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東芝、84/65型の4K REGZAを国内初披露。夏商戦に発売へ
ファインテックで展示。部分制御の超解像/タイムシフト
(2013/4/10 13:09)
東芝は、4月10日に東京ビッグサイトにて開幕したフラットパネルディスプレイの展示会「第23回 ファインテック ジャパン」において、4K対応液晶テレビ「REGZA」の84型と65型を国内で初めて参考出展した。
1月に米国ラスベガスで行なわれた2013 Internatinal CESにおいて展示された試作機から、日本向けの量産品に近づけたもの。本体デザインを含むハードウェア部分は最終型で、現在は最後の画質の追い込みをしている段階だという。
発売時期についてはCESで予告された通り2013年上期としており、「夏のボーナス商戦に向けてチューンナップしている」(REGZA商品企画の東芝 本村裕史氏)という。なお、CESで展示されていた58型は今回、展示スペースの関係で展示していないが、発売時のラインナップには加わる予定。価格の詳細は明らかにしていないが、「65型と58型は1インチ1万円を切る価格」(本村氏)としている。
パネルは84型がIPS、65型がVA系。「タイムシフトマシン」や「ざんまいプレイ」、クラウドサービス「TimeOn」などREGZA Z7相当の録画/再生機能を搭載し、REGZAの上位シリーズとして展開予定。
画質面では、映像エンジンとして「レグザエンジンCEVO 4K」を搭載。Z7のCEVOエンジンをベースにして、4Kに最適化したSoC(System On a Chip)を開発。CPUは高画質化処理用のクアッドコアCPUと、リアルタイム映像処理用のデュアルコアCPUを搭載している。3D映像については、いずれも偏光方式の3Dに対応する。
2012年6月より発売している同社55型モデル「55XS5」などとの違いとして、2K(フルHD)を4Kをアップスケーリングする超解像システムが進化。従来は画面全体で超解像の強度を調整する機能を搭載していたが、新システムでは、画面内のエリアごとに超解像の掛け具合をリアルタイムで制御できるようになった。これによって、映像の密度が高い部分などには超解像の効果を強く持たせ、平坦部などあまり超解像を掛けたくない部分には掛け具合を弱くすることが可能。この掛け具合は、映像の情報量の大小などから判断するアルゴリズムにより決定。LEDのエリア駆動のように画面を分割した形で制御するのではなく、映像処理の中で行なうもので、きめ細かな制御が行なえるという。
また、新機能の「4K微細テクスチャー復元」を搭載。これは、テクスチャ部分だけを取り出して、さらに精細感を増すという機能。さらに、「4K輝き復元」も搭載。この機能は、クリスタルガラスのように光る部分について、従来のフルHD映像では失われていた輝き成分だけを抽出して復元するというもの。
本村氏によれば、例えば制作時は4K解像度だった映画コンテンツが、BDにダウンコンバートされた場合、「元の映像が100%とすると、フルHDのテレビで再生すると60%まで画質が下がるが、新システムにより、水平解像度で90%くらいに戻ってくる。ほぼ4Kに見えていると考えていい」としている。また、「2Kの時代に比べて、画質を決めるのはパネルの力よりも映像エンジンの力が大きくなった。第1世代の55型と比べると、新エンジンの力で全く別の画質にクオリティが上がった」と自信を表している。
会場に展示されている65型はBDの「ヒューゴの不思議な発明」と、「RANGO」のBDを再生。また、84型では、ネイティブの4Kコンテンツを表示していた。前述の「レグザエンジンCEVO 4K」は、4Kネイティブコンテンツの高画質も追求。具体的な仕組みなどは、正式発表時に明らかにするという。なお、現在のHDMI仕様に準じて、HDMI 1本で入力できる映像は30pまでとなっており、別売のHDMIユニットで4本のケーブルを使うことで、4:4:4の4K/60p入力の対応を予定している。
また、BDのような解像度の高い2Kコンテンツだけでなく、圧縮率の高い地デジのMPEG-2映像についても高画質機能を強化。ノイズ低減や、映像本来の精細感を復元してボケを抑制するというアプローチを行なっており、BDの高画質化とは別のノウハウを採用してノイズを大幅に抑えたという。なお、会場では地デジの画質や録画機能などは確認できなかったが、これらについては正式発表を待つことにしたい。
なお、ファインテック ジャパンには、東芝以外にもLG Electornics JapanやEIZO(4月1日付で社名をナナオから変更)、アストロデザインらが4Kディスプレイを出展している。4Kディスプレイを含めたイベントレポート記事は、後ほど別途掲載する。