた。


3D表示時の解像度についての解説 運動視差の観点からの考察 3D表示時の視野角の違い

 


■ 3D需要全体を盛り上げ、長く愛されるブランドに

李揆弘氏(左)と邊京勲氏(右)
 LGエレクトロニクス・ジャパンの李揆弘社長は、2010年に日本への本格参入モデル第1弾として発売したLX9500などの製品について「一定のお客様に高い支持を得た」とし、薄さ8.8mmの新モデルNANO FULL LEDについては「テレビの理想を追い求めるLGの技術が生み出した、一つの理想形」と表現。偏光3D対応のCINEMA 3Dは「従来の3Dテレビのあらゆる問題を解決し、誰でも気軽に3Dを体験可能にする」と自信を見せた。

 韓国LG Electornicsのホームエンターテイメント事業本部 海外マーケティング担当副社長の邊京勲氏は、既に米国などでも販売されているCINEMA 3Dについて、「日本市場においても、高い審美眼にかなう製品だと期待している。CINEMA 3Dがより早く、大きく3Dテレビ全体の市場を成長させるきっかけになれば光栄」とした。

 エコポイントが終了し、7月には地デジ需要のひと段落も見込まれる日本市場に製品を投入し続けることについては、「もし短期的な市場参入であれば、(2011年の)正月や、エコポイントの時期を狙って商品を投入しただろう。“需要が減るからやらない”のではない。我々は家電の本家といえる日本で認めてもらい、グローバルでトッププレーヤーになる。昨年の日本への本格参入時はシェア目標5%を掲げていたが、シェアの数字は単なる結果。我々は価値を日本のお客様に認めてもらって、5年後も日本のブランドとして愛される、定着することが究極の目標。他の市場に比べて日本は難しいが、我々にとってのチャレンジ」(LGエレクトロニクス・ジャパン セールス&マーケティングチーム長 常務の李起旭氏)と述べた。

 李常務はさらに、「他の地域では、CINEMA 3Dを投入して1、2カ月で需要が2倍以上に膨れ上がるという現象が起き、韓国では3倍以上だった。これまでの3Dテレビの不満である“メガネが重い”、“フリッカーが出る”という意見をどう解決するかということで、たどり着いたのが今のCINAMA 3D。これで3D市場への関心が高まり、3D関連ソフトや放送などの市場が活発になって、需要を盛り上げることを狙っている。きちんとアプローチすれば、需要を作り出せるのでは」との見方を示した。

李揆弘社長 李起旭常務 快適な3D視聴を訴求するため、メガネを横にして見られるという展示も

(2011年 6月 15日)

[ AV Watch編集部 中林暁]