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ヤマハ、24/192対応のエントリーAVアンプ2機種

RX-V475/V575。MHL/4Kパススルー対応。52,500円から

ラックの上段、左が5.1chの「RX-V475」、右が7.1chの「RX-V575」

 ヤマハは、24bit/192kHzまでのネットワークオーディオ再生機能などを備えた、AVアンプの新モデル2機種を4月上旬に発売する。価格は、5.1chの「RX-V475」が52,500円、7.1chの「RX-V575」が63,000円。

 ネットワークオーディオ再生機能を備えたAVアンプ。従来モデルはハイレゾのWAV/FLACファイルが24bit/96kHzまでの対応だったが、新モデル2機種ではいずれも24bit/192kHzに対応した。MP3/WMA/AACの再生もサポートする。

5.1chの「RX-V475」
7.1chの「RX-V575」

 無料の専用アプリ「AV CONTROLLER」をインストールしたスマートフォンやタブレットから、AVアンプのコントロールや、ネットワーク再生する音楽ファイルの選択などが可能。電源ON/OFF、ボリューム調整、ミュート、入力ソース切り換えなどの基本操作もできるほか、再生中の曲のタイトル名/アルバム名/アーティスト名表示なども可能。DSPモードの切り換え、SCENEモードの切り換えもできる。

 AirPlayにも対応しており、iPod touch/iPhone/iPadやPCのiTunesライブラリーに保存された音楽を無線LAN経由で、ワイヤレス再生する事も可能。インターネットラジオを聴くvTunerにも対応する。アプリはiOS 4.3以降がインストールされた第3世代以降のiPod touch、iPhone 3GS以降、iPadと、Android 2.1以上搭載の端末に対応する。

「RX-V475」は52,500円
「RX-V575」は63,000円。機能面はほぼ共通

 さらに、MHL対応のHDMI端子も搭載。スマートフォンやタブレットと接続し、動画などを手軽にテレビへ出力できる。映像は1080/30pまで対応。音声も24bit/192kHzの、リニアPCM 2~7.1ch音声を伝送できる。MHL対応のHDMI端子は背面に搭載する。

Bluetoothレシーバ「YBA-11」

 また、別売の新Bluetoothレシーバ「YBA-11」(5月中旬発売/8,400円)との接続にも対応。このレシーバはBluetooth 2.1+EDRに準拠し、プロファイルはA2DP、コーデックはSBCとaptXに対応。同軸デジタル出力を備えているのが特徴で、AVアンプの同軸デジタル入力と接続すれば、AVアンプ側で高音質にアナログ変換・再生できるという。なお、「RX-V475」と「RX-V575」には、背面にYBA-11への給電用USB端子も備えている。

 使い勝手の面では、HDMI端子から表示するオンスクリーンディスプレイが、新たに日本語に対応した。

 「RX-V475」と「RX-V575」の主な違いはパワーアンプの数で、V475は5.1ch、V575は7.1ch。いずれもディスクリートパワーアンプとなっており、最大出力は135W×5chと、135W×7ch。7.1chのV575は、フロントスピーカーのバイアンプ駆動も可能。2つの場所や部屋で同じ音を再生する「Zone B」機能も備えており、リビングで5.1ch再生しながら、隣のキッチンで同じ音をステレオ再生するといった使い方が可能。ただし、リビングとキッチンで、別の音楽を流す事はできない。

 なお、搭載するDACなどは同じものの、パーツのチューニングなどで、音質はV475とV575で異なっている。詳細は後述する。

2機種の付属リモコン。左の、ゾーンA、Bボタンがついている方が「RX-V575」のリモコン。右がV475のリモコン
HDMI端子から表示するオンスクリーンディスプレイが日本語に対応

従来モデルから踏襲している機能

 前面にUSB端子を備え、iPhone/iPod/iPadのデジタル接続に対応。接続したiPhone/iPod/iPadの充電も行なえる。AirPlayにも対応。iOS 4.3.3のデバイスや、PCのiTunes 10.2.2以降に対応し、それらの機器からワイヤレスで音楽再生ができる。

 HDMI入力は5系統で、前述の通り、1系統はMHL対応。3D映像やARC(オーディオリターンチャンネル)に対応するほか、4K映像のパススルーにも対応する。アップスケーリングやビデオコンバージョン機能は備えていない。

「RX-V475」の背面端子部分
「RX-V575」の背面端子

 独自の「シネマDSP」を備え、“高さ”方向の音場データを加え、立体的なサラウンド空間を実現する「シネマDSP <3Dモード>」に対応。VPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)機能も装備しており、前方上方に設置するプレゼンス・スピーカー(フロントハイ)を仮想的に創成。フロント・プレゼンス・スピーカーの設置が必須だったシネマDSP <3Dモード>を、7.1chや5.1ch構成のシステムでも手軽に利用できる。

 シネマDSPはHDオーディオの音声とも組み合わせて使用可能。DTS-HD Master Audio/High Resolutionについては、コア部分のみにシネマDSPを付加できる。シネマDSPプログラム数は17で、総サラウンドプログラム数はV475が34、V575が38。

 前面には映像ソースや音場プログラムなどの組み合わせを登録し、ワンタッチで呼び出せる「SCENE」ボタンも用意している。

 省電力機能のECOモードも搭載。通常使用時の消費電力を抑えるもので、トランスから出力される電力そのものを抑制。これにより、どのような機能を利用している場合でも、約20%程度の消費電力を抑えられるという。アンプの電源がOFFでも、付属リモコンでHDMI入力を切り替えられる「スタンバイインプットセレクト」機能も装備。スタンバイスルー状態での待機時消費電力も1Wに抑えられている。

 自動音場補正機能「YPAO」や、AM/FMチューナも搭載。HDMI入力は5系統、出力は1系統装備。HDMI以外の入力として、コンポーネント×2、コンポジット×5、アナログ音声×4(RCA×3/ステレオミニ×1)、光デジタル音声×2、同軸デジタル音声×2を装備。出力はコンポーネント×1、コンポジット×2、アナログ音声×1、ヘッドフォン×1、サブウーファプリアウト(V475は1系統、V575は2系統)を用意する。 外形寸法は2モデルとも435×315×161mm(幅×奥行き×高さ)で共通。重量はV475が8.1kg、V575が8.2kg。

音を聴いてみる

 ダイアナ・クラールのCDを再生し、同軸デジタルでV475とV575に入力。聴き比べてみた。どちらも色付けの少ない、ニュートラルな音色。レンジも広く、低域・高域ともに伸びが良い。低価格帯のAVアンプだが、試聴に利用したB&Wのノーチラス802をしっかりと駆動できており、低域の表現力も豊かだ。

 2機種のサウンドは良く似ているが、細かく比べてみると、V575の方が低域のコントラストが強く、沈み込みもV475より若干深い。重心が下がった、落ち着きのあるサウンドだ。ヴォーカルの定位にも違いがあり、ヴォーカルが前に出やすい「V575」に対して、「V475」は一歩下がる印象がある。これには中低域の豊かさも関係しているようだ。

 V575を使い、CDのサウンド(16bit/44.1kHz)と、同じ楽曲の24bit/192kHzファイルを聴き比べると、24bit/192kHzファイルの方が、展開する音場の左右の広がりが大きく感じられ、微細な音の再生能力も高い。「村治佳織/アランフェス協奏曲」では、ギターの高域描写が、より丁寧かつ、しなやかに感じられる。こうしたハイレゾの特徴が、V575でもしっかりと表現できている。

 BDソフトでもニュートラル、かつ精密な描写は変わらない。ジェフ・ベックのライヴ盤では、ライヴが行なわれている開場の広さだけでなく、高さもよく表現されている。なお、高域情報を補って再生する「ミュージックエンハンサー」機能も搭載しているが、MP3/AACなどの圧縮音楽ファイルだけでなく、ラジオやドルビーデジタルやDTSなどの圧縮サラウンド音声にも適用でき、効果を体感できるようになっている。

(山崎健太郎)