ゼンハイザー、カナル型のハイエンド「IE 800」を発表
-ヘッドフォンアンプも。IFA 2012プレスイベント開催
ゼンハイザーのIE 800 |
ゼンハイザーは、クロアチア・ドゥブロヴニクで開催している「IFA 2012 Global Press Conference」(IFA GPC)において、カナル型(耳栓型)イヤフォンのハイエンドモデル「IE 800」と、同社初となる、ダイナミック型ヘッドフォン向けアンプ「HDVD 800」を発表した。
IFA GPCは、8月31日にドイツ・ベルリンで開幕する国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2012」の概要を発表するプレス向けイベント。このイベント内で13日に行なわれたPower Briefingにおいて、出展各社が今後発売予定の新製品を披露している。
■ カナル型イヤフォン「IE 800」
「IE 800」は、ダイナミック型ユニットを搭載するカナル型イヤフォン。欧州で2012年夏に発売予定で、価格は599ユーロ。
5Hz~46.5kHzという広帯域に渡る再生に対応しながら、同社製品で最小とする7mm径のユニット「エクストラワイドバンド(XWB)ドライバ」を搭載。高い音圧レベルでの再生時にも歪みを抑えており、同社は「バランスド・アーマチュアのマルチドライバ搭載イヤフォンと比較しても、全帯域に渡って、より原音に正確な再生が可能」とアピールしている。
2012International CES 2012で発表されたオープンエア型ヘッドフォンの上級機「HD 700」にも採用された、「Vented Magnet System」を採用。2つの通気孔を備えることでハウジング内の空気の流れと振動板の動きを調整。歪みを抑えながら強力な低音再生を実現した。
コンパクトな筐体を実現したIE 800 | 背面に備えた2つの通気孔がバスレフポートのような役割を果たす。試聴したところ、小型ボディながら予想以上の低域の迫力にまず圧倒された。ただ、低域が中域まで覆ってしまうのではなく、ほどよく制動が効いていたのが印象的だった |
傷に強く、肌触りにも考慮したというセラミック製のハウジングを採用。プラグはステレオミニ。ケーブルはY型で、分岐部から下の部分は着脱/交換可能。イヤーピースは、円形(S/M/Lサイズ)と、楕円形(SM/MLサイズ)の2タイプを同梱する。また、イヤーピースの外側と内側には異なる素材を用いており、外側は柔らかく、内側は固いため着脱しやすくなっている。
ケーブル部 | パッケージと付属品 | 主な仕様 |
■ ヘッドフォンアンプ「HDVD 800」
DAC内蔵ヘッドフォンアンプの「HDVD 800」は、HD 800やHD 700、HD 650、HD 600といった同社のハイエンドヘッドフォンにマッチするというもので、デジタル入力は最高24bit/192kHzに対応。ワールドワイドで9月に発売予定で、欧州での価格は1,499ユーロ。
主な仕様 |
同社はかつて'91年に真空管アンプとコンデンサ型ヘッドフォンを組み合わせた「Orpheus」(オルフェウス)を世界限定300台で発売した。新モデルの「HDVD 800」について同社は「オーディオの世界でOrpheusが一つの象徴となったように、ゼンハイザーのHDVD 800とヘッドフォンはパーフェクトな組み合わせになる」とアピールしている。
入力から出力まで、完全シンメトリカルなレイアウトを採用し、低歪みや、サウンドのバランスの良さなどが大きな特徴。DACはTI/バーブラウン製で24bit/192kHz対応。入力端子はUSBと光/同軸デジタル、AES/EBUを搭載。USBはAudio Class 2.0に対応する。ヘッドフォン出力は標準ジャック。
CES 2012で発表されたHD 700も展示された |
入力インピーダンスは10kΩ。周波数特性は0.3Hz~100kHz(-3dB)。筐体には、アノダイズ処理のアルミニウムを使用。外形寸法は約216×324×55mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.2kg。
そのほか、会場にはInternational CESで発表されたオープンエア型ヘッドフォン「HD 700」や、密閉型ヘッドフォンの「Amperior」なども展示された。
オープン型最上位のHD 800 | ワイヤレスのRS 220 | 密閉型のAmperior |
■ 「次のスマート」を提案するSamsung。パナソニックはELUGAを展示
Samsungは、「SmartTV」として発売している液晶テレビ「UE55ES8090」を使って同社のSmart戦略を説明。このテレビには顔認識対応のカメラも備えており、ハンドジェスチャや音声認識を使って、テレビでのネットサービス活用などを説明した。
SamsungのSmart戦略を説明したMichael Zoeller氏(左)と、ミスIFA(右) | ジェスチャー操作や、DLNA対応アプリ「All Share」などを紹介 | 液晶テレビ「UE55ES8090」を使ったジェスチャーコントロールのデモとして、Zoeller氏とミスIFAがVODを使ったフィットネスを紹介 |
ハンドジェスチャーと音声認識でSkypeを操作し、ロンドンのオフィスと通話するデモも | 無線LAN搭載デジタルカメラ「WB850F」(左)や、DVDからスマートフォンにファイルを書き出せるドライブ「SE-208BW」(右)などを会場に展示した |
台湾TPV Technologyとの合弁会社「TP Vision」にテレビ事業を移管することを発表したPhilipsもPower Briefingに登場し、両社が協力するシナジーでPhilipsブランドを強化していく方針を説明。TPVのMaarten de Vries CEOが、Philipsブランドのデザイン性の高さや先進性を継承しつつ、利益を伴った成長を目指すことなどを語った。
Philipsは、「Fidelio」シリーズのスピーカーやワイヤレスオーディオシステムを展示 | Android端末からストリーミング再生することも可能なFidelioのサウンドバー型スピーカー | Fidelioブランドのヘッドフォンも展示した |
Power Briefingにおいて、TPVのMaarten de Vries CEOが登壇 | iPhoneなどとワイヤレス接続できるAirPlay対応スピーカーや、Android端末とワイヤレス接続できるモデルなどをFidelioシリーズで展開する | TP Visionの目標 |
パナソニックは、スマートフォンの新たなグローバルブランド「ELUGA」の第1弾モデルをデモ。プラズマテレビ最上位「VT50」の操作やVIERA Connectアプリと連携するデモを行なっていた。ELUGAはこの4.3型モデルを欧州で16日より発売開始。さらに5型液晶を備えたモデルも夏に発売することを明らかにしている |
独LOEWE(レーベ)は、タブレットとテレビの連携などをデモ | 高圧洗浄機で知られるKARCHER(ケルヒャー)や、エスプレッソマシンで知られるWMFなど、AV機器以外の家電メーカーも出展していた |
(2012年 4月 16日)
[AV Watch編集部 中林暁]