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東芝、“REGZA最高画質”の4K直下LED+広色域「Z9X」

50~84型プレミアム4K。4K&マスモニ&低遅延ゲーム

58Z9X

 東芝ライフスタイルは、精細感や質感表現を向上した新4K液晶テレビ「REGZA Z9Xシリーズ」を5月より順次発売する。84型の「84Z9X」と、65型「65Z9X」、58型「58Z9X」、50型「50Z9X」の4モデル展開で、50~65型は5月中旬に、84型は7月中旬に発売する。価格は84型が180万円、50~65型がオープンプライス。店頭予想価格は65型が63万円前後、58型が43万円前後、50型が32万円前後。

 新開発の広色域直下型LEDを採用した「4Kダイレクトピュアカラーパネル」(84型を除く)により、色域を30%拡大したほか、LEDを直下型としたことで輝度を約75%向上。「色」と「明るさ」、「コントラスト」の向上により、映像の臨場感や立体感を高め、“REGZA史上最高のリアリティ”を実現した「プレミアム4K」シリーズとして展開する。

REGZA Z9Xシリーズ

 新たにゲーム対応を強化。ゲーム入力時の遅延もREGZA史上最速という約0.6フレーム(約10ms)まで抑制した「新4Kゲーム・ターボ」や、PCゲームの2,560×1,440ドット/60p入力に対応した。2013年のZ8Xシリーズと同様に、6チャンネルの地デジ番組を常時録画できる「タイムシフトマシン」など録画機能も搭載する。

 また、40型で4K/3,820×2,160ドットを実現した「REGZA 40J9X」も7月中旬に発売。店頭予想価格は23万円前後。Z9Xとの違いは、サイズとタイムシフトマシンが省かれること。40J9Xについては別記事で紹介する

REGZA Z9Xシリーズ
84Z9X
50Z9X

直下型LEDや広色域パネルで“色”と“きらめき感”を向上

レグザエンジンCEVO 4K

 液晶パネルは、84/65/58/50型のいずれも3,840×2,160ドットの4K解像度で、84型がIPS方式、65/58/50型はVA方式となる。映像エンジンは「レグザエンジンCEVO 4K」。

 Z9Xシリーズの画質面での最大の強化点は「色」と「きらめき感、コントラスト」。そのために、新開発の直下型LEDバックライト技術、広色域パネルなど、新デバイスや最新映像処理技術を多数搭載した。

 65/58/50Z9Xは、色域を従来モデルZ8X比で約30%向上した「4Kダイレクトピュアカラーパネル」と直下型で高輝度広色域の「ダイレクトLEDバックライト」を採用したことで、色や質感表現、明るさ、コントラストなどの表現力を大幅に向上した。

65Z9X
58Z9X
50Z9X
64Z9X

 色については、DCI(デジタルシネマ)-P3規格に迫る広色域化を実現。新たに「4K広色域復元」を搭載した。これは、放送の色域(BT.709)に圧縮された色を、パネルの最大色域まで拡大するもので、4K放送などで導入が見込まれる広色域映像入力のBT.2020にも対応する。

 4K広色域復元は、入力映像に対し、最明色(物体色の限界)を考慮した6,144項目もの広色域復元データベースを照合し、物体の色を反射する限界値を考慮して色域復元を高精度実行。これにより、自然でリアルな色彩を復元するという。

4Kダイレクトピュアカラーパネルを採用
4K広色域復元
高輝度広色域ダイナミックLEDバックライト

 また、高輝度広色域ダイナミックLEDバックライトにより、輝度をZ8X比で約75%向上(65/58/50型)。直下型LEDを活かし、「ハイダイナミックレンジかつ高コントラストな4K」を目指した。輝度は700nit。LEDの数は非公開だが、展示されていたカットモデルを見る限り、300個以上と予想される。

 LED自体も新開発の広色域のものを採用。蛍光体材料の見直しと各色の配合割合を最適化することで、広色域を実現しながら輝度低下を抑え、結果として、Z8よりも赤、緑方向の色再現範囲を拡大。目標としていたDCI-P3の色域をほぼカバーすることができたという。

 直下型LEDの採用とあわせて、LEDエリア制御技術の「きらめきダイレクトLEDエリアコントロール」により、コントラスト表現を向上。映像の部分ごとの明るさを制御し、メリハリある映像を実現するものだが、直下型LEDの採用により、さらに細かなエリア制御(エリア数は非公開)が可能になったほか、ピーク輝度復元により、画面の明るい部分のピーク輝度を復元し、画面全体のダイナミックレンジを拡大。映像の“輝き感”を向上したという。

高輝度広色域ダイナミックLEDバックライト
LEDの数は非公開だが、カットモデルからは300~350程度と推測される
LED自体も広色域化

 また、映像撮影時にカメラ側で白潰れ防止のために圧縮した高輝度領域を、REGZA側の映像処理によって復元する「ハイダイナミックレンジ復元」を搭載。圧縮されたハイライト部の伸びを復元するため、白く輝く花弁などの映像を、立体感ある描写で再現できるとする。

高輝度広色域ダイナミックLEDバックライト
ハイダイナミックレンジ復元
84Z9X

 84型の「84Z9X」は、エッジ型LEDとなり、輝度は500nit程度。LEDエリア制御も搭載しているが、他のZ9Xシリーズよりエリア数は少なくなる。それでも、従来モデルの84Z8Xよりは大幅に輝度やコントラストが向上しているという。

 65/58/50型は、120Hzの倍速パネルでLEDバックライトスキャンにより残像感を低減する「スムーズダイレクトモーション480」、84型は「スムーズアクティブスキャン240」を搭載し、動画応答性を向上。4K/60p映像も滑らかに再現するほか、アニメなど同じフレームが周期的に繰り返される映像についても、繰り返し周期の検出精度を向上し、適切な補間フレーム生成を行なうことで、滑らかさを向上する。

なめらかな4K映像を実現

 3D立体視にも対応。84型はパッシブ型の偏光メガネを使用する。65/58/50型はアクティブシャッターメガネを採用したフレームシーケンシャル方式だが、3Dメガネだけでなく、3Dトランスミッタ「FPT-AGT1」も別売となる。

3Dトランスミッタ「FPT-AGT1」は別売
アクティブシャッターメガネの「FPT-AG02(J)」
84型はパッシブ型の「PFT-P200」を利用する
デジタル放送ノイズエリア解析超解像

 4Kネイティブ映像だけでなく、HD映像の高画質化機能も充実。BDやデジタル放送などで、映像をテクスチャー、エッジ、平坦部に分け、それぞれを最適に高画質化。テクスチャー部に特に4Kに最適化した復元を施すことで、4Kならではの精細感を再現する「微細テクスチャー復元」(4K 60/30/24p入力には非対応)や、画像を光沢部分と物体色部分に分離。光沢部分を制御して再合成することで、映像に元々備えていた“輝き感”を再現する「輝き復元」、映像のエリアごとに精細感に応じて処理を最適化。画面全体の精細感を向上する「絵柄解析 再構成型超解像技術」などを搭載する。

 新たに、デジタル放送のノイズ発生エリアを高精度に検出し、適切な超解像処理を行なう「デジタル放送ノイズエリア解析超解像」も搭載。エリアごとに適した超解像処理を行なうことで、ブロックノイズやモスキートノイズを抑えながら、映像全体の鮮明度向上と、文字の視認性向上を両立するという。

最速ゲーム、マスターモニター、4Kネイティブなどソースに適した高画質化も

ピュアダイレクトモードも搭載

 HDMIを4系統搭載し、そのうち1系統(HDMI 3)は4K/60pに対応。HDMI 2.0の3,840×2,160ドット/60fpsや、著作権保護技術のHDCP 2.2にも対応する。

 新たに「ピュアダイレクトモード」も搭載。これは、4:4:4信号の1080p映像を、前段の映像処理などを一切介さずに、レグザエンジンCEVO 4Kにダイレクトに入力し、CEVO 4K内でALL 12bit 4:4:4で映像処理を行ない、素材の美しさを最大限に引き出すというもの。パナソニックのBDレコーダ「DIGA」や、ジブリのBDディスクなどで採用している「MGVC」など、各色最大12bitで収録したBDディスクの映像を高品位に再現できるとする。

 '13年のZ8Xシリーズは、映像制作の現場でも4Kモニターとして利用されることが多かった。REGZA Z9Xでは、その際に蓄積したノウハウや制作現場からの要望も取り入れた。それが、新搭載のマスターモニターモードだ。新たに「モニターD65」、「モニターD93」というモードが追加され、D65は色温度6,500Kでのマスターモニター、D93は9,300Kでの推奨モニター画質となり、これを基準に細かな設定が行なえる。sRGB(BT.709)など色空間の指定にも対応する。

 4Kネイティブ映像に最適化した「4Kネイティブモード」も新搭載。超解像処理やNRフィルタなどを4Kに最適化し、コンテンツモードの1タイプとして選択可能とした。従来通りに、コンテンツモードの「アニメ」、「シネマ」、「4KマスターBD」なども用意している。

モニターD93、モニターD65を新設
4KネイティブモードやモニターD93/D65など

 ゲーム対応強化もポイント。新搭載の「新4Kゲーム・ターボ」では、4K/2Kゲームにおいて、REGZA史上最速という遅延0.6フレーム(約10ms)の低遅延化を実現。メモリの読み出し最適化により、倍速パネルにおける遅延の理論的限界(0.5フレーム)に極力近づけ、アクションゲームなどでのゲームプレイ時のストレスを最小化した。3Dゲームも低遅延化し、約1.1フレーム(約18.3ms。720/60Hz入力)に、補間フレームを使う「ゲームスムーズモード」でも1.15フレーム(約19.2ms)に抑えている。

 また、映像だけでなく音声の遅延も抑制。カラオケ向けの音声低遅延モード「ゲーム・カラオケ」の0.9フレーム(約15ms)の遅延となる。

 PCや4Kゲーム対応も強化。HDMI入力において、4Kだけでなく、PCゲームで採用例が多い2,560×1,440ドット/60pの入力に正式対応した。ALL 4:4:4の映像信号処理により、高画質ゲーム機の映像も美しく再現するという。なお、DisplayPortについてはチップの供給に不安があるため、Z9Xでは対応を見送ったとしている。(720pの)PlayStation Vita TV(PS Vita TV)接続に最適化したモードも新搭載した。

新4Kゲームターボで遅延を0.6フレームまで抑制
2,560×1,440ドット/60pのHDMI入力をサポート
おまかせオートピクチャーも進化

 自動画質調整の「おまかせオートピクチャー」も進化。部屋の明るさや照明の種類、画面の大きさなどを考慮して、最適な画質に自動調整するものだが、Z9Xでは、従来必要となっていた、照明種類や背景の色、コンテンツ種類などの環境設定を行なわなくても、最適な画質調整を行なうようになった。

コンテンツモード「4Kネイティブ」
コンテンツモード「4KマスターBD」
コンテンツモード「ハイビットBD」
コンテンツモード「ポータブルゲーム」

新デザインを採用。リモコンはタイムシフト対応強化

レグザパワーオーディオシステム

 65/58/50型は、レグザパワーオーディオシステムにより音質を強化。従来モデルと同様に、スピーカーの向きは下側だが、ラビリンスバスレフ型のボックス構造を採用することで、スピーカー背面の容積を確保しながらポートを延長。低域共振周波数を低下させ、低音再生力を向上している。

 能率と耐入力を改善した3×9.6cmフルレンジユニットを搭載。出力は15W×2chで、Z8X比の10W×2chから大幅に強化。音圧は約2倍になった。84型は20W×2chの合計40Wとなる。

 音響補正技術「レグザ サウンド イコライザー プロ」も搭載。FIRフィルタによる周波数軸補正や時間軸補正によるインパルス応答改善や、音像補正などにより、低音の分解精度の強化を図っている。Z8X比6.7倍の精度(Z8と共通)で低音を制御することで、低音再現力を向上したという。

レグザパワーオーディオシステム
レグザ サウンドイコライザー プロ
ケーブルを目立たせずに収納できる

 また、壁掛け時の壁面反射により、低音が強調される問題を解消するため、「壁掛けモード」も新搭載。同モードに切り替えることで、壁掛け設置時でも自然な音を再現できるという。

 デザインも一新。薄さを強調したメタルフレームデザインとなり、上下/左右同一のフレーム幅(84型を除く)により安定感を出している。カラーはサテンゴールド。スタンドも欧州の転倒規制に対応すべく、横幅の広いものを新採用。ケーブルマネージメントを考慮したスタンドネックカバーも搭載する。

スタンドも新デザインに

 Z9Xではリモコンを一新。従来の黒基調のものから、シルバーを基調としたほか、タイムシフト関連ボタンをセンターに集約して大型化。中央のカーソルキーの上部に「タイムシフト」、「始めにジャンプ」、「ざんまいプレイ」など大型で操作頻度の高いボタンを中央に寄せ、黒とシルバーでエリア分け。特にタイムシフトマシンの操作性を向上している。

 また、ボタン数を削減したほか、[3D]、[もっとTV]などのボタンを配置していた扉も廃止。キートップを若干傾斜させることで視認性と操作性の向上を図った。

リモコン
従来のリモコンとの比較

タイムシフトにも対応。番組表やUIも4Kに

番組表などを4K対応に

 最大6チャンネルのデジタル放送番組を常時録画できるタイムシフトマシン機能も搭載。ただし、タイムシフト用のHDDは別売となっている。タイムシフトマシンの録画形式は、MPEG-2 TSのストリーム記録で、MPEG-4 AVC/H.264長時間録画は行なわない。

 チューナは、タイムシフトマシン用と通常録画用に別れており、タイムシフト用は地上デジタルが6系統、通常録画用は地上デジタルが3系統、BS/110度CSデジタルが2系統。タイムシフト、通常録画ともに対応のUSB HDDを別途追加する必要がある。2TB HDD搭載時にはタイムシフトマシンで、地デジ6チャンネルを約40時間録画できる。

 なお、7月31日までのZ9Xシリーズを購入者にタイムシフトマシン用HDDをプレゼントするキャンペーンも実施する。50型「50Z9X」の購入者には2TBの「THD-250T1A」を、58~85型の購入者には4.5TBの「THD-450T1A」を無料でプレゼント。HDDはZ9Xの背面に装着できる。

4K番組表
4K過去番組表
4K週間過去番組表

 タイムシフトマシンの仕様は、2013年10月発売のREGZA Z8シリーズとほぼ同等。地デジだけでなく、BS/CSを含む任意の1chをまる録りできる「タイムシフトプラス1」に対応し、通常録画用チューナ(地デジ3ch、BS/CS 2ch)の1系統をタイムシフト(全録)に割り当てて、通常のタイムシフトとは別に録画時間の設定などが行なえる。WOWOWやスカパー!などの有料放送も割り当て可能で、合計7chのタイムシフト録画が可能になる。

 録画した番組は「過去番組表」での一覧表示、もしくはリモコン上部の「ざんまいプレイ」から呼び出して再生可能。「ざんまいプレイ」ボタンを押すことで、タイムシフト録画されている番組から、現在視聴中の番組やユーザーの好みに関連性の高い番組を画面上でおすすめしてくれる。

ざんまいプレイ
ざんまいプレイ プラス1

・番組表も"4K"に。リモコンもタイムシフトをより使いやすく

 録画関連機能に大きな進化点はないものの、ユーザーインターフェイスを改善。番組表やメニューなどを4K対応としたことで、番組表の見やすさや操作性を向上した。7チャンネル6時間の標準的な表示方法では、番組情報の概要までも視認可能としたほか、文字の精細感も向上し、番組選びを快適にした。新デザインのリモコンも、タイムシフトマシンの操作性に配慮し、中央に関連ボタンを集約した。

 Androidアプリ「RZボイスリモ」から、録画番組を声で検索できる「声でカンタン番組検索」にも対応。Androidスマートフォン/タブレットから声で録画番組や未来の放送番組の検索が行なえるもので、特にタイムシフトで録画した大量の番組の検索性を高めることができる。

 番組タイトルや、「ゴルフを見たい」、「嵐を見たい」などのキーワードと行為を結びつけた検索も可能。Z8でも搭載されていたが、Z9Xにおける進化点として、より日常会話に近い音声入力での検索に対応。「他になにかない?」と尋ねると、ざんまいプレイの「他にもこんな番組」を、「おすすめは? 」と聞くだけで「あなたにおすすめ」の番組リストを表示する。対応OSはAndroid OS 4.0以降。なお、Google音声検索を利用しているため、iOSでの対応は難しいとしている。

HybridcastやTimeOnにも対応

 レグザクラウドサービス「TimeOn」にも対応。リモコンの[シーン検索]ボタンから、番組内の任意のシーンの検索/頭出しができる「気になるシーンリスト」や、録りためた番組の中から好きなシーンをピックアップできる「みどころシーン再生」などに対応。また、東芝のスマート家電と連携する「家電コンシェルジュ」サービスでは、冷蔵庫やエアコン、シーリングライトなど、家庭内の対応機器の電力使用状況を確認したり、シーリングライトの色などのカスタマイズなどが行なえる。

 放送/通信連携サービス「ハイブリッドキャスト(HybridCast)」に対応。VODサービスは、アクトビラ、TSUTAYA TV、ひかりTV、スカパー! オンデマンドなどが利用可能で、YouTubeも視聴可能となっている。レグザリンク・シェア(DLNA/DTCPサーバー)や、DLNAコントローラ/レンダラーに対応する。

 入力端子はHDMI×4、コンポジット×1、アナログ音声×1。光デジタル音声出力×1やアナログ音声出力、ヘッドフォン出力も装備する。USBはタイムシフトHDD用×2と通常録画HDD用×1、汎用端子×1の4系統。Ethernetも装備する。

 消費電力は84型が未定、65型が478W、58型が407W、50型が378W。年間消費電力量は84型が未定、65型が232kWh/年、58型が217kWh/年、50型が209kWh/年。外形寸法/重量は、84型が191.6×45×119.5cm(幅×奥行き×高さ)/未定、65型が146.1×30.4×89.6cm(同)/26.5kg、58型が130.2×81.4×30.4cm(同)/21kg、50型が112.8×24.7×70.9cm(同)/17kg。

(臼田勤哉)