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ソニー、'14年第3四半期は純利益270億円も、通期は1,100億円の赤字に

2013年度第3四半期決算

 ソニーは6日、2013年度第3四半期(10〜12月)の決算を発表した。売上高は、前年同期比23.9%増の2兆4,128億円。営業利益は同94.6%増の約903億円、税引前利益は同205.0%増の898億円。純損益は約270億円の黒字に回復した。第1〜3四半期の累計(4〜12月)は、売上高が前年同期比16.4%増の5兆9,010億円、営業利益が同70.5%増の1,415億円、税引前利益が同142.7%増の1,420億円、純損益は112億円の黒字。

 ただし、MP&C(モバイル)分野や、HE&S(ホームエンタテインメント)分野やデバイス分野などの営業利益が想定を下回っていることや、資産売却計画の見直しなどにより、営業利益は900億円減少する見込み。さらに、PC事業撤退など構造改革や、デバイス分野における電池事業の長期性資産減損321億円などを計上することで、通期の業績予想は当初の300億円の黒字から1,100億円の赤字へと下方修正した。

 なお、ソニーは同日付でPCのVAIOを投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却することで合意したことを発表。また、テレビ事業の抜本改革も行ない、2014年7月を目処にテレビ事業を分社化し、完全子会社として運営する。PC事業の譲渡やテレビ事業の改革については、別記事で掲載している

テレビ売上高は39.5%増、営業赤字を改善

セグメント別営業利益環境

 第3四半期における増収の主な要因は為替の好影響や、PlayStation 4(PS4)の発売、スマートフォンの大幅な増収を挙げている。なお、前年同期の為替レートを適用した場合の売上高は5%増となる。

 営業利益は前年同期比で439億円増加の903億円。増益の要因は、為替の好影響に加え、テレビの損失が縮小したホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野における改善や、PS4を発売したゲーム分野と、金融分野の大幅な増益としている。デバイス分野では電池事業の長期性資産の減損321億円、モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野におけるPC事業の長期性資産の減損82億円、ゲーム分野での一部のPC向けソフトウェアタイトルの評価減62億円を計上している。四半期の構造改革費用は、前年同期に比べ30億円減の137億円。

 テレビやBDレコーダ、オーディオなどを含むHE&S分野の売上高は、前年同期比24.8%増の4,040億円で、営業利益は64億円の黒字に回復。増収は主に為替の好影響や、高付加価値モデルの導入によるテレビの製品ミックスの改善や、販売台数の増加などによるものだという。損益の改善は、液晶テレビの増収や費用の削減を主な要因としている。

 テレビの売上高は前年同期比39.5%増の2,549億円。営業損失は前年同期から97億円改善し、50億円の赤字となった。テレビの販売台数は450万台(前年同期は420万台)。通期の販売台数見通しは1,400万台で、'13年10月時点から変更は無い。

テレビ事業の改善要因

 「テレビ事業については、本年度はブレークイーブン(黒字化)を目標にし、2011年からロードマップを引いて改善に努めてきた。'11年度の1,700億円から250億円程度と、大幅に赤字幅を縮小できた。パネルコスト削減、商品力向上、オペレーション改善などがの施策が寄与した。しかし、最後のところで先進国の高付加価値製品導入が年始に遅れたこと、新興国での販売が市況悪化により伸びなかったこと。また、新興国通貨の下落が、損益に悪影響を及ぼした。言い訳するつもりはないが、赤字の圧縮には成果があった」(加藤優CFO)という。

 HE&S事業全体の通期見通しは、オーディオ/ビデオの売上が想定を下回ることから、10月時点の想定を若干下回る見込み。この減収などにより、営業損益も10月時点の想定を若干下回ると見ている。前年度比では、大幅な増収と損益改善を見込んでいる。

加藤優CFO

 スマートフォンやPCなどのモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野の売上高は、前年同期比44.8%増の4,615億円。PCの販売台数は大幅に減少したが、為替の好影響やスマートフォンの大幅な販売台数増、平均単価の上昇などで大幅な増収になった。営業損失は、前年同期比88億円縮小となる126億円の赤字に改善。PC事業の長期性資産の82億円を計上したが、スマートフォンの増収などにより分野全体では損失が縮小した。

 第3四半期のスマートフォン売上台数は1,070万台(前年同期は870万台)。通期見通しは4,000万台で、'13年10月時点の4,200万台から下方修正している。

 デジタルカメラなどのイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野の売上高は前年同期比6%増の1,981億円。コンパクトデジカメやビデオカメラの販売台数が市場縮小により大幅に減収したが、為替の好影響で増収となった。これにより、営業利益は前年同期の29億円の赤字から、121億円の黒字に回復した。

通期見通しは営業利益を下方修正

 ゲーム分野は、売上高が前年同期比64.6%増の4,418億円。PlayStation 3(PS3)の販売台数が減少した一方で、北米/欧州/中南米におけるPS4の発売や為替の好影響で、大幅な増収となった。営業利益は同134億円増となる、180億円の黒字。

 デバイスの売上高は、前年同期比0.6%減の2,160億円。為替の好影響があった一方で、ゲーム向けシステムLSIの減収などで、全体ではほぼ横ばいとなった。営業損益は、前年同期の97億円の黒字から、238億円の赤字に悪化した。

 IP&S、ゲーム、MP&C、HE&Sを合わせたエレクトロニクス5分野の'13年12月末の棚卸資産合計は、前年同期比625億円増の7,453億円となった。これは主に円安の影響によるものだという。

 映画分野は、売上高が前年同期比7.1%増の2,237億円。劇場興行収入や映像ソフト収入は大幅に減少した。営業利益は、円安の好影響があったが、前年同期に比べ11億円減となる243億円の黒字。映画製作の減収や、米国テレビネットワーク向け新番組の増加に伴う番組制作費の増加などが影響した。

 音楽は、円安の好影響により売上高が前年同期比14.4%増の1,447億円となった。日本以外の多くの地域でデジタル配信の増加が続いたが、前年は日本で多くのヒット作品があったことから、前年同期の為替レートを適用した場合は1%の減収となる。営業利益は前年同期に比べ53億円増加の217億円。円安の影響や、ソニーが40%持分を保有するEMI Music Publishingの持分法投資損益が、前年同期の損失に対し、第3四半期は利益を計上したことによる。

2013年度通期見通しは下方修正

 2013年度の通期見通しは、売上高が7兆7,000億円で変更はないが、営業利益は800億円の黒字('13年10月時点から900億円減)、当期純利益は1,100億円の赤字(同1,400億円減)に下方修正している。構造改革費用はグループ全体で約700億円と見ており、10月時点から200億円増となる。

 売上高に変更が無いのは、音楽/金融分野の売上が想定を上回る見込みである一方、MP&C分野やHE&S分野が下回ると見ているため。営業利益を下方修正するのは、MP&C/HE&S/デバイス分野において想定を下回ることや、資産売却の計画を見直したことなどによるもの。

DIやモバイルなどコア事業は好調も通期予測は1,100億円の赤字に

平井一夫社長兼CEO

 デバイス分野を除く、主要4分野では第3四半期の収益は前年比で大幅に改善した。ただし、営業利益の減少や、バッテリ事業の大型減損により、通期では1,100億円の赤字になる。

 平井一夫社長兼CEOは、就任以来2013年度のエレクトロニクス事業黒字化を目標に掲げてきたが、実現は難しくなったという。そのため、パソコン事業の撤退とテレビ事業の分社化などの構造改革を発表した。

 パソコン事業やテレビ事業の改革については別記事で紹介している通りで、あわせて、本社間接部門、PC/テレビ販売、製造部門の規模の適正化などの経営改善策に着手。販売会社については国や地域ごとの注力カテゴリの厳選や、間接機能見直し、アウトソーシング推進などで、2015年度までに全体で20%の費用削減を実施。本社機能や間接部門についても規模の適正化を進め、2015年度までに約30%の費用削減に取り組む。上記施策により、2014年末までに約5,000名(国内1,500名、海外3,500名)の人員減を見込む。また、構造改革費用として新たに200億円追加する。

 バッテリの321億円の減損処理によっては、モバイル向けのリチウムイオンポリマー電池など、成長が見込まれ、ソニーが技術的優位性を持つ分野に集中するための措置と説明した。

 平井CEOは、「CEOとしての使命はソニーを改革すること。エレクトロニクス事業を再生、成長させること。そしてエンタメ事業と金融事業をさらに成長させることで、グループ全体の経営を安定させることだと言い続けてきた」と語り、エレクトロニクス事業においてイメージング、ゲーム、モバイルをコア事業と定めて、商品力強化に取り組んできたことを改めて強調。「コア事業については確実に成果が上がってきている(加藤優CFO)」とし、2014年度のエレクトロニクス黒字化を見込む。

(中林暁 / 臼田勤哉)