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ソニー、VAIO事業譲渡発表でPC撤退。TV事業も分社化へ

VAIOブランドは新会社で存続も「ソニーのVAIO」は収束

6日の決算発表会見に登壇した平井一夫社長兼CEO

 ソニーは6日、国内のパソコン(VAIO)事業を、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却することで合意したと正式発表。またテレビ事業の抜本改革も発表した。PC事業は新会社への事業譲渡にともない、ソニーにおけるPC製品の企画、設計、開発を終了し、製造、販売についても各国で発売する2014年春モデルを最後として事業を収束する。ソニーは1996年からVAIOブランドでのパソコン事業を展開してきた。2013年12月31日までのVAIOの全世界累計販売台数は7,275万台。

 JIPが設立する新会社は、ソニーのパソコン事業や一部資産を承継。7月1日を目処に取引を実行することを目指す。新会社では、引き続きVAIOブランドのPC事業の企画、設計、開発、製造などを行なう。

 新会社設立当初は、商品構成を見なおした上で、日本を中心にコンシューマ向けと法人向けPCを適切な販路を通じて販売することに注力。「適切な事業規模」による運営で早期の収益安定化を目指すとする。

2014年春モデル(ソニーVAIO 最後のモデル)となるVAIO Pro 13/11

 新会社ではソニーPC事業の拠点である長野テクノロジーサイト(長野県 安曇野市)をオペレーション拠点とし、ソニーと国内関連会社でPC事業に従事している社員を中心に250〜300名程度で創業を開始する。新会社はJIPの出資や経営支援のもと、設立/運営されるが、設立当初はソニーが5%の出資を行なう。新会社の社名は未定だが、代表には、現ソニー 業務執行役員 SVP VAIO&Mobile事業本部 本部長の赤羽良介氏が就任予定。

 また、テレビ事業も目標としていた2013年度の黒字化達成は困難として、間接機能の見直しや、費用削減などを実施する。商品は、4Kラインナップを一層強化するほか、広色域、高画質技術搭載の2Kなど高付加価値モデルに注力。2014年7月を目処にテレビ事業を分社化し、完全子会社として運営する。これにより、収益構造を改善し、2014年度のテレビ事業黒字化を目指す。テレビ事業については別記事で紹介している。

 PC事業収束とともに、本社間接部門、PC/テレビ販売、製造部門の規模の適正化などの経営改善策に着手。販売会社については国や地域ごとの注力カテゴリの厳選や、間接機能見直し、アウトソーシング推進などで、2015年度までに全体で20%の費用削減を実施。本社機能や間接部門についても規模の適正化を進め、2015年度までに約30%の費用削減に取り組む。上記施策により、2014年末までに約5,000名(国内1,500名、海外3,500名)の人員減を見込む。また、構造改革費用として新たに200億円追加する。

モバイルはスマホ/タブレットに集約。Windowsは新会社で

 ソニー平井一夫社長兼CEOは、「エレクトロニクス事業を取り巻く環境は厳しく、パソコン事業とテレビ事業については今季の黒字化は困難。この状況を鑑み、将来を見据えたエレクトロニクス事業の再生と成長を加速するために、モバイル、デジタルイメージング、ゲームに一層経営資源を集中するとともに、課題が顕在化しているパソコンとテレビ事業に抜本的な改革を行なう。エレクトロニクスの復活に不可欠」と言及し、パソコン事業の撤退について説明した。

 パソコン事業のJIPへの譲渡は、3月末までの正式契約を目指す。「タブレット/スマートフォンの伸長による事業構造の大変化、ソニー全体の収益構造の早期改善のため、ソニーとしては『スマートフォンおよびタブレットに集中すべき』と判断した。ソニー全体の事業ポートフォリオと、VAIOを支持してくれたお客様、従業員の雇用などを総合的に判断した結果、JIPへの事業譲渡が最適と判断した」とする。

 また、「事業譲渡に伴い、ソニーのPC開発や企画、設計は終了し、2014年春で事業は終了する。アフターサービスはしっかりと継続していく」と強調。VAIOブランドのパソコンは、JIPの資本のもと、開発、製造、販売などを展開していく。

 新会社によるVAIOパソコン事業は、「収益性を重視するため、当初は日本国内での展開が中心になる」とのことで、海外でのVAIOパソコン展開は大幅縮小する模様。PC事業に携わってきたソニー社員のうち約200〜300名はJIPに移籍するほか、ソニーのグループ内へ配置転換を行なう。さらに、早期退職支援プログラムも実施する。

 平井社長は、「ソニーのPC事業は終了するが、新会社がJIPの資本と指導のもと、VAIO PCを再生し、お客様の期待に応えてくれることを望む。ソニーとしても、新会社の立ち上げと、円滑な事業以降をサポートしていく。VAIOで培った特徴ある製品や効率的なオペレーションは、他の事業にもしっかりと生かしていく」とした。

 VAIOへの思いについては、「VAIOは、普通と違うデザインや機能、フォームファクタなど、商品軸で言えば、パソコンの市場に対して一石を投じたブランド。同時にソニーの中では、効率的にお客様に製品を届けるというオペレーション面で、サプライチェーンの見方や製造管理など、ソニーの中で先頭を走ってきた。その資産はソニーのなかでこれからも活用しなければいけない」とまとめた。

 テレビは別会社化するが事業継続、PCは事業譲渡される。平井氏は「PCビジネスについては、市場の環境変化やユーザーの思考が変わってきた。苦渋の決断。いろいろな競争要因がある中で、エレキをターンアラウンド(黒字化)しないといけないという中では、モバイルの領域はスマホ/タブレット中心にすると判断。譲渡に至った」と、PC事業と収益改善基調のテレビ事業との違いを説明した。

 気になるのは、「パソコン」と「タブレット」の定義だ。パソコンもタブレット上のスレート状の製品が増えてきており、ソニーでも「VAIO Tap」や「VAIO Duo」などの“タブレット的”な製品を発売している。

 この点について平井氏は、「いろいろなコンバージェンス製品があるので、定義は難しい。新しい会社はPCビジネスをやってもらう。どういうった商品がVAIOなのか、新しい会社で議論していく」と明言を避けた。ただし、Windows OSについては、「PCビジネスが立ち上がるので、マイクロソフト/Windows OSの製品は新会社にいく。ただし、マイクロソフトのモバイルOSなどをどうするかはソニーの戦略として考えていく」と解答した。また、VAIOブランドの扱いについては、「ソニーでVAIOブランドを一切使わないかというと、そこも含めてJIPとの今後検討事項(業務執行役員 SVP 広報センター長 神戸司郎氏)」とした。

(臼田勤哉)