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東芝、“フルHD集大成”の直下LED/広色域「REGZA Z8」
全録+1系統のBS/CS録画。全録番組を「声で検索」
(2013/9/25 12:00)
東芝は、広色域パネルや直下型LEDを搭載し、“Zシリーズ史上最強のフルHD高画質“を謳うテレビ「REGZA Z8シリーズ」を11月上旬より発売する。55型の「55Z8」、47型「47Z8」、42型「42Z8」の3モデルを用意し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は55型が26万円前後、47型が21万円前後、42型が16万円前後。
Z8Xシリーズなどで「4K」展開を強化してきた東芝だが、Z8シリーズはフルHD液晶パネルを搭載し、“フルHD最高画質”を目指したという液晶テレビ。液晶パネルに、直下型LEDと広色域化した「ダイレクトピュアカラーパネル」を搭載し、高輝度性能と広色域を活かした画質設計を行なった。映像処理でも広色域復元などの新技術を導入。音質も強化している。
また、最大6チャンネルの地上デジタル放送番組を常時録画できる「タイムシフトマシン」も強化。地デジ6chだけでなく、通常録画用の地デジ、BS/CSチューナの1系統を録り続けられる「タイムシフトプラス1」を搭載する。また、Androidアプリ「RZボイスリモ」から録画番組を声で検索できる「声でカンタン番組検索」にも対応する。
デザインも狭額縁を基本としながら、クロームの輝きをもつ高級感あるスタンドを採用し、上位モデルらしい高級感を演出。額縁は「硯(すずり)」のような黒をイメージしたという。
直下型LEDの新「ダイレクトピュアカラーパネル」で高画質化
液晶パネルは、55/47/42型のいずれもIPSで、1,920×1,080ドットのフルHD。直下型のLEDと、広色域パネルから構成される「ダイレクトピュアカラーパネル」の採用により、高輝度や広色域を活かし、太陽の輝きや海の輝きなどを美しく再現するという。新パネルでは、有効画素面積を拡大することで光の透過率を向上。パネル輝度は700nitとなり、Z7の約400nitより75%輝度向上した。また、直下型LEDとLEDによるエリア制御を組み合わせて、コントラストを向上している。
LEDバックライトの広色域化により、表示色領域も拡大。色域は14%アップし、BT.709カバー率は97%となった。特に今まで表現できていなかった、赤や青の領域の微妙な色変化などを正確に再現可能になったとする。
LEDバックライトスキャンにより残像感を低減する「ダイレクトモーション480」を搭載。またパネルは、光沢を持ちつつも画面の反射を抑えた映り込み低減パネルを採用する。3Dにも対応。パッシブ型の偏光メガネを使った3Dとなる。3Dメガネ「シアターグラス3D(FPT-P200)」は別売。
映像エンジンは「レグザエンジンCEVO」を2基搭載した「レグザエンジンCEVO Duo」で、40nmCMOSロジック半導体を採用することで、高速動作を実現。超解像技術「レゾリューションプラス7」も搭載している。
画質関連の強化点としては、新たに「広色域復元」を採用した。これは放送の色域に圧縮された色を復元し、映像本来の鮮やかな色を再現するもの。自然界は、カメラで撮影する色域(BT.709)以上の色域を持っているが、多くの場合、映像としてカメラで撮影する際にBT.709の色域に圧縮されて記録される。広色域復元は、REGZAに内蔵した物体色の限界(最明色)を考慮した色域復元データベース6,144項目に、入力された色圧縮された信号を照合し、色情報や階調情報を圧縮前の信号をデータベース情報から類推して復元。物体の反射光の特性や自然な色彩を再現するという。単純な色域拡大では不自然な色になりがちだが、広色域復元を行なうことで、自然な色彩で再現できるとする。
また、ハイダイナミックレンジ復元も搭載。多くのビデオカメラでは、撮影時に白潰れを防ぐため、高輝度領域を圧縮して記録するが、ハイダイナミックレンジレンジ復元は、この圧縮されたハイライト部の伸びを復元するもの。白く輝く部分などで、立体感ある描写で再現するという。
環境に合わせて画質を調整する「おまかせドンピシャ高画質」は、「おまかせオートピクチャー」という名称に変更。部屋の明るさや照明種類、背景色、コンテンツ種類に加え、新たに画面の大きさの情報も画質調整に反映することとなった。大画面になるほど、テレビからの光の総量が増加し、背景の影響が減少するため、サイズにあわせてホワイトバランス、バックライトの明るさに調整することで、より適した画質に調整できるとする。また、カラーマネジメントを高精度化し、6,144×2種類(色温度)のテーブルデータを用意。肌色などの中間色を正確に再現するという。
コンテンツにあわせて画質を調整する「コンテンツモード」の種類も追加。オート、ビデオ、シネマ、アニメ、サッカー/ゴルフ、写真などの項目に加え、ビデオ、シネマ、アニメ、ではさらに4つの細分化された選択が可能になった。ビデオの場合、元映像が4Kの映画に対する「4KマスターBD」、「BD」、「放送」、「ネット動画」を選択できる。
「4KマスターBD」は、4KマスターのBDビデオソフトを、素材本来の緻密な質感で再現するというもの。4Kカメラ撮影、大型フィルム撮影、4K/8Kスキャン、4K編集で作成された4Kマスターコンテンツなどで効果を発揮し、NRはオフになり、素材本来の質感を再現するという。
また、「アニメ」には、「ハイビットBD」モードを追加。最高36bitの高階調で記録されたコンテンツ(MGVC/マスターグレードビデオコーディング)などのBDアニメコンテンツをなめらかかつ質感豊かな映像で再現する。ゲームモードの低遅延も引続き搭載しており、遅延は約0.7フレーム(約12ms)に抑えている。また、補間フレーム生成を行ないながら低遅延を実現する「ゲームスムーズモード」も搭載。前後2枚の映像から補間映像を生成し、横スクロールのスピードが速いゲームでの残像低減や、ムービーシーンのなめらかな再生を実現する。
ラビリンスバスレフ+新ユニットで音質向上
また、レグザパワーオーディオシステムによる音質も強化。REGZAでは狭額縁のいわゆる「インビジブルスピーカー」デザインを採用し、下面に向いてユニットを配置している。Z8シリーズでは、新たに「ラビリンスバスレフ」型のボックス構造を採用することで、スピーカー背面の容積を確保しながら、ポートを延長。低域共振周波数を低下させ、低音再生力を向上したという。
サブウーファは備えていないが、能率と耐入力を改善した新開発の3×9.6cmフルレンジユニットを搭載。出力は15W×2chに向上(Z7は10W×2ch)し、音圧はZ7比で2倍に向上。パワフルな音楽再生を可能にした。
また、自社開発の音響補正技術「レグザ サウンド イコライザー」も強化。FIRフィルタによる周波数軸補正や時間軸補正によるインパルス応答改善、3次元×時間軸解析の4次元補正技術、音像補正などを引き続き搭載し、新スピーカーの採用にあわせて音の再現力を向上。さらに、「レグザサウンドイコライザープロ」は、従来比6.7倍の精度で低音を制御し、低音再現力を向上している。
タイムシフトは1系統のBS/CS録画に対応。「声で検索」に対応
最大6チャンネルの地デジ番組を常時録画できる「タイムシフトマシン」も搭載。ただし、タイムシフト用のHDDは別売となっている。タイムシフトマシンの録画形式は、MPEG-2 TSのストリーム記録で、MPEG-4 AVC/H.264長時間録画は行なわない。
チューナは、タイムシフトマシン用と通常録画用に別れており、タイムシフト用は地上デジタルが6系統、通常録画用は地上デジタルが3系統、BS/110度CSデジタルが2系統。タイムシフト、通常録画ともに対応のUSB HDDを別途追加する必要がある。2TB HDD搭載時にはタイムシフトマシンで、地デジ6チャンネルを約40時間録画できる。
また、新たに地デジ6chだけでなく、BS/CSを含む任意の1chをまる録りできる「タイムシフトプラス1」も搭載した。これは、通常録画用の地デジ3ch、BS/CS 2chチューナの1系統をタイムシフト(全録)に割り当てるもので、通常のタイムシフトとは別に録画時間の設定などが可能。WOWOWやスカパー!などの有料放送も割り当て可能となっている。通常のタイムシフトとあわせて合計7chのタイムシフト録画が可能になる。
録画した番組は「過去番組表」での一覧表示、もしくはリモコン上部の「ざんまいプレイ」から呼び出して再生可能。「ざんまいプレイ」ボタンを押すことで、タイムシフト録画されている番組から、現在視聴中の番組やユーザーの好みに関連性の高い番組を画面上でおすすめしてくれる。
ざんまいプレイも「タイムシフトプラス1」対応で機能強化しており、「ざんまいプレイプラス1」というメニューを用意。リモコンのカラーボタンから呼び出せる。ここでは、録画した任意の1chの特性に合わせて、番組の分類を自動的に切り替える。例えば、映画専門チャンネルではバラエティ、音楽、アニメ、洋画、邦画、国内ドラマ、海外ドラマなど、スポーツ専門チャンネルでは相撲・格闘技、野球、サッカー、モータースポーツ、ゴルフ、スポーツニュースなどに割り当てられ、チャンネルに適した検索が行なえる。
録画番組の検索機能も強化。新たに「声でカンタン番組検索」を搭載し、Androidアプリの「RZボイスリモ」を使って、Androidスマートフォンやタブレットから声で録画番組や未来の放送番組の検索が行なえる。対応OSはAndroid 4.0以降。これにより、タイムシフトなどで録画した大量の番組の検索性を高めている。
例えば「あまちゃん」とRZボイスリモに話しかけると、タイムシフト録画や通常録画した「あまちゃん」(NHK朝の連ドラ)や関連番組、EPGで検索できる放送予定の「あまちゃん」を一覧表示してくれる。検索には放送波のEPG情報を利用、検索方法は、「ざんまいプレイ」、「過去番組表」、「録画リスト」、「放送予定の番組」、「YouTube」の各項目から選択できる。
番組タイトルや、「ゴルフを見たい」、「嵐を見たい」などのキーワードと行為を結びつけた検索も可能。「○○を録画」と呼びかけて、録画予約も登録できる。また、「今日のあまちゃん」など放送日をつけて呼びかけても、当日に放送された番組のみを選択して再生してくれる。ただし、時間指定や日付(例.9月25日)などの指定はできない。
また、RZボイスリモでは音声検索にGoogle音声検索を利用しているため、iOSなど他のプラットフォームでの対応は現時点では難しいとのこと。実際に使ってみるととても使いやすく、面白い機能だけに、今後の対応拡充を望みたい。
TimeOnやHybridcast対応。MHLも
レグザクラウドサービス「TimeOn」にも対応。リモコンの[シーン検索]ボタンから、番組内の任意のシーンの検索/頭出しができる「気になるシーンリスト」と、録りためた番組の中から好きなシーンをピックアップできる「みどころシーン再生」に対応する。
また、東芝のスマート家電と連携する「家電コンシェルジュ」サービスに対応。冷蔵庫、ランドリー、エアコン、シーリングライトなど、対応機器の家庭内の電力使用状況を確認したり、シーリングライトの色などのカスタマイズなどがREGZAから行なえるようになる。
ネットワーク関連機能では、NHKが9月からスタートした放送/通信連携サービス「ハイブリッドキャスト(HybridCast)」に対応。VODサービスは、アクトビラ、TSUTAYA TV、ひかりTV、T's TV、スカパー! オンデマンド、もっとTVなどに対応。YouTubeも視聴可能となっている。
また、「クラウドメニュー」を用意しており、写真を友人や離れた場所の家族と共有できる「クラウドアルバム」や、離れた場所の両親などとメッセージのやり取りができるという「伝言ボード」、日常の予定や番組予約状況が確認できる「カレンダーサービス」などの機能を搭載している。
レグザリンク・シェア(DLNA/DTCPサーバー)や、DLNAコントローラ/レンダラーに対応する。
入力端子はHDMI×4、コンポジット×1、アナログ音声×1。光デジタル音声出力×1やアナログ音声出力、ヘッドフォン出力も装備する。HDMIの1系統はMHLに対応し、スマートフォンの充電も行なえる。USBはタイムシフトHDD用×2と通常録画HDD用×1、汎用端子×1の4系統。Ethernetも装備する。
消費電力は55型が277W(待機時0.15W)、47型が208W(同0.15W)、42型が198W(同0.15W)。年間消費電力量は55型が150kWh/年、47型が130kWh/年、42型が125kWh/年。外形寸法/重量は55型が124.1×19×75.8cm(幅×奥行き×高さ)/17kg、47型が107.1×19×66.2cm(同)/13.5kg、42型が96×17×59.9cm(同)/12kg。