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UE、初のBluetoothスピーカー「WS800/500」
カナル「UE900」やヘッドフォン「UE9000」披露
(2013/4/9 19:40)
ロジクールは9日、Ultimate Earsブランドの新製品を紹介するマスコミ向け発表会を開催。発売を開始しているカナル型(耳栓型)イヤフォン「UE900」や、ヘッドフォン「UE9000」を改めて紹介したほか、初披露の製品として、Ultimate Earsブランド初となるBluetoothスピーカーも発表された。
Bluetoothスピーカーは2機種で、価格はどちらもオープンプライス。発売日は4月19日。店頭予想価格は、取っ手付きの大型モデル「WS800」(ブームボックス ワイヤレス Bluetoothスピーカー)が24,800円前後、手のひらサイズの「WS500」(モバイル ブームボックス Bluetoothスピーカー&スピーカーフォン)が9,800円前後。カラーは、「WS800」がシルバー・ブルーの1色。「WS500」は、ブルー、ブラック、レッド、イエロー、ホワイトの5色。
Bluetoothスピーカー
2機種に共通する特長として、8台までのBluetooth機器を登録可能。さらに、同時に複数台のBluetooth対応プレーヤーと接続が可能。WS800は3台、WS500は2台まで対応しており、複数人が集まった場所で音楽を楽しむ際、割りこむように、別のスマートフォンからの再生音を出力できる。再生ソースとなるスマートフォンを変える時に、その都度Bluetoothの設定を行なわなくて済む利点がある。
WS800は、アルミニウム製ハンドル付を備えたモデルで、持ち運びも想定。バッテリを内蔵し、約4時間の充電で、最大6時間の使用が可能。BluetoothのプロファイルはA2DPに対応。ステレオミニのアナログ音声入力も1系統備えている。
ユニット構成は、12.7mm径のツイータ×2、76.2mm径のウーファ×2、66.7mm径のパッシブラジエータを搭載。定格出力は15W×2ch。周波数特性は55Hz~20kHz。外形寸法は386.4×78.5×164.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1,980g。
WS500は、手のひらサイズのモデルで、「ロジクール ミニ ブームボックス」 (TS500)の後継機種となる。BluetoothのA2DPに対応。マイクも搭載し、ハンズフリー通話も行なえる。さらに、アナログ音声入力も1系統用意する。
25.4mm径のフルレンジユニットを2基搭載。アンプの定格出力は2W×2ch。周波数特性は150Hz~18kHz。バッテリも内蔵しており、4時間の充電で、約10時間の使用が可能。外形寸法は111×67×61mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は298g。
イヤフォン/ヘッドフォン
既報の通り、イヤフォン/ヘッドフォンの新モデルとして、3月15日から、カナル型の「UE900」(オープンプライス/実売39,800円前後)、Bluetooth対応でアクティブノイズキャンセリング(NC)機能を備えたヘッドフォン「UE9000」(39,800円)、NC機能のみ備える「UE6000」(19,800円)、コンパクトでNC機能は備えていない「UE4000」(9,800円)が発売されている。
「UE900」は、バランスド・アーマチュア(BA)ユニットを左右4基づつ搭載し、ウーファ×2とミッドレンジ×1、ツイータ×1で構成。ケーブル着脱も可能。音質など、詳細はレビュー記事を参照のこと。
今回は会場でヘッドフォンのUE9000、UE6000、UE4000を試聴したので、そのインプレッションをお届けしたい。プレーヤーはiBasso Audioのハイレゾプレーヤー「HDP-R10」を使っている。
UE9000とUE6000は、アラウンドイヤータイプ。UE4000はオンイヤータイプとなる。いずれもシッカリとしたホールド性能があり、装着感は良好。コンパクトなUE4000は148gと軽量で、長時間の装着でも負担が少なそうだ。
NC機能を備えたUE9000とUE6000は、どちらもNC機能をOFFにしても音が出せるパッシブ再生に対応。NC ON/OFFで比較すると、両モデルとも、NC ON時の方が、低域の迫力が増し、ダイナミックな音になる傾向がある。
UE9000とUE6000の音の傾向は似ているが、厳密に比較すると、低域の張り出しの強さはUE9000の方がパワフル。高域の抜けの良さは同程度だが、わずかにUE6000の方がこもりが少ないと感じる。UE6000は、低域の迫力はUE9000よりも控えめだが、むしろバランス面ではニュートラルに近く、中低域の張り出しが強すぎないため、空間表現も上手い。ハイファイ的な音という意味ではUE6000の方が高音質だと感じる。
UE9000は押しの強い低域が特徴で、ビートの効いた楽曲を、ボリュームを上げ目に楽しむと心地良く感じる。また、それに負けない高域の抜けも維持されており、メリハリの効いたサウンドだ。打ち込み系のロックやテクノなどにマッチしそう。NC機能はそれほど強くなく、空調などの「サーッ」というノイズを消し、音楽を聴きやすくしてくれる。ソフトな効き方であるため、機能をONにすると鼓膜が圧迫されて不快に感じる事もなかった。
UE4000は軽量なオンイヤータイプだが、UE9000/6000と同様に、低域に迫力があり、量感のある分厚い再生音が楽しめる。上位モデルと比べると、高域が若干コモリがちだが、閉塞感を感じるほどではない。手軽に装着でき、なおかつ低音がパワフルなヘッドフォンを求めるニーズにマッチしそうだ。
「音質の追求が第一」
ロジクールのマーケティングマネージャー黄佑仁(こう ゆうじん)氏は、新規参入も多いイヤフォン/ヘッドフォン、そしてワイヤレススピーカー市場において、UEブランドが訴求していくポイントを「音へのこだわり」と説明。「ヘッドフォンをデザインやファッションアイテムの1つとして参入しているところもあるが、我々はデザインを“こういう風にしたい”というアイデアがあったとしても、それによって音質が犠牲になる場合、絶対にそれはしないと決めている。あくまで音を聴くデバイスであり、音質の追求が第一。その中で、デザインや使い勝手を最大化していく」と、製品開発時のスタンスを紹介。
カナル型の「UE900」は、人気モデル「TripleFi 10」の後継モデルとして登場したが、「音の方向性としては別物だと考えている。音の世界なので、どちらが良いというより、それぞれに個性がある。今回のUE900では、バランスと解像度の面で、過去にない、最高のものができたと感じている。民生用イヤフォンで最高峰のポジションを狙って行きたい、そして狙える製品だと自信を持っている。プロが使えるくらいの仕上がりで、これ以上を求めるお客様には、UEのカスタムイヤーモニターを作っていただきたい」と、製品の位置付けを説明。
UEブランドで初となるヘッドフォンとスピーカーについては、ワイヤレス機器をこれまで長年手掛けてきたロジクールの技術と、UEの技術が掛け合わさり、実現した製品である点をアピール。「ロジクールブランドでもワイヤレススピーカーは出しているが、UEブランドのスピーカーとして展開するという事で、音に関しても、UEの一貫した音作り、チューニングを施している」と語った。
Logitech Internationalミュージックビジネス部門のローリー・ドリー シニアバイスプレジデントは、UEブランドについて、「とにかく音楽のブランド。そこが発祥で、音楽を理解し、コンシューマとミュージシャンの間を、音楽に対する愛で結ぶのが我々の役割だと考えている。Beatsのようなセレブのブランドは、ファッションの一部のように人気だが、我々としてはそういう方向は目指していない。あくまで楽器のメーカーであり、音楽を楽しんでもらうための製品だ。長い目で見れば、(これが)正しい方向なのではないかと思う」と語った。
発表会の中では、J-WAVEのナビゲーターや、クラブDJ、サウンドプロデューサーとして活躍しているDJ TARO氏と、モデルとして活動し、オーディオ好きのヘッドフォン女子としても活動している坂井香さんによるトークショーも開催。
どちからと言うとカナル型は苦手だったというDJ TARO氏は、UE900のフィット感が気に入った様子。音質面では「バランスが物凄く良い。フィット感の良さも合わせて、長時間聴いていられる」と語り、いつも試聴楽曲として聴いているマイケル・ジャクソンの「ロック・ウィズ・ユー」も、良い音で楽しめたという。
UE9000については、「ノイズキャンセルは滅茶苦茶強いわけではないけれど、音楽を再生した時に、いかに自然に再生できるか、音を再生するためのNCなんだなと感じました。Bluetoothで聴いても、高解像度でビックリしました。ドンシャリ過ぎず、ハイハットもキンキンしない」と分析。
香さんは、スピーカーについて、「夏やひたすら海とバーベキュー、暇な時は屋根に登って日向ぼっこするくらいアクティブなんですが、このスピーカーだと軽くてバッテリで6時間も使えるので、そうした場所にも持ち運ぶしかないですね」と気に入った様子。
最後にDJ TARO氏は、「いつもDJブースにいるので、いつかダンスフロアで、お客さんと同じ目線の場所にいながら、音楽をかけてみたいという夢がある。レイテンシの問題は(Bluetoothの)次のプロファイルに期待したいのですが、将来、それが実現できる製品が登場して欲しい」と、夢を語った。