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「IFA 2013 GPC」にパナソニックやSamsungらが出展

Samsung/Philipsが4Kテレビ製品化へ前進

IFA GPCが開催されたイタリア・サルデーニャ島にあるホテル「Forte Village」。イベント期間中は建物もIFA仕様になっていた

 ドイツ・ベルリン国際見本市会場で9月6日~11日(現地時間)に開催される家電ショー「IFA 2013」のプレイベント「IFA 2013 Global Press Conference」(IFA GPC)において、メーカーらが出展していた新製品などを紹介する。なお、現地時間の20日に行なわれた記者会見については、別記事でレポートしている。

 IFA GPCは、イタリア・サルデーニャ島で現地時間の4月18日に開催。IFAの本イベント出展社らが、開幕に先駆けて新製品の予告や、今後の戦略などについてプレゼンテーション「Power Briefing」を行なった。

 なお、19日に行なわれたプレスカンファレンスについては、別記事で紹介する。また、Electrolux(エレクトロラックス)やDe'Longhi(デロンギ)といった白物家電メーカーの情報については、僚誌家電Watchで掲載予定。


Samsung

概要が紹介された4Kテレビの「UHD TV S9」

 Samsungは、19日のPower Briefingにおいて、1月の「International CES 2013」で披露された4K解像度の85型テレビ「UHD(Ultra High Definition) TV S9」を紹介。3,840×2,160ドットの120Hz駆動パネルを搭載し、フルHD映像などの4Kアップスケーリングに対応。2つのテレビチューナとクアッドコアCPU、無線LAN機能、カメラなどを搭載する。

 さらに、CESでも発表された、4Kテレビ用の機能強化キット「Samsung Evolution Kit」にも言及。UHD TV S9に取り付けることで、CPUとGPUを強化でき、インターネット接続機能も備えていることが特徴。将来のハードウェア仕様変更などを想定したものになるという。

 IFA GPC会場のホテル内には、海外で販売中の液晶テレビハイエンドシリーズ「F8000/7000シリーズ」に加え、新たに「F8500」シリーズを展示していた。

 展示されていたのは、F8500シリーズの55型モデル。パネルは1,920×1,080ドットの液晶で、部分駆動のLEDバックライトを備える。F8000シリーズとの大きな違いは本体のデザインで、金属製のスタンド部などで高級感を持たせていることが特徴。画質など基本機能はF8000と同等としている。

 ネットワーク機能では、各社のVODサービスや、アプリのSamsung Appsなどに対応。音声入力でのテキスト検索が可能で、出演者などのキーワードをリモコンから音声入力すると、放送前の番組から好みに合ったものを選んで一覧表示する。

 その他にも、発売前の製品として、5型フルHD 有機ELディスプレイを備えたスマートフォン「GALAXY S 4」を展示。Android 4.2.2を搭載する。また、10.1型タブレットの「GALAXY Note 10.1 LTE」やAndroid搭載デジカメ「GALAXY Camera」などを出展していた。

プレゼンテーションを行なった、Samsung Electronics Europe HQのSales & Marketing TV/AV,Europe、Michael Zoeller氏
4KテレビのUHD TV S9
主な仕様
将来の機能アップグレードに対応できるという「Samsung Evolution Kit」を用意
Samsung Evolution Kit。テレビに専用端子で接続する
Zoeller氏が、ミスIFA(右)と共にF8000シリーズのネットワーク機能「Smart Hub」などをデモ。テレビ放送と同じ番組、または違う番組を手元のタブレットでも受信/表示できる機能などを紹介した
GALAXY S 4
GALAXY Note 10.1
GALAXY Camera
発売前のBluetooth/無線LANスピーカーも展示。NFCに対応し、ワンタッチで対応スマートフォンとペアリングできる。大容量バッテリを搭載し、USB経由でスマートフォンなどへの充電も可能
スマホと連携できる「VRT Plus」機能搭載洗濯機も展示。洗濯機の進行状況などを離れた部屋からチェックできる

パナソニック

プラズマテレビの「TX-55VTW60」(上)などパナソニックの展示製品

 パナソニックは、フルHDのプラズマVIERA新製品「TX-55VTW60」を中心に、Blu-ray Discプレーヤーやデジタルカメラなどの現行モデルを展示している。

 「TX-55VTW60」は、「My Home Screen」機能を備えた55型プラズマテレビ。家族がそれぞれの生活シーンにあったホーム画面を登録できる。本体に無線LANを搭載。ユーザーインターフェイスの面では、音声操作や、リモコンアプリによる操作などに対応する。

 サウンドバーとサブウーファで構成する2.1chシステム「SC-HTB570EGS」もテレビに合わせて展示。サウンドバー部は、中央で2つに分離して縦置きにし、テレビの両脇に設置することもできる。BluetoothやHDMI入力/HDMIスルー出力などに対応。スマホアプリからの操作も可能。

 ラック内にあるのがBDレコーダの「DMR-BST820EG」。1TB HDDとBDドライブを備え、Blu-ray 3D再生も可能。USB HDD増設も行なえる。ネットワーク機能は、VIERA Connectや、DLNA、Skypeなどに対応する。

家族がそれぞれのホーム画面を登録できる
ネットワーク機能のメニュー。レコーダなどのサーバー機器からDLNA経由で再生することも可能
YouTubeなどのアプリ群
 テレビスタンドの手前にあるサウンドバーとサブウーファで構成する2.1chシステムが「SC-HTB570EGS」
BD/HDDレコーダの「DMR-BST820EG」
下段にあるのがBDプレーヤーの「DMP-BDT335EG」

 日本でも4月24日より発売されるミラーレス一眼「DMC-GF6EG-K(日本モデルはDMC-GF6)」も展示。可動式のタッチ液晶モニタを備え、自分撮りなどもしやすい。2012年モデルの「DMC-GH3AEG-K」は、ALL-Intraフレームによる記録など強化された動画機能が特徴モデル。

DMC-GF6EG-K。液晶を反転させて自分撮りも可能
天面の操作ボタン部
DMC-GH3AEG-K

Philips/TP Vision

Philips「DesignLine」液晶テレビ新機種

 Philipsは、2012年より台湾TPVとの合弁で設立したテレビ事業のTP Visionと共に出展。Philipsブランドのテレビや、Fidelioブランドのスピーカー/ヘッドフォンなどを展示している。また、19日のプレゼンテーション終了後、TP VisionのMaarten de Vries CEOに対してインタビューを行なった。その模様も記事の後半に掲載する。

 会場に展示されたのは、フラットな一枚板を思わせる形状を特徴とする「DesignLine」の2013年新製品で、3月より欧州などで販売されている。テレビ背面をライトで照らし、部屋の間接照明のような役割をするPhilips伝統の「AMBILIGHT」も搭載。TP Visionの調査によれば、AMBILIGHTモデルのユーザーのうち、80%が再び同機能搭載モデルに買い替えるほど浸透しているという。

Philipsブランドのテレビは、2012年よりPhilipsとTPVとの合弁会社であるTP Visionが展開している
「DesignLine」の特徴
AMBILIGHTのこれまでの進化
SoundSphere DesignLine speakers PS1

 テレビの両脇に置かれていたユニークなデザインのスピーカーは、「SoundSphere DesignLine speakers PS1」。宙に浮かぶような形状で「耳の高さに合わせた」というのツイータ部と、大型のウーファ部で構成。ツイータにはリングラジエータ型で、スムーズな高域再生を可能にしたという。

 サウンドバー型の「Fidelio Surround on Demand」は、1本のサウンドバーとして利用できるだけでなく、左右両端の部分を切り離して、ワイヤレスでサラウンド音声を楽しめるというもの。独自技術によりロスレス音声でセンタースピーカーからサラウンドスピーカーへ伝送。サラウンドスピーカーはバッテリ内蔵で、10時間動作するという。

 そのほかにも、IFA 2013の本イベントで展示する製品として、テレビ台のように下へ敷いて使える平らなオーディオシステム「Soundboard」もプレゼンテーションで紹介された。2モデル用意され、上位モデルはBlu-ray 3D再生機能も装備する。発売は2013年秋の見込み。

SoundSphere DesignLine speakers PS1
ウーファ部
背面
Fidelio Surround on Demand
両サイドの部分を切り離してサラウンドスピーカーにできる
サラウンドスピーカーへはワイヤレスで伝送可能
テレビの下に置くオーディオシステムの「Soundboard」
日本でも発表されたイヤフォン「S2」(左)など、Fidelioシリーズのヘッドフォン/イヤフォンをIFA 2013でも出展予定

TP VisionのMaarten de Vries CEOが語るPhilipsテレビの現在と将来

19日のプレゼンテーションに登壇したTP VisionのMaarten de Vries CEO

 TP Visionは、2012年にオランダのPhilipsと台湾TPVの合弁会社として設立。Philipsブランドのテレビをグローバルで展開している。なお、現時点で日本では販売されていない。

 Maarten de Vries CEOは、「2012年4月からのPhilipsとの統合はとても順調に進んでおり、シナジーも生まれている。製造の面についても、技術革新についても、両社の力が活用されている」と現状を説明する。

 会場に展示しているDesignLineの液晶テレビについては「2013年のミドルクラスモデルで、46型と55型の2モデルを展開している。8000シリーズをベースとしており、スマートテレビ機能やAMBILIGHTを備えている。AMBILIGHTは2007年から始めており、進化を続けている。ディスプレイの大型化などに合わせて、テレビにフローティングエクスペリエンス(宙に浮いているように見えるユーザー体験)を持たせている。PhilipsテレビのDNAとして続いている」と述べた。

DesignLineの新液晶テレビとMaarten de Vries CEO

 その他の統合の効果として「Philipsのブランド力がTPVに与えた効果は大きい。コンシューマにとってPhilipsの認知度が高く、TP VisionとPhilipsが協力を続けることで、ブランドの力もさらに高まっている。TPVの技術とPhilipsのブランド力が良い形で一つになっている」とした。

 4Kテレビ(Ultra HDTV)については、「ロードマップには、次のステップとしてUltra HDも含まれている。IFA 2013では、Ultra HD TVに関する我々のプランをシェアする予定」とした。なお、現在は日本においてテレビの販売は行なっていないが、「将来的には可能性がある」との意向も示した。


LOEWE

登壇したLoeweのMatthias Harsch CEO

 ドイツのハイエンドAV機器メーカー「LOEWE」(レーベ)は、Power Briefingのプレゼンテーションにおいて、同社の考える「未来のスマートホームエンターテインメント」について説明。そのなかで、「画質」、「デザイン」、「サウンド」、「コンテンツ」の観点からIFA 2013の発表内容をハイライトで紹介した。

 テレビは、VODコンテンツをマルチスクリーンで楽しめるアプリを説明。また、オーディオでは、円筒状のスピーカーを複数台使い、様々な部屋のタイプに対応できるというサラウンドシステム「Loewe 3D Orchestra」について紹介した。さらに、NFCも備えたポータブルワイヤレススピーカー「Loewe Speaker 2go」の展示も予定する。

 IFA GPC会場では、55型テレビ「Loewe Reference ID 55」とステレオスピーカー/サブウーファを組み合わせたシステムや、AirPlayスピーカーの「Loewe AirSpeaker ID」、iPhone/iPod/CD/ラジオ/ネットワーク再生に対応したオールインワンシステム「Loewe SoundVision ID」などの現行モデルを展示していた。

IFA 2013展示のハイライト
小型スピーカーで構成する「Loewe 3D Orchestra」
様々な部屋の形状にマッチしたスピーカーの置き方ができるという
ポータブルスピーカーの「Loewe Speaker 2go」
LOEWEの展示ブース
55型テレビを中心としたエンターテインメントシステム
AirSpeaker ID(左上)などの小型スピーカー製品
楽天の子会社であるカナダのkoboは、電子書籍端末の新製品「kobo aura HD」をプレゼンテーションの中で披露した。米国など一部では予約も受け付けている。価格は169.99ユーロ

(中林暁)