東芝、全録+シーン検索でTV視聴を効率化する「REGZA Z7」

ざんまいプレイとクラウドで番組推薦。HDD別売に


55Z7

 東芝は、6番組地デジ同時録画とネットワーク連携機能を備えた液晶テレビ「REGZA Z7シリーズ」を10月下旬より発売する。55型の「55Z7」、47型「47Z7」、42型「42Z7」の3サイズで展開し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は55型が37万円前後、47型が27万円前後、42型が18万円前後。

 特徴は、最大6チャンネルの地デジ番組を常時録画できる「タイムシフトマシン」機能を強化したこと。タイムシフトマシン用HDDは別売となり、同機能の利用にはHDDの購入が必要となった一方で、HDDの容量を選択可能となった。また、録画番組からおすすめを紹介する「ざんまいプレイ」や、番組内の“見たいシーン”だけを検索して、再生できる「みどころシーン再生」などの機能を搭載。クラウドサービス「TimeOn(タイムオン)」と連携することで多くの機能が利用可能になる。

REGZA Z7シリーズ47Z742Z7

 デザインも一新。「ミニマル」をデザインコンセプトに掲げてきたREGZAだが、Z7シリーズはヤコブ・イェンセンがデザインを監修。ガラス素材の質感を生かしながら、「スリムミニマルデザインを極限まで追求した」という。ベゼル幅は超挟額縁の新デザインとなった。3Dにも対応するが、パッシブ型の偏光3Dメガネを利用する方式に変更された。

55Z7超挟額縁のベゼル部を採用

■ 進化したタイムシフトマシン。HDDは別売に

 チューナは、最大6チャンネルの地デジ番組を常時録画できるタイムシフトマシン用と通常録画用に別れている。タイムシフト用は地上デジタルが6系統、通常録画用は地上デジタルが3系統、BS/110度CSデジタルが2系統。なお、タイムシフト、通常録画ともに対応のUSB HDDを別途追加する必要がある。

タイムシフトマシン用チューナ基板シリコンチューナにより大幅に小型化
タイムシフトマシン用HDD「THD-250T1」を装着

 タイムシフトマシン機能は、REGZA Z7からHDDが別売となった。東芝製「THD-250T1」、もしくはバッファローやアイ・オー・データから発売されるタイムシフト用HDDを追加する必要がある。

 THD-250T1は、タイムシフトマシン用の2TB HDD(1TB×2)と通常録画用の500GBのHDDを統合しており、合計容量は2.5GB。地デジ6チャンネルを約40時間録画できる。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は4万円前後。タイムシフトマシン用HDDは、2台のHDDを内蔵し、USB 3.0ケーブル 2本で接続。1系統あたり3チャンネルづつ録画する。THD-250T1はREGZA Z7背面のVESAマウント部に装着できる。


タイムシフトマシン用HDDの「THD-250T1」
THD-250T1を背面に装着タイムシフトマシン用×2と通常録画用×1の3本のUSB接続が必要に。電源も確保する必要がある

 バッファローからは、タイムシフト録画用HDDとして2TBの「HDT-AV2.0TU3/V」と4TB「HDT-AV4.0TU3/V」、6TB「HDT-AV6.0TU3/V」を10月下旬より順次発売。6TBでは約120時間のタイムシフト録画が行なえる。アイ・オー・データは、タイムシフト用の4TB/6TB HDDと通常録画用の1TB HDDを組み合わせた「AVHD-ZRシリーズ」を12月に発売予定。

 HDDを別売としたことでREGZA Z7本体の販売価格を下げたほか、ユーザーが自由にHDD容量を選択可能とした。

バッファローの「HDT-AVTU3/Vシリーズ」アイ・オーの「AVHD-ZRシリーズ」

 タイムシフトマシンの録画形式は、MPEG-2 TSのストリーム記録で、「レグザサーバー」のようなMPEG-4 AVC/H.264長時間録画には対応しない。タイムシフトマシンの基本機能も強化。過去番組表のデザインを、青を基調とした画面にしたほか、週間過去番組表も追加。特定のチャンネルだけをまとめて一週間分表示できるようになった。

 また、番組保存(タイムシフト番組を通常録画番組として保存)時のタイムシフト再生、録画時の番組保存など、ZG2/ZT3シリーズで制限されていた同時操作を改善。過去番組表からの一発再生(「決定」でスグに再生開始)タイムシフト番組のホームネットワーク内のDTCP-IP/DLNA配信に対応した(タブレット/スマートフォン向け配信には非対応)。

過去番組表週間過去番組表録画チャンネル設定
※画面は開発中のものであり、実際の画面とは異なる場合があります。
ざんまいプレイ

 新機能として「ざんまいプレイ」を搭載。リモコンの「ざんまいプレイ」ボタンを押すことで、タイムシフト録画されている番組から、現在視聴中の番組やユーザーの好みに関連性の高い番組を画面上でおすすめする機能。これにより、自分では気づかなかった興味がありそうな番組を発見できるとする。

 ざんまいプレイボタンを押すことで、視聴中の番組に関連する番組を右側に「ほかにもこんな番組」と表示。例えば、ゴルフの視聴中にゴルフのレッスン番組を探したり、海外のゴルフ中継を探したりなどの使い方ができる。

 関連番組の抽出には番組表(EPG)情報を利用する。そのため、REGZA Z7をネットワークに接続していなくても、ざんまいプレイを利用できる。ただし、抽出の対象がタイムシフトマシン録画番組のため、HDDを追加し、タイムシフトマシン機能を利用している必要がある。

 ニュースで話題になっている用語や、人物名に関するキーワードを抽出して番組検索できる「急上昇ワード」、利用者の視聴履歴を学習し、いつも見ている番組をリストアップする「いつもの番組」、ユーザーの視聴履歴から独自に番組をおすすめする「あなたへのおすすめ番組」、「新番組」、「ジャンル専用リスト」などの抽出方法も用意される。

 また、ネットワークに接続することで、レグザサーバーやREGZAブルーレイのユーザーによる人気の番組をリストアップする「みんなのおすすめ番組」も利用可能になる。


いつもの番組あなたにおすすめ番組みんなのおすすめ番組
急上昇ワード新番組ゴルフ

 東芝では、REGZA Z7のタイムシフトマシン機能で、「まず『ざんまいプレイ』を使って欲しい」とする。これまでのタイムシフトマシンでは「過去番組表から好みの録画番組を選ぶ」という操作になっていたが、レコーダに詳しいユーザーは使いこなせるが、初心者や店頭では「難しそう」、「(通常の)番組表と区別がつかない」などの意見が寄せられていたという。そこで、よりシンプルに出会いたい番組を探せる手法としてざんまいプレイを搭載したとする。


■ 「TimeOn」クラウド連携でタイムシフトマシンが進化

シーンドンピシャ再生。「アメリカンロック」でシーン検索

 今回のタイムシフトマシンの強化ポイントはクラウド連携。レグザクラウドサービス「TimeOn」をZ7/J7シリーズの発売に合わせてスタートし、ネットワークを経由して取得した番組のメタデータを元に、番組内の任意のシーンだけを検索できる「みどころシーン再生」などを実現する。

 みどころシーン再生は、タイムシフト録画番組だけでなく、USB HDDへの通常録画番組でも利用可能。検索にヒットしたシーンはリスト表示され、シーンをリモコンで選ぶだけで再生開始する「シーンドンピシャ再生」が行なえる。好きなアーティストの名前などのキーワードで検索すると、複数の録画済み番組から該当シーンを抽出。番組名や概要をプレビュー付のシーン一覧で表示し、関連するシーンの頭出しが出来る。

 例えば、「パンダ」で検索すれば、全ての録画番組からパンダ関連のシーンを抽出して、そのシーンだけをすぐに視聴できる。Yahoo! の検索急上昇ワードを表示し、シーン検索する機能も装備する。


クラウドサービスTimeOnで差別化TimeOnの主要機能
全録+クラウド連携

 番組のシーンデータは、パートナー企業が制作し、東京、東海、大阪地域のテレビ放送や、キー局の番組のデータが生成される。この情報は手入力で編集、作成されているため、番組終了後数時間で利用可能になる。

 また、「いま最も見られているシーン」を抽出して、トップ30を表示する機能も'13年3月下旬に追加予定。Z7シリーズ以降の対象機種からユーザーの同意のもと取得したデータに基づき、東芝独自のアルゴリズムで集計し、現在注目されている「シーン」を案内するという。

 '13年1月下旬には「友人からのおすすめ」や、番組視聴中に「気になる!」ボタンを押しておいた「お気に入りシーン」だけを表示する機能などを追加する予定。


みどころシーン再生検索急上昇ワードも表示
気になるシーンリスト

 リモコンには「気になる! 」ボタンを装備。録画番組視聴中にこのボタンを押すと、シーンのリスト(タグリスト)を右側に表示し、すぐにそのシーンを再生開始できる。また、番組視聴中に気になったシーンを「気になる! 」ボタンで登録し、あとで「みどころシーン再生」の「気になるチェック」から再生できる('13年1月下旬開始予定)。


番組表

 タイムシフトのほか、地デジ3系統、BS/110度CS 2系統のチューナを装備し、別売USB HDDを利用することで通常の録画も可能。新たに最大4TBまでのUSB HDDに対応した。地デジ番組を視聴しながら別の2番組を録画する「地デジ見ながらW録」に対応。録画した番組に自動でチャプタを付与する「Wマジックチャプター」も利用でき、シーン検出/音楽検出により見たい場面を選んで再生できる。

 録画形式はMPEG-2 TSのストリームで、MPEG-4 AVC/H.264の長時間録画は非対応。ただし、バッファローの「レコロング」対応USB HDDにも対応しており、同HDD利用時ではHDDにAVCトランスコーダを搭載しているため、AVC長時間録画が行なえる。

 また'13年1月下旬に予定しているアップデートにより「おまかせ録画」に対応。指定したキーワードに関連した番組を自動録画し、おまかせ録画された番組はフォルダにまとめて整理される。

 「おとうさん」などフォルダ名を付けて、番組を管理できる「マイフォルダ」や、録画リスト、週間番組表、一発予約などの機能も搭載。録画した番組はDTCP-IP/DLNAサーバー「レグザリンク・シェア」に対応し、ホームネットワーク内の対応機器で視聴可能となる。ホームネットワーク配信は、通常録画/タイムシフトマシン録画ともに可能だが、タブレット/スマートフォンへの配信には対応していない。DLNA(DMP/DMR/DMS)にも対応する。


■ クラウドメニュー搭載。タブレットをセカンドスクリーンに

クラウドメニュー

 クラウド連携などネットワーク機能も強化。Ethernetのほか、Z7シリーズ全モデルが無線LANを搭載する。

 ネットワーク関連機能を集約した「クラウドメニュー」を新搭載し、リモコンの「クラウドメニュー」ボタンからすぐに呼び出しできる。ネットワークから東芝のクラウドサービス「TimeOn」にアクセスし、「おまかせ録画」の人気番組情報や「みどころシーン再生」の番組メタデータなどを取得できる。VOD(ビデオ・オンデマンド)やカレンダー、メッセージなどの機能がクラウドメニューに集約されている。


クラウド連携の概要

 VODサービスは、アクトビラ、TSUTAYA TV、ひかりTV、T's TV、スカパー! オンデマンドのほか、新たに電通と民放キー局による見逃し番組サービス「もっとTV」に対応。リモコンにももっとTV用ボタンを備えている。YouTubeにも対応する。

 写真を友人や離れた場所の家族と共有できる「クラウドアルバム」や、離れた場所の両親などとメッセージのやり取りができるという「伝言ボード」、日常の予定や番組予約状況が確認できる「カレンダーサービス」などの機能を搭載。伝言ボードに届いたメッセージは、テキスト表示の他に、東芝の音声合成技術「ToSpeak」を使った音声読み上げに対応する。


クラウドメニューホームマイページビデオ。もっとTVにも対応
リモコン新リモコン(左)と従来のリモコン(右)。もっとTVボタンは蓋の下に

 また、クラウドメニューの各機能をタブレットから利用可能にするAndroidアプリ「RZクラウド」もGoogle Playで10月下旬に提供予定。テレビを見ながら、タブレットをセカンドスクリーンとしてクラウドメニューを使った操作が行なえる。また、クラウドアルバムや伝言ボード、カレンダーサービスなどの機能もタブレットから利用できる。

 RZクラウドの対応OSは、Android 4.0以上。ただし、レグザタブレット以外では正しく表示されない可能性がある、としている。

RZクラウドRZクラウドの概要
RZ番組ナビ

 また、タブレットからの録画予約が可能なAndroidアプリ「RZ番組ナビ」も提供。テレビを見ながらREGZA Z7の操作や録画予約がタブレットから行なえる。番組表からだけでなく、録画ランキングからの録画にも対応する。

 RZ番組ナビの対応OSはAndroid 3.1以上で、11月上旬よりGoogle Playで配信予定。


RZ番組ナビから録画予約予約リスト


■ 新パネルを採用。ドンピシャ高画質も進化

アドバンストクリアパネルを採用

 パネルは55/47/42型のいずれもIPSで、1,920×1,080ドットのフルHD。120Hzの倍速パネルでLEDバックライトスキャンにより残像感を低減する「アクティブスキャン240」も搭載。また、パネルは光沢(グレア)ではなく、光沢を持ちつつも画面の反射を抑えた映り込み低減パネル「アドバンストクリアパネル」を採用した。

 また、従来はアクティブシャッターメガネを利用したフルHD 3Dだったが、Z7シリーズではパッシブ型の偏光メガネを使った3Dとなる。3Dメガネ「シアターグラス3D(FPT-P200)」は別売。

 映像エンジンは「レグザエンジンCEVO」で、超解像技術も「レゾリューションプラス7」となり、彩度に応じて輝度の高域成分を強調、加算する回路技術などにより高彩度映像のテクスチャなどを復元する「カラーテクスチャー復元」により元の色を正確に復元し、画面全体の精細感を向上。また、色超解像や複数フレーム超解像、再構成型超解像なども備えている。

おまかせドンピシャ高画質では、壁の色を指定

 室内環境に合わせ、最適な画質に自動調整する「おまかせドンピシャ高画質」は、新たに、背景の色(壁紙・カーテンの色など)に合わせて画質を自動調整する機能を搭載した。

 画質面では「色画質」、「ノイズ低減」に着目し、Z3で「1080P画質モード」、「モニター」及び「レグザコンビネーション高画質」時のみ対応していたALLクロマフォーマット4:4:4処理(YUV 4:4:4)を、3次元ノイズリダクションと併用。また、新たに3次元カラーノイズリダクションを搭載し、BDビデオ再生時の細かな色情報や色輪郭をクリアに再現することが可能になったという。

 色質感リアライザー、色階調リアライザー、グラフィックスNRの3つの新シーン適応高画質処理も追加。特にゴルフのグリーンのアンジュレーションの明確化/暗部の色階調性向上/平坦部画像のノイズ低減に効果があるとする。

 また、画面のパンに対する動画ボケも抑制。各種3次元ノイズリダクション(パターン抽出型NR/ベースバンドComb/非巡回型YNR/非巡回型CNR)に対し、新たにパン検出機能とパン適応ノイズ低減処理を搭載している。

REGZA Z7の画質強化点シーンモードも改善
ヒストグラム表示色質感リアライザー特性コンテンツモード

 また、アニメ/ゴルフ/ゲームに対応した「コンテンツモード」も新搭載。アニメはレトロアニメ、デジタルアニメ(放送)、デジタルアニメ(ブルーレイ)が選択可能となった。

 ゴルフモードは画質の最適化とともに、タイムシフトマシンの「おまかせ」でゴルフ番組の検索やシーン呼び出しにも対応。ゲームについては、ノーマル/モニター/レトロの3種類のコンテンツモードを用意し、コンテンツにあわせて適用可能とした。さらに補間フレーム生成を行ないながら低遅延を実現する「ゲームスムーズモード」を追加。前後2枚の映像から補間映像を生成し、横スクロールのスピードが速いゲームでの残像低減や、ムービーシーンのなめらかな再生を実現するという。

アニメモードゴルフモードゲームモード

■ レグザサウンドイコライザーも搭載

新設計のスピーカー

 音質の向上もポイント。REGZA Z7のスピーカーは、ベゼル幅は殆ど無いデザインで、スピーカーを下向きに備えた、いわゆるインビジブルスピーカーとなるが、振動板にマイカコーンを採用した新開発の35×75mmフルレンジスピーカーを搭載。低域の量感や質感を改善した。高域も20kHzまで再現可能とする。出力は10W×2ch。

 さらに、自社開発の音響補正技術「レグザ サウンド イコライザー」を搭載。FIRフィルタによる周波数軸補正や時間軸補正を行ない、インパルス応答を改善。ギターやドラムのアタック音を忠実に再現する。また、スピーカーの前面空間を測定する3次元測定と、そこから抽出されたデータを時間軸解析することで、聴覚心理に基づいたサウンド補正(4次元補正)を行なう。これにより、ピーク成分を打ち消し、リスニングエリアの広い、心地良い音を再現するという。

新設計の35×75mmフルレンジスピーカーバスレフポートはスリット状に
REGZA Z7の高音質化技術レグザサウンドイコライザーの概要

 入力端子はHDMI×4、D5×1、コンポジット×1。光デジタル音声出力×1やアナログ音声出力、ヘッドフォン出力も装備する。USBはタイムシフトHDD用×2と通常録画HDD用×1、汎用端子×1の4系統。Ethetnetも装備する。

 消費電力は55型が218W(待機時0.15W)、47型が180W(待機時0.15W)、42型が154W(待機時0.15W)。年間消費電力量は55型が154kWh/年、47型が136kWh/年、42型が125kWh/年。外形寸法/重量は55型が123.4×28.8×79.5cm(幅×奥行き×高さ)/26.5kg、47型が106.4×23.5×69.6cm(同)/19kg、42型が95.4×21.5×63.4cm(同)/15.5kg。


(2012年 9月 27日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]