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クリプトン、「初音ミク」のVOCALOID 3対応版を発表

ヤマハは「VOCALOID Editor for Cubase」のMac版

VOCALOID Editor for Cubase NEO

 ヤマハは、24日に同社の銀座スタジオでWindows/Mac対応の「VOCALOID Editor for Cubase NEO」の発表会を開催。VOCALOIDの生みの親であるヤマハのyamaha+ VOCALOIDプロジェクト 剣持秀紀氏に加え、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役も登壇。伊藤氏は、新たな歌声ライブラリとして、VOCALOID 3(V3)/Mac対応の「初音ミク V3」を発表した。

VOCALOID Editor for Cubase NEO

 ヤマハの「VOCALOID Editor for Cubase NEO」は、1月に発売した「VOCALOID Editor for Cubase」(ボカキュー)のWindows/Mac両対応版で、8月5日に発売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は9,800円前後。対応OSはWindows 7/8と、Mac OS X 10.7/10.8。

 WindowsとMacの両方に対応するが、ライセンスは1製品につき1台のみの使用となる。同じOS/異なるOSどちらの場合でも、複数のパソコンにインストールして使用することはできない。なお、ヤマハが発売しているWindows版VOCALOID 3対応歌声ライブラリのユーザーには、Windows版のライセンスを移動することで利用可能なMac版のインストーラを無償提供する予定。対象の歌声ライブラリは、VOCALOID 3 Library(SE版を含む) VY1V3、VY2V3、Mew、ZOLA PROJECT、蒼姫ラピス。詳細は同社サイトで案内する。

 「VOCALOID Editor for Cubase」は、ヤマハ子会社のスタインバーグ製DAWソフト「Cubase 7」用のアドオンソフト。Cubase 7を使ってVOCALOIDの歌声へのエフェクト付加や、ギター/ドラムパートの追加などが、ソフトの切り替え無しでシームレスに操作可能。なお、Mac対応版は今秋発売予定としていた。利用には、別売のCubase 7と歌声ライブラリのソフトが必要。

ヤマハの剣持秀紀氏がVOCALOID Editor for Cubase NEOを発表。Macユーザーに対し、「たいへん長らくお待たせしました」とコメント
Cubaseでの編集画面
Macでもボカキューが利用可能に
「キャプミラP」こと、キャプテンミライさん(左)もゲストとして登場。ヤマハミュージックジャパンの青木繁男氏(右)とともにMacでVOCALOID Editor for Cubase NEOのデモを行なった

 最新の「VOCALOID3エンジン」を搭載し、自然でなめらかな歌声の合成を実現。別売のVOCALOID 2/3対応歌声ライブラリと組み合わせて使用でき、VOCALOIDの歌声にCubaseのリバーブやエコーを加えたり、音質や音量調整、フェードイン/アウトなどのミキシングも行なえる。

 歌詞とメロディを入力するだけで歌声のパートが作成可能。メロディは楽器のパートと同じように音符データとして入力でき、歌詞を入れ替えたり曲の構成を変えるといったアレンジを簡単に試せる。また、歌詞やメロディも編集可能な状態のデータを保存でき、オンライン上の共同作業で曲のアレンジを行ない、仕上げていくことも可能。さらに、Cubaseのビデオ再生機能を使って、映像に合わせた楽曲制作も行なえる。

VOCALOID Editor for Cubase NEOと、HALion 5を使って制作や編集の流れを説明。キャプテンミライさんから、ボカロ曲制作のコツなども伝授

クリプトンから初音ミクのVOCALOID 3版発売。DAWや音源もセット

初音ミク V3を発表

 クリプトン・フューチャー・メディアが発売する「初音ミク V3」には、歌声ライブラリだけでなく、新エディタの「Piapro Studio」や、DAWソフト「Studio One 2.5」、約200種類のPreSonusソフトウェア音源も同梱。このパッケージだけで初音ミクの歌声合成と伴奏の制作が行なえることが特徴。

 音声サンプリングは、VOCALOID 2(V2)版と同様に声優・藤田咲を起用。従来のV2ライブラリと、追加音声パッケージである「初音ミク・アペンド」のニュアンスを残しつつ、音素の接続を磨きこんだという。価格や発売日、販売方法の詳細は、8月上旬に発表。なお、既存のV2版ユーザーには優待販売を予定する。対応OSは、Windows XP/Vista/7に加え、Mac OS X 10.7/10.8もサポートする。

 エディタソフトの「Piapro Studio」はDAWソフトとの高い連動性を持ち、軽快な動作や、打ち込みやすさを重視したインターフェイスなどが特徴。付属DAWソフト「Studio One 2.5」のほか、VSTプラグインとしてWindows/Macの主なDAWソフト(Cubase、SONAR、Live、Studio One、FL Studioなど)とも連動できる。さらに、Mac用にAU(Audio Units)プラグインにも後日アップデートで対応予定としている。ループ再生しながらパラメータを編集することもできる。最大15人分の歌手を利用でき、コーラスや合唱などが可能。歌詞入力は、独自UIの「歌詞入力パレット」を使用し、音節の扱いが難しい英語の歌詞でも簡単に入力できるという。

 そのほか、同社からは「MEIKO」のVOCALOID 3版も2013年秋以降に発売。同時期に「KAITO」のV3版も発売予定としている。他のキャラクターの歌声ライブラリについても、順次Mac/V3対応していく見込み。さらに、初音ミクの英語版「初音ミク V3 English」についても発表した。

初音ミク V3の特徴。DAWやエディタソフト、音源も同梱する
発売スケジュールや価格は8月上旬に発表
初音ミク V3の英語版
MEIKO V3やKAITO V3も
2003年に最初のVOCALOIDが開発されてから、10周年を迎えた。ヤマハの剣持秀紀氏と、クリプトンの伊藤博之氏が握手を交わした
エディタソフトの「Piapro Studio」のデモも行なった

 また、ヤマハも歌声ライブラリのMac対応版を発表。「VOCALOID 3 Library VY1V3 NEO」を8月5日より発売するほか、坂本美雨さんの声をサンプリングした「VOCALOID 3 Library Mew Neo」なども9月より順次発売する。そのほか、スタインバーグ製ソフトウェア音源「HALion 5」と「HALion Sonic 2」も発表。これらは8月上旬より発売される。

 ヤマハが発売するVOCALOID 3歌声ライブラリと、「HALion 5」と「HALion Sonic 2」のラインナップと発売日、店頭予想価格は下表の通り。

【VOCALOID 3歌声ライブラリ】

製品品番発売日店頭予想価格
VOCALOID 3 Library VY1V3 NEOVY1V3NJP8月5日9,800円前後
VOCALOID 3 Library Mew NEOMEWNJP9月12,800円前後
VOCALOID 3 Library ZOLA PROJECT NEOZOLANJP10月12,800円前後
VOCALOID 3 Library 蒼姫ラピス NEOLAPISNJP10月12,800円前後
VOCALOID 3 Library VY2V3 NEOVY2V3NJP11月9,800円前後

【HALion 5/HALion Sonic 2】

製品品番発売時期店頭予想価格
HALion 5 通常版HALION 5/R8月上旬4万円前後
HALion 5 アカデミック版HALION 5/E25,000円前後
HALion Sonic 2 通常版HALION SONIC 2/R3万円前後
HALion Sonic 2 アカデミック版HALION SONIC 2/E2万円前後

(中林暁)