ソニー、空間光学手ブレ補正搭載の2Dハンディカム
-投写可能な2D最上位「PJ760V」。下位モデルも
プロジェクタ機能も搭載した「PJ760V」 |
ソニーは、ビデオカメラの新モデルとして、空間光学手ブレ補正機能を備え、プロジェクタ機能も搭載した「PJ760V」と、同モデルからプロジェクタを省いた「CX720V」を発売する。価格はどちらもオープンプライス。店頭予想価格は「PJ760V」が14万円前後、「CX720V」が12万円前後。発売日は3月9日。
さらに、下位モデルとしてプロジェクタを備えた「PJ590V」、同モデルからプロジェクタを省いた「CX590V」も発売する。価格はオープンで、店頭予想価格は「PJ590V」が10万円前後、「CX590V」が95,000円前後。発売日は1月20日。CX590Vは、シャンパンシルバーとボルドーブラウンの2色を用意する。
■PJ760V/CX720V
PJ760V |
PJ760Vのレンズを正面から見たところ | 「空間手ブレ補正」で動作するユニット部分。水色の光で囲われた部分全体が動くようになっている | 従来の光学式手ぶれ補正は、手ぶれ補正用のレンズのみが動く仕組みになっている |
具体的には、ワイド端で手ブレ補正能力が従来の10倍から13倍に、テレ端では2倍の補正から、13倍へと大幅に補正能力が向上。さらに、従来方式では光学的なズレが生ずることで明るさや解像度の劣化が起こっていたが、新方式では理想的な光学配置をキープしたまま補正ができるため、画質も向上しているという。
レンズのアップ。大きな目玉のようなレンズ全体がゆらゆらと動く | 空間手ブレ補正を説明した断面図。上が従来の手ブレ補正、下が空間手ブレ補正。カメラ自体が前後に動いても、レンズとセンサーを一体化したユニットは動いていない | |
PJ760Vの構成パーツ | レンズとセンサーを一体化したパーツ部分。指で触れるとゆらゆら動く。駆動に必要な電力は少なく、バッテリがすぐに無くなるといった心配は無いという |
レンズはカールツァイスのバリオゾナー T*で、ハンディカム史上最大という35mm換算で広角26mmを実現。光学ズームは10倍。焦点距離は26~260mmとなる(動画/静止画どちらも)。撮像素子の有効エリアを効率的に使い、光学ズームとデジタルズームを併用してズーム倍率を向上する「エクステンデッドズーム」利用時には17倍ズームも可能。デジタル120倍ズームも備えている。
なお、フィルタ口径は52mmと大型化しているが、既存のコンバージョンレンズを取り付けられるよう、37mmへのステップダウンリングも同梱。VCL-HG07BやVCL-HG1737Cが使用できる。コンバージョンレンズ装着時は、コンバージョンレンズモードに設定する必要があり、空間光学手ブレ補正はOFFになる。また、ワイドエンドコンバージョンレンズ/フィルタは使用できない。
撮像素子は1/2.88型、665万画素のExmor R CMOS。有効画素数は614万画素。動画はAVCHDで、1,920×1,080/60p/24p/60i、1,440×1,080/60i、720×480/60iでの撮影が可能。
静止画撮影機能も強化され、全画素超解像技術を使い、最高で2,410万画素相当の静止画が記録できる。マニュアル機能も強化され、マニュアル操作時にゲインアップに上限を付けることで、ノイズの低減を図る「AGCリミット」機能を備えた。レンズ脇に備えたマニュアルダイヤルにはフォーカス、カメラ明るさ、ホワイトバランス、絞り、シャッタースピード、AE機能を割り当て可能。ゼブラ・ピーキング、シネマトーン(シネマトーンガンマ/カラー)機能も利用可能。
音質面では5.1chマイクを備えるほか、新たに自動風ノイズ低減機能と、くっきり音声機能を搭載。自動風ノイズ低減機能は、風でマイクがふかれている事をカメラが自動で認識し、風ノイズ周波数をカットするもの。くっきり音声機能は、顔認識機能も活用したもので、カメラが人を撮影していると判別し、周囲のノイズをカットする。騒音のある街頭などで、カメラに向かって撮影している際に、「ニューヨークに着きました」などの声が明瞭に収録できる。
GPS機能も強化。従来は地図データの収録国・地域が45エリアだったが、79エリアに強化。地図情報自体も詳細になった。日本国内のデータはゼンリンのものを使っている。
また、よく使う機能3種類をあらかじめ登録し、画面に常にアイコン表示させる「ダイレクトタッチアイコン」機能も追加されている。細かい使い勝手も向上。静止画撮影時の記録サイズ設定が、静止画モードと動画モードで引き継がれるようになった。
液晶ディスプレイは3型、92万画素のエクストラファイン液晶。フラッシュも内蔵する。内蔵メモリはPJ760Vが96GB、CX720Vが64GB。SD/SDHC/SDXCメモリーカードとメモリースティックデュオに対応したスロットも装備する。
PJ760Vは液晶ビューファインダーも搭載。引き出して上向きにできる可動式で、従来のCX700Vと比べ、スクリーンサイズが1.6倍になり、見やすくなったという。
PJ760Vはさらに、プロジェクタ機能も搭載。DLP Pico方式で、解像度は640×360ドットと、従来のCX700Vと同じだが、最大投写サイズは60型から100型にアップ。輝度は最大20ルーメン。5mの距離から100型が投写できる。同梱バッテリで約100分の投写が可能。また、再生の開始や音量調整、早送りなどの操作が液晶のタッチパネルを使って行なえるようになった。液晶画面操作時はプロジェクタの投写がOFFになる。
11日に行なわれた説明会の会場では、投写デモも行なわれた | テーブルの上にビデオカメラを起き、プロジェクタ部分を天井に向けて投写しているところ |
家庭内でのプロジェクタ投写イメージ。天井にも投写できる |
PJ760Vはレンズフードも付属する | プロジェクタ機能やEVFを省いたCX720V |
CX720V |
外形寸法と本体のみの重量は、PJ760Vが、71.5×137.5×73.5mm(幅×奥行き×高さ)、約580g。付属バッテリを含めた重量は約680g。プロジェクタ機能を省いたCX720Vは、外形寸法67.5×124×72mm(同)で、本体のみは約540g。付属バッテリ込みでは約645g。
■PJ590V/CX590V
PJ590Vがプロジェクタ搭載、CX590Vは非搭載モデルで、ビデオカメラ機能自体はほぼ同じ。従来モデルであるCX560Vと、PJ590Vを比較すると、外形寸法が62×133.5×67mm(幅×奥行き×高さ)から、58.5×128×64.5mm(同)と、プロジェクタを搭載しながら小型化を実現している。
PJ590V | CX590V |
内蔵メモリはPJ590V/CX590Vのどちらも64GB。SD/SDHC/SDXCメモリーカードとメモリースティックデュオに対応したスロットも装備する。
プロジェクタ搭載のPJ590V | プロジェクタの投写イメージ | 上から見たところ |
撮像素子は1/3.91型のExmor R CMOS。総画素数は543万画素、有効画素数は502万画素(動画/静止画どちらも)。AVCHDで、1,920×1,080/60p/24p/60i、1,440×1,080/60i、702×480/60iでの撮影が可能。手ブレ補正は空間光学式ではなく、従来通りの光学式で、ワイド側で10倍の補正が可能。テレ端では従来の2倍補正から3倍補正へと、補正量が強化されている。
レンズの広角端は35mm換算で26.8mm。光学ズームは12倍で、焦点距離は26.8~321.6mmとなる。エクステンデッドズームは20倍(アクティブモードON時)。静止画記録は、全画素超解像技術を使い、2,040万画素相当で保存できる。
マニュアル撮影のアシスト機能も強化。新たにゼブラ・ピーキング機能が利用できるようになった。シネマトーン(シネマトーンガンマ/カラー)も利用可能。また、PJ590Vはレンズフードも新たに同梱する。
音声機能では、自動風ノイズ低減や、くっきり音声機能、5.1chマイクなどを装備。上位モデルと同様のGPS機能、3型・92万画素のエクストラファイン液晶モニタも備えている。なお、どちらのモデルもEVFは非搭載。
PJ590Vはプロジェクタを内蔵。プロジェクタ機能は従来モデルとほぼ同じで、解像度は640×360ドット、輝度は最大13ルーメン。10~100型の投写に対応する。
CX590Vは、シャンパンシルバーとボルドーブラウンの2色を用意する |
■PlayMemories Onlineとの連携も
付属ソフトは画像・動画の管理/編集ソフト「PlayMemories Home」。既報の通り、1月上旬から全世界で順次展開するという、ソニーのクラウドサービス「PlayMemories Online」とも連携できるソフトで、静止画・動画を手軽にPlayMemories Online上にある、ユーザーのオンラインストレージ領域に保存できる(ストレージ容量は未定)。アップロードしたデータは、専用アプリをダウンロードしたタブレット、スマートフォン、テレビなどで見る事ができ、iOS/Android両方に対応アプリが提供される。また、PlayMemories会員でない人に、メールでURLを連絡してコンテンツを見てもらうこともできる。
テレビでの対応は、BRAVIAのアプリキャストからアプリを追加するため、2011年以降発売のBRAVIAが対応モデルになる予定。
PC向けソフトPlayMemories Homeの画面。実際には画面の左下にPlayMemories Onlineのマークなどが現れ、そこにドラッグ&ドロップするだけでアップロードができるという | BRAVIAの専用アプリを使い、PlayMemories Onlineにアクセスしているところ |
なお、動画はクラウド上にAVCHDのフルHDなど、撮影したクオリティのままアップロードできる予定で、そこからクラウド上に、テレビ向けのHD解像度や、スマートフォン向けのSD解像度などのデータが自動で生成され、接続して来た機器に合わせて最適な動画・静止画が表示されるという。
iPadとSony TabletでPlayMemories Onlineを表示しているところ。AndroidとiOS用にそれぞれアプリが提供される | iPod touchのアプリで表示しているところ |
ほかにも、PlayStation 3向けに、動画の編集も可能な「PlayMemories Studio」も2012年春に提供。有料ソフトとして販売するもので、利用期間限定の無料体験版も同時提供予定。PS3のコントローラーを使い、簡単な操作で編集や効果音の追加などができるもので、フルHDの3D映像もPS3のパワーを活かして高速に処理が可能。同ソフトからPlayMemories Onlineへのアップロードもできる。ただし、動画の書き出しやアップロード時はSD解像度となる。
PlayMemories Studioで撮影データを閲覧しているところ。記録されたGPS情報をもとに、地図で撮影地を見ながらの表示が可能 | 日付別に撮影データを見ているところ |
静止画・動画の閲覧モードでは、撮影場所の地図を交えた表示ができるほか、旅行中に撮影した範囲の撮影データを選べば、地図上での移動エフェクトを交えた「トラベル再生」も可能。トラベル再生された映像を保存し、旅行ムービーを作る事も可能。動画から必要なシーンだけを抜き出す機能もあり、マイリストを作成し、そこに任意のシーンを追加していく形で編集する事もできる。また、これら閲覧・編集操作は、プレイステーションポータブルやPS Vitaからリモートプレイを使って行なう事もできる。
リモートプレイからの操作も可能 | マイリストを作成し、必要なシーンを集めた動画も作れる |
■アクセサリも発売
ビデオカメラ用アクセサリも発売される。前述のシューマウントに取付けるスピーカー「RDP-CA1」は、3月9日発売で価格は7,350円。
さらに、一脚や三脚、ハイアングル撮影用アダプタなど、様々な用途に使用できるマルチポッド「VCT-MP1」を2月17日に発売。価格は20,790円。伸縮式の一脚として使用でき、全高は約1,475mm。ニ三脚を底部に取付けることで三脚としても使用可能。さらに、肩がけしたバンドに脚部を挿し込むようにして、ハイアングル撮影用のバーとして使う事もできる。2kg以下のカメラが使用できる。
マルチポッド「VCT-MP1」 |
ほかにも、バッテリービデオライト「HVL-LE1」を1月20日に発売。価格は22,890円。LEDを使った1,800ルーメン(50cm)のライトで、明るさ調整用のダイヤルバーンドアや、色温度変換フィルタ、ディフューザも同梱。単三電池4本が使用可能。アクセサリーシューとオートロックアクセサリーシューのどちらにも取り付け可能。それ以外のシューには別売ブラケット「VCT-55LH」を使って取付ける。
シューマウントに取付けるスピーカー「RDP-CA1」 | バッテリービデオライト「HVL-LE1」 | 同時発表された「CX270V」での使用も想定したケース「LCS-BBG」。1月20日発売で、価格は3,255円。カラーはピンクとブラックを用意する |
(2012年 1月 11日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]