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パイオニア、世界初のHUD採用/AR対応「サイバーナビ」

−ドライバーの前方3mに37型で表示。地デジ/DVD搭載


最上位の「AVIC-VH99HUD」

 パイオニアは8日、カロッツェリアのHDDカーナビ「サイバーナビ」新モデルを発表した。1DIN + 1DINメインユニットタイプを3機種、2DINメインユニットタイプを4機種用意し、5月下旬より順次発売する。

 価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、HUD(ヘッドアップディスプレイ)ユニット付属の最上位モデル「AVIC-VH99HUD」が32万円前後。そのほかの製品は、15〜30万円前後。なお、サイズやHUD/クルーズユニットの有無以外の仕様はほぼ共通(AVIC-ZH77のみ5.1ch非対応)。


AVIC-ZH99CS AVIC-ZH77 「AVIC-VH99HUD」と「AVIC-ZH99HUD」に付属するHUDユニット


仕様 型番 AR HUD
ユニット
クルーズ
スカウター
ユニット
発売時期 店頭予想価格
1DIN + 1DIN 7型液晶
(インダッシュ)
地デジ
DVD/CD/USB/SD
5.1ch対応/DSP
AVIC-VH99HUD 7月下旬 32万円前後
AVIC-VH99CS - 5月下旬 24万円前後
AVIC-VH99 - - 20万円前後
2DIN 7型液晶/地デジ
DVD/CD/USB/SD
5.1ch対応/DSP
AVIC-ZH99HUD 7月下旬 30万円前後
AVIC-ZH99CS - 5月下旬 22万円前後
AVIC-ZH99 - - 18万円前後
7型液晶/地デジ
DVD/CD/USB
SD/DSP
AVIC-ZH77 - - 15万円前後


AR HUDユニットを前方から見たところ

 ナビ情報を、実写映像に重ねて見ることができるAR(拡張現実)機能を進化。ルート表示などを新開発のディスプレイ「AR HUDユニット」に表示可能となったことが大きな特徴。映像表示にはRGBレーザーを使用している。同社は「レーザーを使ってAR情報をフロントガラス前方に映すヘッドアップディスプレイは世界初」としている。このユニットは「ND-HUD1」として単体販売(10万5,000円/7月下旬発売)も行なう。なお、接続できるのは今回のサイバーナビ新モデルと、「12年春 全データ更新」を行なった「AVIC-VH09CS」、「AVIC-ZH09CS」、「AVIC-VH09」、「AVIC-ZH09」、「AVIC-ZH09-MEV」でも使用できる。

 AR HUDユニットは、車のサンバイザーの設置場所に装着して、RGBレーザーを走査して前方のスクリーンに表示。ドライバーの目から約3m前方に37型(90×37cm)相当の映像で現実の風景に重ねて見える。運転に必要な情報を素早く取得できるほか、ダッシュボードに取り付けたナビを確認する場合と比べて視線移動や焦点合わせが軽減され、より安全にナビを利用できるという。AR HUDユニットとナビはBluetoothで接続する。

HUDでのAR表示イメージ
 映像がフロントガラスよりも奥に見える理由は、レーザーで描写した映像を、前方にある「コンバイナー」の凹面構造により遠くに、大きく虚像として見せるため。「夜の電車の窓を見た時に、自分の姿が窓の表面ではなくその先に見える現象と同じ」だという。見える距離を3mとしたのは、実際の風景と重ねた時に、焦点を動かす距離を少なくするためとしている。走査周波数は20〜24Hz。なお、レーザーはJIS規格上のクラス1以下で、人体への影響はないとしている。また、このHUDユニットはナビ機能の一部を表示するもので、地デジやDVDなどの映像を出力することはできない。
AR HUDユニットの特徴
AR HUDユニットの仕組み

 HUD表示には目的地までのルート情報や車間距離などをわかりやすく表示する「HUDドライバーモード」、3つ先までの交差点名称などを表示できる「HUD交差点リスト表示」のほか、高速道路に入ると自動で切り替わり、出口までの距離や渋滞状況などを表示できる「HUDハイウェイモード」、有料道路や国道、一般道などを色分け表示して、自車位置を確認できる「HUDマップモード」も用意する。

ディスプレイは透過型で、前方の風景と重なって見える。写真では伝えづらいが、実際の風景(写真はデモ映像)と、HUDの映像の両方を見る場合に焦点を前後に大きくずらす必要は無く、ストレスの無い形で映像を見ることができた
HUDドライバーモード HUDマップモード HUDハイウェイモード
HUD交差点リスト表示 HUDユニットの取り付け方法 北里大学との協力で、医学的見地からも安全性を確認したという


「クルーズスカウターユニット」のカメラ

 ナビ本体の画面には、2011年モデルと同様に「クルーズスカウターユニット」のカメラで撮影した風景と、ナビによるルート情報を重ねて表示する「ARスカウターモード」に対応。新たに、前方の速度標識を検知する機能も備え、効果音とともに標識の画像を抜き出して表示することでドライバーに知らせることが可能になった。検知した速度標識をナビの地図上に登録しておくこともできる。

 そのほか、ARスカウターモードによる適正車間距離表現を改善し、適正な距離に近づくと、黄色から徐々に青に変化して知らせるようになった。また、ルート表示の矢印に縁取りを施したり、高速道路走行時のレーン表示を、通常は黄色、レーンをまたいだ時には紫に変化するようにした。クルーズスカウターユニットは「ND-CS2」として単体販売も行なう。価格は52,500円で、5月下旬発売。

 その他のパフォーマンス強化として、起動時間は'11年モデルの約30秒から約10秒に、検索初期化完了は、従来の約35秒から、約15秒に短縮。ルート探索時間は、東京都庁から静岡県庁を調べた場合、従来は約17秒だったが、約13秒まで短縮した。

 AV機能としては、全機種に地デジ12セグ/ワンセグチューナやDVDドライブを装備。iPhone/iPod接続にも対応し、iPhone/iPodの音楽や、対応アプリの動画などを再生可能。SDスロット/USB端子も備える。DVDプレーヤー部の再生対応ファイルはMP3/WMA/AAC楽曲とAVI(MPEG-4)動画。ディスプレイは800×480ドット液晶。内蔵アンプの最大出力は50W×4chで共通。

 CD楽曲をHDDに保存して、様々な方法で再生できる「ミュージックサーバー」も引き続き搭載。リッピング時の音質は高音質(ATRAC Adbanced Lossless)、または標準(ATRAC3)から選べて、ロスレスでは4倍速/最大約2,000曲、標準では18倍速/約1万曲を保存できる。パソコン内の楽曲を、SDカード経由でHDDに転送することも可能。

 再生方法として、データ保存時に検出した曲調などを元に自動選曲する「フィーリングプレイ」や、再生中の楽曲情報を元に、次の曲を自動で選ぶ「リンクゲートプレイ」などが利用可能。手持ちの楽曲から、1番のボーカル部分のみをつないで連続再生する「グルーヴモード」も搭載。この機能は従来はフェードイン/アウトで連続する方法だったが、曲間を空けずにつなげるクロスフェードも新たに選択可能になった。



■ スマホ連携の「アプリユニット」などで市場創出へ

パイオニアの黒崎正謙氏

 同社取締役 カーエレクトロニクス事業統括部長の黒崎正謙氏は、カーエレ事業を2014年3月期に売上高3,350億円、営業利益220億円まで強化するという目標と、営業利益率を2011年の5.5%から2014年に6.6%まで高めるという中期計画(2011年11月発表)に触れ、その実現に向けて市販事業ではカーオーディオは新興国中心、カーナビはグローバルに展開する点などを説明した。

 国内の市販カーナビ出荷台数は、2011年は震災の影響もありながら、後半の新車販売台数増などを受けて前年並みを維持。2012年度も同等の235万台と予測している。また、ポータブルではないAVナビについては、2012年度に前年度比105%の伸長を見込んでいる。

 今回のサイバーナビ新製品に加え、前日の7日に発表した7型液晶の「アプリユニット」も紹介。スマートフォン市場の拡大に合わせて、「スマートフォンをクルマで使用したいというニーズが高まっている」とし、スマートフォンと同様な操作感でアプリを使えることをアピールした。今回のラインナップ拡充により、「先進層には高付加価値のサイバーナビ、ボリュームゾーンには楽ナビやエアーナビ、スマートフォンユーザーにアプリユニット」と、様々な層に訴求できることを強調し、「国内市販カーナビ市場を活性化し、スマートフォン連携で新しい市場を創造する」と述べた。

カーエレクトロニクス事業の計画 国内市販カーナビ出荷台数推移(パイオニア調べ) 様々な層に向けた製品で市販市場全体の拡大を図る
地デジ/DVDも搭載したアプリユニットの「SPH-DA09」 「SPH-DA05」 対応アプリとして、7月下旬発売予定の「ひかりTVもばいる」などを紹介した


(2012年 5月 8日)

[ AV Watch編集部 中林暁]