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キヤノン、30型4K液晶でマスターモニター本格参入

約315万円の「DP-V3010」。4,096×2,560ドットIPS

DP-V3010

 キヤノンは、4K映像制作向けの30型液晶ディスプレイ「DP-V3010」を2014年1月下旬より発売する。価格はオープンプライスで、実売価格は315万円前後。キヤノン独自の映像エンジンや、RGB LEDバックライトシステムなどを採用し、編集室やスタジオにおける画質最終確認用の「マスターモニター」など、4Kディスプレイに本格参入する。

 30型/4,096×2,560ドットの高解像度IPS液晶パネルを採用したディスプレイ。アスペクト比は16:10となる。DCI規格の解像度に準拠した4,096×2,160ドットの4K動画を拡大縮小処理をせず、そのまま表示できるほか、高解像度静止画加工や、CG、特殊効果VFX制作などのパソコンを使った編集作業にも適しているという。また、DCI映像の編集時には、縦方向に400ドットの余裕があるため、画面下部にスライドバーを表示させ、映像を隠すこと無く画質調整可能とする。

 コントラスト比は2,000:1以上で、デジタルシネマで重視される暗部階調も正確に再現できる。また、独自設計の直下型RGB LEDバックライトシステムを採用し、DCIが定めるデジタルシネマ向けの色域や、放送規格のITU-R BT.709やEBU、SMPTE-C、さらにAdobe RGBの色域表示にも適しているという。

 ディスプレイ用の新エンジンを搭載し、画面内の色や輝度ムラを防ぎ、高精度な均一性を実現。また、10bitパネルドライバと映像エンジンにより、RGB各色の濃淡を1,024段階で表示し、滑らかで正確な階調特性を実現。カラーグレーディング作業で求められる忠実な色再現が可能としている。輝度は48cd/m2(DCI)、100cd/m2。表面処理は低反射グレア。

DP-V3010
背面

 DCIが定める4K動画の4,096×2,160/24pに加え、4,096×2,160/60pや、3,840×2,160/60pに対応。専用ピクチャーモードの搭載により、「CINEMA EOS SYSTEM」のカメラで撮影した、Canon Logガンマ映像をモニタリングに適した階調特性に変換し、撮影現場で確認できる。ASC CDL画質調整機能や1D/3D-LUTのデータを使用することで、撮影や編集現場で色や階調表現を調整、保存できる。「EOS C500」のACEproxyにも対応予定。また、2K/フルHD映像制作では、3つの拡大表示モードを搭載し、斜め線のジャギーが目立たない独自の表示モードなどが利用できるという。

ディスプレイ部とコントローラ部から構成

 ディスプレイ部とコントローラ部から構成される。コントローラには直感的に操作できるボタンやツマミを設けているほか、10インチラックに取付可能にしている。ディスプレイ本体に他社製の外付けセンサーを接続することで、パソコンを使用することなく、キャリブレーション(色補正)が可能。

 入力は3G/HD-SDIが2系統、Display Port Ver.1.1a×4(1系統)。出力は3G/HD-SDIが2系統。コントロール用のUSB 2.0とEthernetを装備する。200mmピッチのVESAマウントに対応。ディスプレイ部の消費電力は最大370Wで、工場出荷状態で約130W。外形寸法は約708×189×474mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約24kg。

 コントローラ部の消費電力は約2W。外形寸法は419×88×56mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約460g。

側面にDisplay Port×4
3G/HD-SDIを2系統装備

 キヤノンは、映像制作用レンズ・カメラで構成する「CINEMA EOS SYSTEM」などに加え、4Kディスプレイにも参入することで、入力から出力まで、4Kデジタルシネマをはじめとする映像制作現場をサポートするとしている。DP-V3010は、11月13日から15日まで幕張メッセで開催される「Inter BEE 2013」に出展される。

(臼田勤哉)