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通信連動スマートTV「Hybridcast 2014」。民放が1月から放送
インベーダーや人狼、サッカー+データ、しんちゃん
(2013/12/11 17:18)
総務省は、放送番組とウェブアプリケーションが連動したり、テレビとスマートフォンやタブレットが連携するスマートテレビの推進に向け実証実験「Hybridcast(ハイブリッドキャスト) 2014」を実施する。
Hybridcast 2014実証実験には、日本テレビやテレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビなどの民放キー局や北海道テレビ、マルチスクリーン放送協議会が参加。実験の請負主体となるのは三菱総合研究所で、実施期間は2014年3月中旬まで。
スマートテレビの実証実験として「Hybridcast 2014」を展開。実験の狙いは、「ハイブリッドキャスト技術を活用し、ユーザ視点に立った使いやすいインタフェースの実現や安全・安心な新しいサービスの普及促進を目指す」というもので、実際の放送環境下で放送/通信連動コンテンツの動作や見た目などを確認するほか、視聴者の反応取得などを目標としている。
ハイブリッドキャスト(Hybridcast)は、NHKが9月2日よりスタートしているが、これまで民放の参加社は無かった。今回、NHKと民放らが参加するIPTVフォーラムで定めた共通仕様に基づき、各局が2014年1月から3月まで順次放送。番組連動のネットワークサービスなどを展開する。
日本テレビは「JoinTV Shopping 生放送SP」、テレビ朝日は「クレヨンしんちゃん」など、TBSは「第22回全日本高校女子サッカー選手権大会」、テレビ東京は「MISSION 001~みんなでスペースインベーダー」、フジテレビは「人狼 ~嘘つきは誰だ?~ village05」を放送予定。
現時点におけるHybridcast対応テレビは、東芝のREGZA ZX8/Z8/Z7/J8/Z7シリーズや、シャープのAQUOS XL10シリーズ、パナソニックのVIERA TH-L65WT600やVT60/FT60シリーズなどで普及台数は「10万台規模」(事務局)とのことだが、各局の放送では非対応のテレビでもデータ放送の機能を使って、一部の番組連動機能を楽しめるようにしている。
放送局 | 番組 | 放送日時 | 放送エリア |
---|---|---|---|
日本テレビ | (1)JoinTV Shopping 生放送SP (2)ズームイン!! サタデー | (1)'14年1月25日 16時10分~50分 (2)'14年2月15日 5時30分~8時 | (1)関東ローカル (2)全国ネット |
テレビ朝日 | (1)クレヨンしんちゃん (2)生活お役立ち情報 | (1)'14年2月28日 19時30分~54分 (2)'14年2月24日~28日 | 関東ローカル |
TBS | 第22回全日本 高校女子サッカー選手権大会 | (1)'14年1月15日 (準決勝:時間未定) (2)'14年1月16日 (決勝:時間未定) | 関東ローカル |
テレビ東京 | MISSION 001 ~みんなでスペースインベーダー~ | '14年1月3日 23時30分~24時55分 | TXN6局ネット |
フジテレビ | 人狼 ~嘘つきは誰だ?~ village05 | '14年3月上旬(予定) | 関東ローカル |
北海道テレビ | イチオシ! プラス | '14年2月1日10時45分~11時15分 | 北海道 |
マルチスクリーン 放送協議会 | 調整中 | 調整中 | 大阪他 |
総務省 情報通信作品振興課の湯本課長は、「スマートテレビは、放送通信の高度化を担う次世代のもの。全体の発展が期待されている」とし、放送通信の連動サービスの今後を担う重要な実験であるだけでなく、「安心、安全の確保の観点からも実証実験の成果を活用して欲しい」としたほか、国際標準へのフィードバックなどについても要望した。
各社のハイブリッドキャスト番組の概要
テレ東は、「みんなでインベーダー」を1月3日に
テレビ東京の「MISSION 001~みんなでスペースインベーダー~」は、「テレビを使ってみんなでゲーム」をコンセプトとした視聴者参加型番組。'14年1月3日23時30分から生放送する。
ドラマ部とゲーム部に分かれており、出演者は、片岡愛之助と真野恵里菜。片岡愛之助扮する宇宙人(地球外生命体)が、宇宙から戦争を挑んできて、秘密裏に用意されていたスマホで操作できる宇宙船を駆使して戦うのはテレビの前の視聴者という設定。スマホを起動して敵と同じ色のボタンをプッシュして、みんなの連打で敵を倒す。テレビには、ゲームの参加者数や全国の順位などが表示される。
ゲームなどはデータ放送対応テレビやセカンドスクリーン端末でも楽しめるが、ハイブリッドキャスト対応テレビでは自分のスコアなどが、よりリッチに表示される。ゲーム要素を取り入れることで、テレビの「リアルタイム視聴」を促す取り組みとしてもアピールしていく。
また、トータルスコア上位1,000名には商品として「100万Pontaポイント」を用意。参加者がポイントを獲得できる仕組みも用意し、参加を促す。1月3日放送のため、民放初のハイブリッドキャスト連動番組となる。
TBSは高校女子サッカーで「データショー」
TBSは、「第22回全日本高校女子サッカー選手権大会」を1月15日、16日に展開。サッカー中継にあわせて、リアルタイムでプレイデータを通信で伝送し、ハイブリッドキャスト画面で中継映像にオーバーレイしてデータを表示。リアルタイム映像と大量のデータを使った「データショー」としてサッカーの新しい見方を訴求するという。
事前取材やリアルタイム取得されるプレイデータ、例えば選手のプロフィールや試合中の動きなどをネット経由で配信。データは、直近にボールタッチした3人を表示する「リアルボールタッチ」、プレイ頻度が高いエリアを示す「ヒートマップ」、パス成功率ベスト5を示す「パス交換」、「走行距離」などを表示可能。テレビ上に表示されるデータは、スマートフォンやタブレットなどのアプリから表示位置を設定、操作できる。これらのデータはデータスタジアムが提供する。
また、試合終了後にセカンドスクリーンへハイライト映像のVOD配信を行なうなどの展開も予定している。
フジテレビは「人狼」をマルチスクリーン展開。CMの放送/ネット連動も
3月に「人狼 ~嘘つきは誰だ?~ village05」を放送。「人狼」は、9名のプレイヤーの中に潜んだ2匹の狼(人狼)を当てる心理トークバトルゲーム。登場するプレイヤーにはお笑いタレントをはじめ、俳優、アイドルなどが集まる予定。
人狼の放送は5回目となり、今までの放送同様PCやスマートフォン、データ放送などを使用するほか、ハイブリッドキャストを利用。スマートフォン/タブレットをセカンドスクリーン端末として使用して、ゲームの進行やキャストプロフィールなどを紹介するほか、ツイートや投票結果をリアルタイムに反映する。
番組本編だけでなく、CMも放送通信実験を行なう。CMでは過去の「人狼」のフジテレビオンデマンドのVOD配信へ誘導するなどの展開を予定しているという。
また他局と異なり、「ハイブリッドキャスト」を積極的に訴求する。番組の中でハイブリッドキャスト対応の番組ということを訴え、リモコンでdボタンを押した人に対し、そのテレビメーカーのアプリへ誘導するQRコードを表示。ダウンロードを促すなど、番組内でもハイブリッドキャストをアピールしていく方針。
テレビ朝日は「クレヨンしんちゃん」がロボットで動く
テレビ朝日は、アニメ「クレヨンしんちゃん」で番組連動サービスを実施。2月28日19時30分~54分の放送を予定している。番組連動操作用に、スマートフォンやタブレットをコントローラとして活用。テレビ画面に表示される「しんちゃん」を操作して遊べるようにする。
リモコンのdボタン、もしくはスマホの専用アプリを操作すると、トップ画面が表示され、画面に表示されたロボットの「しんちゃん」を左右に操作できるほか、「ミサイルパンチ」、「飛ぶ」などの操作が可能。また、画面上のしんちゃんと「あっち向いてホイ」で対戦するゲーム機能なども用意する。10月から展開しているデータ放送での番組連動機能が人気のため、ハイブリッドキャスト対応で進化させて提案するという。
また、番組に連動しない「生活お役立ち情報」も2月24日から28日まで配信予定。リモコンのdボタンなどからハイブリッドキャストを呼び出すと、天気や交通情報、ANNニュースなどの情報をHTML5の表現力を活かした画面で表示する。
日本テレビはJoinTVをハイブリッドキャスト対応に
日本テレビは、データ放送を使ったSNS連携が特徴となっていた「JoinTV」をハイブリッドキャスト対応/HTML5対応として活用する。
「Join TV Shopping」は、1月25日16時10分から関東ローカルで放送。「商品の値段が視聴者が決める」と題して、通信機能を活用して、視聴者が商品の値段を決めるなどの双方向展開を図る。
また、2月15日の「ズームインサタデー」は全国ネットで展開。2月下旬には放送と連動しない、「JoinTalk」を展開。スマートフォンで視聴者が作成した簡易アンケートに、視聴者がテレビのリモコンで回答するなどの展開を予定している。
Hybridcast 2014で制作ノウハウなどを蓄積
ハイブリッドキャストで放送連動を行なうことで生じるサーバー負荷などについては、各社とも大規模なデータ放送連動サービスなどをすでに実施していることから、「対策済み」との認識を示した。リアルタイム性が高く、かつ生放送となるテレビ東京の「スペースインベーダー」も、バスキュールとの協力などで体制を整えているという。
Hybridcast 2014における利用者数の目標は各社とも持っていないという。ただし、テレビ東京(スペースインベーダー)については、「Hybridcast自体の目標は持っていないが、セカンドスクリーン対応サービスという意味で、TBSさんのリアル脱出ゲームを意識している」とした。フジテレビは、「成功の目安はない。視聴率でもプレゼントの応募数でもない。ただ、人狼は濃密なファンがいる番組で、そうしたファンの皆さんがどういう意見を寄せてくれるか、そこを見て判断したい」と語った。
今回の実証実験の狙いは、実際にサービス展開した上で、連動サービスやアプリ、テレビの挙動などにどのような違いがでるか、視聴者がどう反応するかなどを見極めるのが目的ということ。その点では各社の見解は一致している。
日本テレビでは、「使い勝手やコンテンツ開発などでハイブリッドキャストの特性やテレビの挙動の違いなどを見極めて、コンテンツ制作のノウハウを蓄積したい」と説明。テレビ朝日も「数を集めるのが目標ではない。技術検証が多く含まれている。データとハイブリッドキャストの切り替えの検証や、非連動型と連動型とのシームレスな切り替えなどの検証に注力していきたい」とする。
TBSは「アプリがインストールされるいろいろな環境での挙動など、技術課題の洗い出しが主な目的。グループインタビューでの課題吸収などで、次の企画に繋げたい」とした。